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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『悪夢の研究』と『今は無き国』  作者: 橋本 直
第四十二章 最後の敵を目の前に

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第191話 誠にしかできないこと

『相手は法術師の成れの果てだ!法術は効く!法術兵器だ!ダンビラは使えるからそれで行け!とりあえず何度か突き立てて反応を見ろ!その中で一番反応が大きい場所が奴の急所だ!そこで干渉空間を展開しろ!』 


 かなめの分析より早く、カウラの叫び声がヘルメットの中に響いた。ようやく誠も理解して大破した07式に突き立てていたダンビラと通称される軍刀を引き抜いた。


「ムゴー!!」 


 雄たけびのようなものを上げる巨大なナマコのような物体がモニター一杯に広がって見えた。そしてそこに渦巻く取り込まれていた人々の思いが誠を襲った。誠はその思いの一つ一つが脳裏に刻み込まれていくのを感じていた。


 東都に来れば仕事がある。そう言われて東海のシンジケートに借金をして東都の租界に渡った若者。生まれたときには不法入国者として租界のにごった空で身体を売って暮らしていた少女。法術が何かの足しになるかと誘いに乗ってみた七人の子持ちの父親。それらの過去が誠の頭の中を走馬灯のように走った。


「やるしかないのか……彼等を救うには他に方法はないのか……この化け物を倒すしか!」 


 目の前の物体の総合としての意思はただ意識を持つものをうらみ、ねたみ、そして破壊すると言う本能だけの物体だった。その破壊本能の標的に自分が選ばれたと言う事実を誠ははっきりと理解することが出来た。


 誠はダンビラを構え直した。その目の前で肉塊はじりじりと間合いをつめた。衝撃波を放たないのは軽度の干渉空間が発する衝撃波では誠の05式を仕留められないということを学習したからだろう。敵に学習能力があると言うことは思考中枢が存在していると誠は思った。ならばそこにダンビラを突き立てれば目の前の化け物は倒せる。誠のその思いが誠を奮い立たせた。


『干渉空間発生!衝撃波が来るぞ!神前!下がれ!』 


 カウラの声で誠は機体を飛びのかせた。切断された空間が都心のアスファルトを削り取りビルを寸断した。その威力は誠が使える『光の剣』に匹敵するものだった。


『やばいぞ!あれに巻き込まれたらオメエの機体ももたねえぞ!あれはオメエの力クラスだ。同レベルで戦ってたら勝ち目はねえ!とりあえず奴がオメエを攻撃しているってことは奴にも知能は有るんだ。中枢神経の場所を探れ!そこにダンビラを突き立てて干渉空間を展開すれば終いだ!』 


 かなめの指摘を受ける前からその可能性は誠は認識していた。そして目の前の肉塊がそのことに気づくだろうと言うこともわかっていた。



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