雷鳴剣
「ほら、動きが甘いよ!」
ガツンッ
「ほらほら、隙だらけだ!」
ガツンッ
「二人とも気合入ってるわねー。ノクター、しっかりしろー。」
シンシアは野次を飛ばしながら見学してる。
俺はライラさんに稽古をつけてもらっている。
「そんなんじゃ死ぬよ!?」
「おらおら、気合が足りないよ!」
そんなこと言われてもな。
……でも前よりだいぶ動けるようになったな。
「ありがとう……ございます!」
俺の乱暴な一撃がライラさんの横腹に入った。
「オーケー、休憩しようか!アタシは疲れてないけど!」
「アンデッドは疲れを感じないみたいですね。」
「じゃあ続きやるかい!?」
「やります!お願いします!」
「ノクタ―!がんばれー!」
そんなこんなで一日中。ずっと稽古、稽古。
「二人とも。いい加減ご飯にしましょう。」
とシンシアが止めてくれるまで続いた。これはこれで危ない!
「"空腹促進"」
「メシだー!メシだー!」
『いただきます!』
ハム!ハフ!ハフ!ハム!
『ごちそうさま!』
「よっしゃナンパしてくるぜー!」
ライラさんは普通に美人だから普通にナンパが成功するんだなあ
そして翌日。
「じゃあライラさん、俺たちと冒険者の街まで行きましょう。」
「……いやダメだ。稽古してきな。」
「まだ稽古するんですか!?」
「基本的な剣術はあれでいい。……必殺技。興味ないかい?」
な……必殺技……だと……?
「アタシが半生をかけて編み出した必殺技だ。」
「すっごい!必殺技ですって!ねえノクタ!」
「興味あります。」
「じゃあ見せたげる。ついてきな。」
街のちょっと広い場所に案内された。
「じゃあ、始めるよ!」
ライラさんは一気に距離を詰め、つばぜり合いになる。
ここまでは昨日の稽古と同じだ。しかし……
ライラさんは懐から謎の玉を取り出し俺の背後に投げる。
パァン!!!!
爆発音!?俺の背後にはシンs
ぱこん。
「え……」
「……雷鳴剣。」
剣の腹じゃなかったら即死コースの太刀筋。
「わかったかい?いまのが必殺技、雷鳴剣だ。」
え、どういうこと……?
「アタシが師匠から一本をとった、必殺技さね。」
「いや説明してくださいよ。」
「音で判断力をブラしてその隙に一撃を入れるのさ。」
「判断力を……ぶらす。」
「音じゃなくてもいい。偶然でもいい。判断を一瞬ブラすんだ。」
「なるほど?」
「ノクタ、さっきのはお前の心理を利用した。どう思った?」
「シンシアいるとこから爆発音がしたから……卑怯ですよ。」
「ただの派手に音が出るだけのオモチャさあね。」
なるほど、あの一瞬で俺はシンシアの心配をしてしまった。
……戦いの真っ最中に。不覚!
「説明は以上。さあアンタの雷鳴剣、見せてもらうよ!」
無茶いうなって!
「ら、雷鳴剣!」
「斬る前から宣言する馬鹿がどこにいる!?違う!」
「無茶いわんでくださいよー!」
雷鳴剣を習得できないまま夕方になってしまった
今日も冒険者の街には行けなかったか。
俺とライラさんの剣技はほぼ互角、お互い決定打を出せないでいる。
そんな時。
「おぎゃあ、おぎゃあ!」
突然の赤ん坊の泣き声……
あれ、ライラさん、いま隙だらけじゃない?
ぱこん。
剣の腹をライラさんの脳天に乗せる。
「……雷鳴……剣?」
ライラさんはほほえむ
「正解だ。」
な、なるほど……偶然でもいいって言ってたな……
「アタシが師匠から一本取ったときは、ガチで雷が鳴ったから。」
「なるほど、だから雷鳴剣なんですね。」
「名付けたのは師匠だ。一本取られたのに泣いて喜んでた。」
「すごーい!ノクタ!カッコ……良くはなかった!」
「はは、赤ん坊の泣き声じゃな……ダサいよな。」
「ノクタっぽくて良かった!」
「あーあ、まさか一日で習得されちまうとは……ねえ。」
ライラさんは複雑な表情を浮かべている。
「まあ、雷鳴剣を習得したなら……もしかすると。」
「?」
「いやこっちの話さ!メシにしよう!腹減ってないけど減った!」
「"空腹促進"」
『いただきます!』
もぐもぐ、むしゃり、もぐもぐ。
『ごちそうさま!』
「よっしゃナンパしてくる!」
明日、俺とシンシアはこの街を出る。
ライラさんにも魔力譲渡が必要だから、三人で。




