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②追撃、追撃、追撃!ようやくの反撃!?

 リアがアルノーの後ろをついて行くと、小さな小屋に着いた。

 

 アルノーは慣れた手つきで屋根を開けた。


 白いふわふわとした動物。柔らかそうな耳を動かしている。


 「可愛い⋯⋯!」

「ふふ、これはユキウサギと言いまして──」


 頼んでもいないのにユキウサギの説明を始めるアルノー。彼の意図は読めない。


 もふもふ、もふもふ。


 でも目の前のもふもふとした存在に耳をしっかりと傾けるリアは顔を緩めた。


 もふもふ、もふもふ。

 意識にもふもふが割り込んでくる。


 ひとしきりアルノーの説明を聞くと、近くのベンチに腰を掛ける。


 鎧がこっちを見ていた。もふもふしていた心が急にざわりと不快感を覚える。


「リアさん、ラグドさんのこと、めちゃくちゃ嫌いでしょう?」

「はいっ?」


 素っ頓狂な声を上げてしまった。先程から先の読めない事ばかり彼の口から出てくる。


「思ったことが勝手に口から出てしまい、すみません」


 複数の金属がぶつかり合う固い音が重なる。

 水も滴る良い男ポーズ。

 いや、照れているだけか。

 手を頭の後ろに回している。


「えぇ、ラグドのことは嫌いですわ。

 それからアルノーさん、顔だけでも鎧取ったら? さっきから一ミリも動かない鎧に一方的に話しているみたいだわ」


「確かにそうですね」


 変に空気の漏れる笑い声がしたと思えば、鎧の大きな手は兜を取った。


 宙に揺れる漆黒の髪。

 そして気になる顔は⋯⋯顔は!

 前髪が鉄壁ガードする。


(なによ、顔見えないじゃない)


 アルノーの家門はヴィラハム。

 三百年前の戦功によって公爵家となった。

 でも今はさっぱり⋯⋯。 

 変わり者同士、親近感を覚える。


「ねぇ、お互い腫れ物みたいな存在でしょう?」

「いえ、僕は影みたいな存在ですが」


 かちん。

 リアは口を開けたまま、固まってしまった。頬が熱くなる。

 

 でも、すっごい突き放された⋯⋯。

 熱くなった心を悲しみが覆う。


「どっちでもいいもの!

 ねえ、告白ゲームしない?」

「いいですよ、暇ですし」


 説明しよう。

 告白ゲームとは本音を探り合うゲームである。

 今回は学園バージョンなので、じゃんけんで勝ったほうが質問できるのであーる。

 答えられない質問が来たら、別のことを暴露するのだ。


 じゃんけん──最初のゲームが始まった。


 まずはアルノーの番。


「リアさんはなんで学園に来ているんですか?」

「このままだとラグドと結婚させられちゃうわ。逃げかも」


「リアさんも大変ですね」

 “他人事です”と言っているような淡白な相槌にリアの胸はちりっと熱くなる。


「もう次いくわよ! じゃんけん──」


 また、アルノーの番だった。


「はぁ」

(ため息なんて大人げないわ、リア!)


「じゃあ、リアさんはどんな人がいいんですか?」


 追撃。

 これには困った。言葉が出て来ない。

 前髪は鉄壁ガードなのに、ぐいぐい攻めるじゃない。


「ヒグマ族は強くなくちゃいけないの。だから生まれ変わったらそんなものが関係ない種族になりたいわ。

 これじゃあ答えになっていないかしら?」

「答えになっていないですね。現世の話をしていますし」

 

 追撃に続く追撃。


 かっちーん。

 リアの胸にはしっかりと怒りの炎が着いた。


「損得関係なく話せる性格の人だといいわね」

「そりゃあ無理ですよ。損得は切り離して生きていけません。それよりも公平に物事をみることが出来て、歩み寄る努力をしてくれる相手のほうが良くないですか?」


 ガッチーン。これは金槌の比喩。


 同調の言葉が来ると無意識に思っていたリアは頭を金槌で殴られたような衝撃に目眩を覚えた。

 アルノーの言葉に抗うように身体は怒りで熱くなった。


 でもそれだけじゃない。そんな風に返してくれる人はどこにもいなかった。


(歩み寄れる努力をしてくれる人⋯⋯そんな人と一緒になれるなんて夢のまた夢ね)


「それもそうね。じゃぁ、じゃんけんよ!」


 ⋯⋯次もアルノーの番だった。


 一度も勝てないリアは顔を伏せがちにしょんぼりした。

「くぅ⋯⋯」


 その様子を見て笑いを堪えきれなくなるアルノー。


「ははっ、だってリアさんパーしか出さないんですもん」

「そりゃぁヒグマ族はいつだって戦えるように、パーを出すわ」


 リアは臨戦態勢をアピールする。


「分かりました。僕ばっかりだと狡いですよね。リアさん、次どうぞ」

「ふん、ようやく私の番ね。

アルノーさんは、なぜ騎士科を専攻していないの?」


 反撃。

 ちょっと意地悪かなと思ったが、リア自身も気になっていた。


「⋯⋯」

 アルノーの先ほどの小気味よい返しが止まった。


 リアが二呼吸する間、心臓がざわつく。


「騎士科は禁止されているからです」

「えっ? どうして!?」


「それにはお答えできません。代わりに鎧を着ている意味をお答えします。

 これは他人を傷つけないためです」


 リアは頭を抱えた。


 自分が傷つかないように鎧を着ていると思っていたのに、正反対の答えが返ってきた。


 それに騎士科の禁止に頭を捻るリアだった。

このお話の真面目な?異世界恋愛短編は『氷のシロクマ令嬢は微笑む』(https://ncode.syosetu.com/n2363ln/)になります(ㆁωㆁ)

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― 新着の感想 ―
おっ、やはり少しコメディちっくになっていますね♪w パーしか出してないんかーーい\(^o^)/♪笑 やはり僕はこのアルノーのセリフが好きですね。損得勘定でしか人と接することのできない人間があまり好き…
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