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「2人ともおはよ!」

サツキの隣に座ったライルはサツキと同じ人間だ。

「オレもオマエに負けないからな!サツキ!なんだってオレはオマエのライバルなんだからな!」

「まーた、そんなこと言ってるの。なんで私のライバルになんかなったの〜?」

「だって同じクラスで同じ人間なのオマエしかいないし、それに…まぁまぁ強いじゃん?オマエ」

「え?そうかな?」

「うん。わたしもそう思う。だってすごく弓矢のセンスあるもん」

サツキたち人間は動物になることや魔法を使うことができない。

100%できない訳ではないが、それこそ血のにじむような努力をしなければならない。

まれに、本当に極わずかだが人間の中に特殊能力や属性を持って生まれてくる人もいるが、サツキは能力も属性も持たない。

だからサツキは、多くの人間は科学や技術、すなわち機械に頼る。

私が左腕につけている腕時計はガラスの部分をトントンと2回タッチすると弓矢が出てくる。

5歳の誕生日の時におじいちゃんからもらってその日からずっと弓矢で戦う訓練をしている。

最近やっと歩きながら矢を放つことができるようになった。

「訓練の授業楽しみにしてるからな!」

ライルは期待でいっぱいの笑顔をサツキに向けた。

「私もサツキちゃんの腕が楽しみ」

ふわりと笑いながら手を合わせて言う仕草はかわいい以外何にでもなかった。

だがしかしサツキは不安だった。

「みんなさん。席についてください」

そこに2年1組の担任の先生、不思議はてなりんが入ってきた。

「はーい」

生徒たちはドタドタと席についた。

「えー…今日の日直はー…」

「私です。リン先生」

「ミキさんね。覚えててくれてありがとう。先生助かったわ」

「うふふ」

「じゃあいつものお願いね」

「はい」

ユリカは返事をした後席を立った。

「起立」

ユリカの号令でクラス全員が立った。

無幼むよう様に礼」

生徒含め先生含むその場にいた全員が空に向かって手お合わせお辞儀した。

手の合わせ方は人それぞれだった。

パッン!と音を立て手を合わせる者。掌と掌を静かに合わせる者。両手を握り祈るようにする者。そもそも手を合わせず右手を胸に当てる者。掌を腰に当てる者もいた。

「なおれ」

ユリカがそういうと全員が気をつけに戻った。

「着席」

これがサツキたちの いつも通りの朝の会 だ。


無幼。

それはアルカリ星の神様でアルカリ星を作った。

でもそれ以外の伝承は人によりけりだった。

アルカリ星の人々はみな信じる神様が同じにも関わらず“宗教”が違うのだ。

例えば「神を信じ神の命令に従って生きることで死んだ後天国に行ける」「断食がある」「1日5回礼拝する」とか「神様によって人間や草花、海などがつくられた」「愛をもって生活する」「日曜日に礼拝をおこなう」とか「葬式をする」「悪いことしたら自分にもかえってくる」「肉魚を食べてはいけない」などがある。


アルカリ星には12の国しかないため法律は一緒で昔は戦争や内戦があったけど1000年代の国王はみんな仲良く、国民もほとんどの人が「争うより助け合おう」みたいな考え方のようだ。

