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集合

 ゴゴゴ……、と小さな地響きを立てて扉は開いた。

 想像ではここで中が光で眩しく目を細めようと思っていたが、そんなことはなかった。扉の奥は、教会のような空間だった。広さは学校の体育館程度だろうか。目立った明かりはなく、左右と奥に付けられた窓から木漏れ日のような柔らかい光が差し込んで空間を照らしている。最も、ここは地下なので人口の光であろうが。

 そして、扉が開く音につられて先に着ていた人たちの視線が俺に集まった。

 うっ……、怖え。

 思わず圧倒されるところだった。中には人が学校の集会のようにおり、それがパイプ椅子に座らさせれらている。仲良く談笑している人などはごく一部で、他は俺と同じくクリスマスに手持ち無沙汰な人間だろう。喋っている人たちでさえ、その圧倒的雰囲気に押されてか押さえ気味な声だった。そんな、息苦しいような空間から向けられた視線。

 その状況を見た後だと余計怖い!

 俺は視線を避けるように肩を窄めながら、広告を出したがわ――主催側の人間を探すために辺り見渡す。

 「この施設どう思う?」「こんな巨大な施設を使える資金があるのに、なんであんな広告だったんだろうな!」「はぁ、帰りてぇ」「神よ……」「世界を救うか、遂にこの時が来てしまったか、俺の能力を使う時が」「なんで私達が待たなきゃならいけないのよ!」「知らないよ……」etc

 人を探すために耳を澄ますと、いろんな声が聞こえる。何人かオカシイのいるぞ!

 お、あれだろうか……

 この異様な空間をまとめているような人間を発見した。パイプ椅子に座っていなく、人を案内しているように見えるから、あの青年だろう。ささっと焦らず、走らず、それでいて早歩き使ってその人に接近する。

 これが俺の編み出した秘技、「影足」である。避難訓練の際にも使えるからぜひ使って欲しい。むしろこういう名前つけたら全国の中学生は全力で避難訓練をやってくれると思う。

「すいません、今、来たのですがどうしたらいいですか?」

「あちらから順番ににおかけになってお待ちください。もう少ししたら始まると思うので」

 俺は説明された、席に向かう。

 その途中見覚えのあるものを見た。

 うっ……あれは!?

 肩で切りそろえられた黒髪、それなのにどことなく艶っぽい髪を持った彼女を俺は知っていた。俺の通う大学で密かに噂になっている、美人軍団の一人。ほとんど面識はないが、しかし、知っている人間がいるというだけで何処か面倒くささを感じる。

 俺は気付かれないように――もっとも彼女は俺のことを知らないと思うが――こそこその自分が座るべき席へ向かった。

 ふう、とりあえず席へ無事座れたので一息ついた。今気づいたが、相当な人数がいるのに息苦しさは感じなかった。空調施設が整っているのだろう。まあ、雰囲気は息苦しいのは相変わらずだが。

 一旦、落ち着いたからか、周りの声が聞き取れるようになってきた。

 例えば右2つ言った所の少年、

「早くしねぇかなぁ、そろそろ力を解き放ちたいのになぁ……」

 と、ポツリと呟いたり。横の青年は、貧乏揺すりが激しかったり、そして右前には噂の彼女、草加……なんだっけ、名前を忘れてしまったがその人がいたり、なかなか個性豊かである。

 か、帰りたい……

 俺は手持ち無沙汰を解消するために、バックから例の広告を取り出した。

 相変わらず、奇妙な広告。全体的に地味で、色気のない文体。対照的に不気味なほど意味がわからない広告の内容。

『世界を救いませんか?』

 広告を眺めていると、辺りの電気が急に暗くなった。思わず周りを見渡すと、俺たちの正面のステージに光が集まった。

 さぁ、何が始まるんだろうな、と少し心が浮かれるのを感じた。

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