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決定

「どっちなんだ……」

 俺は自宅を出発し、電車に数十分揺られ、徒歩数分で広告に記された場所付近にたどり着いた。

 相変わらず、ここ渋谷は盛り上がっていた。俺が先日見た商店街の盛り上がりより一層クリスマスムード。朝だからイルミネーションこそ点灯していないが、街路樹やお店に付けられた装飾の数々は圧倒的存在感を放っている。明後日には跡形にも無くなっているのにご苦労様なもんだぜ。……あれ? だからロマンチックなのでは? シコウテイシ……ビビビ。

 そして、その飾り以上にその場にはこの舞台の主人公となる人間たちが沢山いた。一人で歩いているもの、売り子をしているもの、サンタの格好をしているもの、募金活動をしているもの、いろいろな人間がいるがやはり、そこは彼らの舞台ならしい。

 俺は、広告の住所をメモしておいた紙に目を落とした。ここらへんか――

 しかし、そこで問題が発生した。似たような人の流れが2つ。似たようなっていうのは言わずもがな、恋人同士でいちゃいちゃうちゃうちゃしてるんじゃなく、何やら険しい顔で集まっている奴らのことを指している。決して右側にある洋服屋の入り口は同一視してない。

 さて、困った。

 勢いで来てしまったのはいいが、いざ障害に出くわすと帰りたくなる。

 俺は何となく携帯を取り出し、帰りの電車の検索を始めた。うわぁ、私の心弱すぎ……と脳内で両手で口を覆う。


 ブルブルブル――

 急に携帯電話が震えだした。結論から言えば、ただいつの間にか登録されていたメルマガを着信しただけ。しかしそれは俺のこれからの方針を大きくねじ曲げた。

 俺はゆっくりと周囲に視線を巡らす、カップルカップルカップルetc、同時に思い出される松山の顔。もうこれだけで行動方針は決まった。

 ビルの周囲の人に訪ねてみるしかないな!

 周りに聞こえない程度に深呼吸をし、片方の流れに突入する。

「すみません、ちょっといいですか?」

 ぱっとしない青年に尋ねることにした。青年は一瞬誰に話しかけたかわからない様子で後ろを確認したが、俺の視線に気づき応答してくれた。

「はぁ? 何ですか?」

 よし、第一段階突破! 作戦を続行する。

「世界をどうします?」

「は?」

 あららー、この反応はまずい。俺の予定では「世界を救います」って帰って来る予定なんだけどなー……。さらにこの反応じゃ広告を見たの人なのか、ただノリが悪いのかわからないぜ……。

 さっきの台詞はなかったかのごとく、方向性の転換を図る。

「私は小さな雑誌のライターなのですが、このあとの予定は?」

 青年は戸惑ったようにはぁ、と短く相槌を打ち、

「彼女の――」

「わかりましたー、協力ありがとうございます」

 そう言って俺はそそくさとその場を去る。後ろで青年がえっ、を声を漏らした気がした。

 つまり、そっちの建物か。

 俺は青年がいた方ではない、もう一つの建物に足を向けた。おそらく青年がいた建物は彼女のためのプレゼント以下云々、の競争があって以下云々。

 人の流れに沿って、ビルの中に入っていく。

 ビルは特別なものでなく、一般のオフィスだろうか。明るい照明が中を照らしていた。

 やだなぁ、こんなところで書類仕事やらされるサンタなんて……

 次々と受付の女性に案内されていき、あっという間に俺の順番だ。

「こんにちはー、世界を救いませんかー!?」

「は、はぁ」

 妙にテンションの高い女性である。引きつった笑みとともに生返事をしてしまった。なるほど青年もこんな気分だったのかもしれない、と思うと途端背筋に嫌なものが流れる。

 女性は生返事を了承と受け取ったのか――最もみんなこんな反応なのかもしれない――、

「それでは、そちらにお進みくださいー。ドアの奥にエスカレーターがありますのでそれに乗ってしばらく暗闇の旅をどうぞー!」

 アトラクションの添乗員さんのようなテンションで促される。俺は軽い会釈をして、人の流れに沿って進んでいく。

 ドアの前で一旦人流れは途切れ、一人づつ入っていく。

 前の人が入って、数秒後俺もそれに続いた。ドアノブをひねり、いざ突入。

 そこは先ほどの空間と大差ない明るさだった。そして、空港の金属探知機のようなものと、一人の男性立っている。

 男性は首で金属探知機のようなものをさした。これをくぐれということだろうか。先ほどの受付と違い無愛想なやつだ。

 断る理由もなく、とりあえず金属探知機に足を踏み入れる。ピーと鳴ることもなく無事金属探知機を乗り越えた。なんかこういうのって大丈夫とわかってても緊張するぜ。

 通った瞬間、腕時計で反射した緑色のランプを見逃すことはなかった。多分この情報は後生使わない。

 男は横目で何かを見て頷くと、ドアをさした。金属探知機と男のせいで気づかなかったが、部屋の奥に数枚の扉があった。

 男が示したドアを開き先へ進む。

 そこにはどこまでも続いていきそうなエスカレーターがあった。

 ここまで来たんだ、せめてはなしだけでも聞いてやろうじゃねえか! 意気揚々とエスカレーターに踏み込んだ。

 エスカレーターは下に進むらしく、底知れぬ地下へと伸びていた。一定間隔ごとに明るいとは言えない照明が置かれているだけで、地下なので天窓があるわけもなく他に明かりは一切なかった。

 暇を持て余し、エスカレータの横から顔を出した下を覗いてみる。

 うわ、ここで落ちたら行方不明者扱いだよ絶対……

 エスカレーターより若干空間が取られているため、圧迫感はないが、横から覗くとそこはまさしく深淵だった。得体のしれない化物に飲み込まれている気分。背筋には嫌な汗が流れた。

 ある程度見える距離に居るからいいが、人がいないで自分一人だったら発狂しそうな空間。そんな空間が数分続くと、エスカレーターの向きが変わった気がした。

 数秒するとエスカレーターの終点が見えた。終わったことに対して一瞬の安心を覚え、動かない地面に着陸した。

 目の前には巨大な扉。そして後ろには下ることしか適わないエスカレーター。

 選択肢はひとつしかない。

 大きな深呼吸の後、両手で扉を開く。


なんかうまく書けずに期間があいてしまった、そのため文章がぶれぶれである

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