アルカリ星全体で唯一神という考え方で彼以外に神様がいるだなんて考えたことすらもない。

ただし「神様はこんな考え方をしない」「神様はこんな顔じゃない」などの理由で戦争が起きたり、悪の組織の中には神様を殺そうと企む者も存在するとかしないとか…。

ちなみにサツキの家庭は色々な考え方が混ざった宗教である。


 朝の会が終わった後、授業が始まり。そして本日最後の授業である訓練の授業 の時間になった。

「次、ライルくん」

「はい!」

ライルは少し緊張気味で返事をした。

「ライルくんの条件は藁人形の破壊よ」

体育館には練習用のライルとほぼ同じ大きさの藁人形がある。

ライルは藁人形の真ん前にたち白いマフラーを巻いた。

彼のマフラーは身体能力をあげることができる機能がある。

「よし」

どうやら覚悟を決めたようだ。

「たぁー!」

思いっきり藁人形に蹴りを入れた。

すると藁人形が大きく揺れた。

「どうですか?!先生!」

息を荒あげながら求めるようにたずねた。

「惜しいわね。あともう少し力があれば破壊できたわ」

「っ!」

ライルは悔しそうに表情を歪め足音を立てながら皆が見守っている場所へと戻った。

「次、ユリカちゃん」

「はい!」

「ユリカちゃんの条件は破壊よ」

「わかってます先生」

ユリカは藁人形に人が1人入るスペースを置いて立った。

「茨の庭に…」

ユリカがそうゆうと床から茨の植物がはえてきて藁人形の足や腕に巻きついていく。

「私がするの!」

バンッ

「え」

茨が藁人形全身に巻きついたまではよかったがなぜか花が咲くだけだった。

「なんで…引きちぎろうと思ったのに…」

「上手くいかなかったわね」

先生は残念そうな顔をしてみんなの所に戻るように背中を押した。

「次、サツキちゃん」

「はい!」

「サツキちゃんの条件は…。どうしましょう…弱点に刺さったら合格…。でも弓矢1本で倒せるモンスターもいるし…」

「じゃあ先生。サツキも破壊でいいんじゃないですか?」

ライルが両頬を膨らませながら涙を浮かべそう訴えた。

「うーん…。そうね!そうしちゃいましょう!」

「えー!だって1回しか打っちゃ行けないんでしょ?ムリムリムリ!」

「ムリでもやって」

「わかりました。やればいいんでしょ」

サツキは少し怒りながら藁人形と少し距離を置いて正面に立った。

そして腕時計を2回トントンとし弓矢を取り出した。

壊れるようにと、祈るように震える両手に力を入れた。

「いっけええええええええええええええ!」

トス

矢が藁人形に刺さった。

「あ」

「やっぱりダメだったわね」

先生のその言葉が体育館に響いた気がした。


片付けが終わって休み時間になった瞬間サツキは走り出した。

「サツキちゃん?!」

ユリカがサツキを呼び止めたがサツキは止まらなかった。走って走って屋上の扉を開けた。

「ああああああああ!!」

サツキは泣いた。

思いっきり泣いた。泣きすぎて足に力が入らなくなり足から崩れた。

「オマエだけずるいぞ」

「ライル」

泣くのを我慢している表情でライルが屋上に来たように見える。

泣きながら名前を呼んだのでなんと言っているのかライルにはわからなかったがそれでもズカズカ入ってきてサツキの隣に立った。

「俺は」

そういった直後固まり俯いて涙を流しながらこういった。

「無力だっ…」

「私も誘ってよ…」

「ユリカ」

ユリカはもう既にポロポロと涙をこぼしていた。

2人揃ってユリカの名前を呼んだ。もうしっかり名前を呼べた。

「私なんて…。2人と違って人間だけじゃないのに…できなかったんだよ?みんなと同じなのに…」

「なんだよユリカ!オレたち人間をバカにしに来たのか?!オレたちはみんなと違うって!」

「だって違うじゃない!!」

「うるさいな〜」

「キヨシ!?」

そこへ別クラスにいるキヨシがやってきた。

笑顔を浮かべている。しかしいつもの笑顔と違いクシャとしている。

「誰だよオマエ!」

「俺は清川清。サツキの幼なじみだ。で、なんで3人揃って泣いてんの?」

「オレは……自分は無力だからだ…」

「私は……人間だけじゃないのに…植物の力を使えるのに…壊せなかった…」

「私は…私は!今までしてきたこと全部無駄だった!毎日練習したのも!歩きながら弓を放てるようになったのも!全部無駄だった!」

そう言い終わるとサツキはまた泣き叫んだ。

ライルもつられるようにようにして、続いてユリカも泣き叫んだ。

キヨシはくしゃくしゃの笑顔のまま黙って3人が泣き止むのを待った。

「少しは落ち着いたか?」

「うん…」

3人はだいぶ泣いたようでとても疲れているように見えた。

「本当は一人一人に返してあげたいが、時間がない。全員に共通することを教えてやる」

扉の前で3人を待っていたキヨシはそう言いながら3人を通り越して3人より外側立ち振り向いた。

ニヒッと笑ったその顔はまるで赤いマントをまとったヒーローの様だった。

「いーか3人とも、力が欲しいなら。力を操りたいなら。努力を無駄にしないためにはな」

そこまで言うと静かに真剣な顔になり拳を高くかがげキヨシの顔が陰った。

そこから屋上の床を思いっきり殴った。

ガァン!!

というすごい音がして床が揺れた。

3人は驚いてキヨシの所へ近づいた。

「!!」

拳が振り下ろされた所に穴ができておりサッカーボールがまるまる1つ入る大きさだった。

そしてキヨシは3人に拳を見せる。

皮が破けぽたぽたと血が地面に落ちていく。

それでもキヨシは痛がる様子を一切全く見せなかった。

「血が流れ出るほど努力するしかないんだ」

3人は拳から流れる血とキヨシの言葉でどうやらそれぞれ決意を固めたようだ。

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