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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『悪夢の研究』と『今は無き国』  作者: 橋本 直
第七章 翌日の出来事

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第43話 副部隊長の許可

「やはり器がでかいねえ、中佐殿は。じゃあ……」 


「図書館の件も許してくれるのよね!」 


 隣に座ろうとするかなめを押しのけてアメリアが顔を出した。


 図書館。本来は島田が部下に許してビデオやゲームなどを集めた一室を作っていたのが始まりだった。本来なら女性に見せたくないその部屋だが、アメリアが誠の護衛の名目でこの寮に居座ると彼女がさらに大量のエロゲーを持ち込んだ。その圧倒的な量でついには壁をぶちぬいて拡張工事を行い、現在図書館はちょっとした秘密基地と呼べるようになっていた。


「ああ、その件ならサラから聞いてるぜ。勝手にしろよ。ただし……」 


 ランはそのまま菰田に目を向けた。


「そこでアタシの写真を加工してみろ。どうなるか分かるだろ?ロリコンは犯罪だ。特に目の前に『粛清者』と呼ばれた事が有る人物を相手にすると命に関わる。そのくれーの常識の持ち合わせは有るんだろーな?」 


 遼南内戦末期の共和軍の切り札と呼ばれた彼女の鋭い眼光に、菰田が周りのシンパを見回した。


 ランの司法局実働部隊副長就任以来、菰田率いる貧乳女性『ぺったん娘』を信仰する秘密結社『ヒンヌー教』は以前からのネ申であるカウラ・ベルガーをあがめる主流派とロリータなクバルカ・ラン中佐を愛好する反主流派の派閥争いが続いていた。


 菰田が周りを見回すと同意する主流派と目をそらす反主流派の隊員の様子が誠からも見て取れた。反主流派の一人の下士官が何かを思い出したように立ち上がるとそのまま食堂を飛び出していった。恐らく彼はランのアイコラ画像を消しに行ったに違いないと誠は思った。


「おう、分かれば良いんだ。なんだ、神前。食えよ。遠慮するな」 


 そのテーブルのメンバーを覚えたと言うように一瞥したランの一言で菰田達が乾いた笑顔を浮かべてるのを気にしながら誠はソーセージに食いついた。


「でも中佐殿が来てここの寮の名前がかなり看板に偽りありになってきちまったな。『男子下士官寮』って言うが男子でも下士官でもないのが増えすぎだろ」 


 アメリアが厨房に去るのを見送るとかなめはそう言ってすぐに味噌汁を啜り始めた。


「別に名前など問題じゃないだろ?」 


「そう言うわけにもなー」 


 カウラをさえぎってランが頭を掻く。


「この寮には隊の厚生費が使われてるからな。管理部の高梨参事からも西園寺と同じこと言われたよ。今度の予算の要求でここの費用をどう言う名目で乗せれば良いかってな。頭いてーや」 


 そう言うランの前に菰田のシンパの隊員がお茶を運んで来た。


「世話になるな……まあ気にしねーでくれ」


 ランはそう言うものの、副部隊長である彼女がこの反無法地帯の寮に住むことを気にしない寮の住人は一人としていなかった。



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