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偶像 3

王都の目前まで進軍した時、

城の城壁に旗が立てられた。

白旗ではない。

ハイランド王国の国旗でもない。


――何かの合図!?


ハッしとして僕はそれを避けた。

矢だ。

城壁ではなく後方から矢を放たれたのだ。


振り向くと僕の軍勢はいつの間にか

僕を囲むような陣形を取り、

弓兵が僕に照準を合わせていた。

その中から、ホールの商人が叫ぶ。


「呪われた魔術師め! 貴様もここまでだ!」


……僕を裏切るというのだな?


「裏切るも何も、貴様の仲間になどなったつもりはない!」


なるほど、僕を殺すための作戦だったというわけだな?

前には王都の軍勢、後ろにはホールの軍勢。

僕の召喚したアンデットだけでは太刀打ちできない。



「殺されたアシュベルの民の仇だ!」


……仇だと?


仇をとるのは僕だ!

母や村人の仇をとろうとしているのは僕だ!

忌々しく小賢しい人間め!


僕は!

世界を! 運命を! 

呪われた道をも超えようとしていたのだ!

もう少しで王になれたのだ!

それに手をかけていたのだ!


それをお前はっ……!


「死ね! 魔術師!」


商人の合図で弓兵が一斉に矢を放つ。

僕はゴーレムの影に姿を消し、闇に潜んだ。


(魔術師……)


そう。僕は魔術師だ。

決して王などにはなれない魔術師だ。


最初から間違っていたのだ。

僕にとって人間は利用するものではなかった。


殺すために存在するのだ!


「……ああぁぁぁぁ!!」


咆哮と共にゴーレムの上に躍り出て詠唱する。


「……黄金、乳香、没薬を携えて消える――!」


強化魔法。

ゴーレムは更に巨大化し10mを超す巨大な怪物になった。

そのゴーレムは雄たけびを上げながら城壁に向かう。


僕は魔術師だ。その通りだ。

だから王になどなれない。

呪われた魔術師ができる事は破壊だけだ。


「王にっ! なれなくとも! 国は滅ぼしてやる!!」


僕を肩に乗せ、ゴーレムはそびえ立つ城壁に右腕を叩きつけた。

城壁は崩れ王都の街並みが露になる。


弓兵は必死にゴーレムに矢を放つが、

硬い岩石で作られた身体がそれを跳ね返す。

足元では騎士達が剣で切りつけるが

もちろん刃など通りはしなかった。


ゆっくり城壁内部に侵入する。


その時、胸に強い痛みを感じた……。




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