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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『悪夢の研究』と『今は無き国』  作者: 橋本 直
第四十一章 すべての悪意の源に向き合って

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第188話 ついに追い詰めた敵

 生体プラント製造研究室に突入したラン達はガラス越しに激しくうごめき始めた巨大なナマコのような生体プラントを見つめていた。


「駄目です!まったく外からのコントロールを受け付けません!」 


 ランにライフルの銃口を突きつけられながら白衣の研究者は振り返ってそう叫んだ。


「何をされたのですか?先ほどそのスイッチを押されたのは見ていましてよ!その瞬間からこのプラントが活動を始めた!何をなさったのですか!答えなさい!あなたも科学者である前に同盟機構の職員でしょ!こんなものを東都の真ん中で暴走させれば同盟機構は解体ですのよ!」 


 厚生局の武装隊員を抑えているラーナを見やりながら茜が叫んだ。


 その向ける銃口の先の臨床開発責任者とでも言った感じの白髪交じりの厚生局の女性研究者がほくそ笑んでいた。


 その視線の先で見る間に十メートルを優に超える大きさに成長した法術師の成れの果ての脳下垂体分泌ホルモン生産プラントが拘束する鎖を引きちぎって暴れだしていた。


「あなた方には分からないのかしら?これは人類の一つの新しい可能性の象徴なのよ。あのプラントから生産される各種のホルモンと発生する思念波。そしてさまざまな薬物投与により遼州の人類は新たな進化の道をたどることに。不死の人間がたくさん生まれる。死の概念がこの世から消える。科学者の誰もが夢見た世界の実現よ!その為に街が一つ消えようが、政治機関が一つ消えようが関係ないじゃないの。対価としては少なすぎるくらいだわ」 


「馬鹿……言うなよ……そんなことして何になる!」 


 突入の際に腹に銃弾を食らって休んでいた島田はそう言うと静かにサラに起こされて上体を持ち上げる。その腹の傷はどう見ても致命傷だが、黒い霧のようなものとそれに活性化されたとでも言うように盛り上がりうごめく内臓と筋肉の組織の動きで流れていた血は止まって傷口がふさがっていくのがわかった。


「あなたはもしかして……『不死人』?自然覚醒体の不死人は私は初めて見るわ」 


 女性技官の驚愕の表情に青い顔の島田の口元に笑みが浮かんだ。


「こんな小物よりよー、アタシの方がよっぽど調べがいがあるぜ。なんと言っても遼南の共和軍の秘密兵器だったこともあるからなー。良かったな、自然覚醒体の不死人に一日に二人も会えて」 


 そう言ってランが笑った。技官は諦めたようにそのまま置かれていたパイプ椅子に腰掛けた。


「司法局の介入は予想された事態よ。どうせシュツルム・パンツァーでの戦いではあの法術の存在を世界に知らしめた神前曹長が相手では勝ち目も薄い。なら……」 


 ガラスの向こうの生態プラント。巨大なナマコのような姿を晒す褐色の化け物が衝撃波を放った。ラン達のいる地下研究室の強化ガラスが吹き飛ぶとランの表情が青くなった。



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