幕間3「団長の囁き」
団長サマ、いい加減自重してください。
………。
うるさい。あのときは、本当に焦っていたんだ。
侍女が“神獣様がっ………”などと思わせぶりなことを言って来たから、お前に何か遭ったのかと思った。
…ああ、心配したさ。当たり前だろう。
この俺をあそこまで心配させておいて、部屋で腹筋をしていただけとはな。
別に。怒ってはいない。
あのことがあったから、今こうしているわけだしな。
しかし、あのときの第一声は何だったんだ?
仕事?
ああ、そう言えば、あのハリボテは制服のようなものだと言っていたな…。
今にして思えば、3か月もの間、あのハリボテを身につけていたのか。
アイコンタクトが上手くなるのも当然だな。
瞳が見えていなくても分かる。
なんせ俺は、お前を少しでも知ろうと必死だったからな。健気だろう?
ハリボテの中身が何であれ、気に入ってはいたぞ。
まあ、皮を剥いでみたら、俺好みの美人で驚いたが。
なんだ、照れたのか?本当にお前は可愛いな。
お前が望むなら、いくらでも言ってやろう。
ハルカ、……愛している。
◇◇◇
―――あの侍女、絶対に確信犯だろう………。ああ言う食えない奴は好かんな。
“囁き”は次が最後です……。




