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一話 回る回る星と世界と時間とカニクリームコロッケ

これは完全にフィクションであり、実在の人物や団体とは一切関係ありません。


———


光をも吸い込み逃がさない嵐のような漆黒の闇の中


男性の怒号


子供の泣き声


女性の何かを守るように抵抗するような叫び声


子供の泣き声は頑張って泣かないように我慢する声へ


いつ終わるか分からない怒号と抵抗するような叫びと泣かないように抗うような泣き声


嵐が過ぎ去るのを待つしかない永遠にも思える時間


目を瞑り、耳を塞ぎ、泣くのを堪え我慢し口を噤む


沈黙になるように沈黙する



———


何もない無に思える空間


———


真っ白な背景に三匹の龍がお互いの尾に噛みつき輪になっているそれはドラゴンのリングのよう


———


何もない無に思える空間


———


「ちょいちょいちょーい!そんなとこで寝てたら危ないですよー!」

どこか懐かしい、可愛らしい少女の声が聞こえてきた


目を開けたらそこはゴミ袋が積まれているゴミ置き場のような所


そのゴミ袋の上で寝ていたようだ


赤毛で緑色の瞳、翠眼の少女アンジュはやれやれと言った表情だが忘れられない冷ややかな眼をし手を引っ張りながら

「もーマリ姐!どこで寝てんですか!ちゃんと家で寝てくださいよ!」


———



ドア開ける


玄関


アンジュが駆け寄りながら

「サトウおかえりー!マリ姐いたよー!ゴミ袋の上で寝てた!」


そこに腰まである艶のある黒いロングヘア、140センチぐらいの小柄で細身で童顔な一見子供に見える女性、田中は、気だるげな雰囲気を醸し出し、甘ったるい声

「よー…佐藤。お前どこ行ってたんだ?」

とどこか疲れた口調で言った後、棒付きの飴をタバコを咥えるように扱った


黒髪、痩せ型、標準的な身長の佐藤はホッとした後につっこんだ

「心配で探してたんですよ!ゴミ袋の上なんかで寝ないで家のベッドの上で寝てください!」


田中は反省の色は見せず

「ハイハイ…。案外寝やすかったじぇ…」


佐藤

「いや、ベッドの方が寝やすいだろ!」


パッと見170センチぐらいでヒョロヒョロに見える体格、白髪まじりの黒髪、前髪でほぼ目が隠れていて表情が分かりにくい猫背の男性鈴木がエプロン姿で畳んだタオルを抱え通り過ぎ、タオルをしまい佐藤の元へ来てボソボソと

「おかえり…カニクリームコロッケ作っておいたからご飯にしよう…」


佐藤は嬉しさのあまりガッツポーズ

「やった!ありがとうございます!鈴木さんのカニクリームコロッケ最高です!手伝いますよぉ〜!」


田中は人差し指と親指で棒付きの飴の棒をつまみ、飴を口から外し横目で見ながら

「あやつ、いつにもなくテンション高くなったな…よっぽど好きなんだねぇ」


つけっぱなしのテレビの画面には燃え盛る森林火災の映像が映し出されている


アンジュが消しにテレビの側に行く


アンジュはその映像を冷徹な瞳で瞬きせず、ただただ見つめている


佐藤がアンジュに声をかける

「おーい。早く来いよー。食べちゃうぞー」


アンジュは瞳に焼き付けるように見つめ消した


アンジュの口元から満面の笑みになり振り返りみんなの元へ向かった


———


続く


———

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