10 とあるゲーム情報サイトにて
VRゲーム情報サイト、『VRゲームで遊びたい!』8月号、特集記事『まだ間に合う! 砕魔学園にかける青春を遊び尽くす!』より抜粋。
先輩ノキスケ(以下、ノ)「おーい、今なんのゲームやってるんだ?」
後輩クキカケ子(以下、ク)「……」
ノ「おいおいおいい! 無視かよ!?」
ク「無視って! 先輩! 今VRゲームやってんすよ!? 見えないんすか?」
ノ「いや、見えてるけど」
ク「……(いつか◯スっす)」
ノ「まぁ、そんなことはどうでもいい。それよりもサイガク1、プレイしてる?」
ク「いやー、してねっす」
ノ「お前……ブームには乗ってけとあれほど言っただろうが。その調子だと、2が出ちまうぞ?」
ク「なーんか、とっつきにくそうじゃないですか、あのゲーム。仕方ねっす。ウチは悪くねっす。それに、最初は全然売れなかったって聞いたっすよ」
ノ「売れなかったのは、単純に運とタイミングと販売手段が悪かっただけで、内容は悪くなかった。無名のメーカーで、ダウンロード版がなくて、タイトルがなんのゲームか分かりにくいのがよくなかった。出回った本数も多くなかったしな」
ク「マーケティングを勉強してから出直せって感じなんすかねぇ。世知辛えっす」
ノ「な? 興味湧いたろ?」
ク「えぇ? どこで? そもそも、なんか専門用語とか多そうですし? 学園が舞台みたいですし? タイトルに青春って。雰囲気ゲー(笑)ですか? 今時はやんねぇっすよ〜」
ノ「(そういえば、こいつは殺し殺され系FPSばっかりプレイしてるんだった)」
ク「てことで、ウチはゲームに戻りますんで。邪魔しないでください」
ノ「待て待て待て待て! お願いします! 少しだけ話を聞いてください!」
ク「えー? ……まぁ、いいっすけど。今度焼肉でも奢ってもらうっすよ」
ノ「え? なになに? お前、俺とデートしたいの? なんだよ、それなら早く言ってくれればよかったのに。すまんな。お前の気持ちに気がつけなくて」
ク「うざっ! もういいから、早く話をしてくださいよ」
ノ「(よし、これで奢りは回避だな。我ながら策士よ)ところで、さっき専門用語が多そうだと言ってたけど、例えばどんな言葉だ?」
ク「うーん。まずタイトルの、砕魔学園。これっすよ。砕魔。なんすか、砕魔って」
ノ「ああ、それかぁ。魔を砕くから砕魔。簡単だろ?」
ク「ええー、どこがっすか。そもそも魔ってなんすか?」
ノ「まぁ、ゲーム的に言えば敵だな。世界観的に言えば、邪悪な思いや心から生まれる、一般人の目には見えない霊的な存在だ。そいつが生まれて時間が経つと、力を持って、人に仇なすようになる。そんな、ヒトの敵である魔を砕くのが、砕魔師であり、砕魔学園はその砕魔師を養成する学校ってワケだ」
ク「へぇー。それは退魔師とかとは何が違うんすか?」
ノ「おお、いいところに気がついたな。はっきり言えば、おおむね同じようなもんだな」
ク「はあ? じゃあ、退魔学園でいいじゃないですかー!」
ノ「まあな。でもまぁ、オリジナルの用語を作りたいって気持ちは分かるだろ?」
ク「うーん、それはまぁ」
ノ「てことで、これで専門用語問題はクリアだな! よし、やれ。今すぐやれ」
ク「横暴っす! そもそも、学園が舞台とか、もう受け付けないんすよ! ウチが今何歳か知ってるんすか!?」
ノ「え? それはさ――」
ク「黙れ」
ノ「こわぁ」
ク「……」
ノ「老若男女! 誰もが楽しめる青春体感ゲーム、それがサイガクだ!」
ク「(話そらしたっすね)」
ク「青春体感ゲーム? 砕魔師RPGじゃないんすか?」
ノ「よりわかりやすく言うと、砕魔師の少年の青春を体感するRPGだな」
ク「なんか大作の皮を被ったクソゲーみたいなキャッチフレーズっすね」
ノ「ヤメロ」
ク「へーい。あ、一応言っておくっすけど、別に何かを想定して言ったとかじゃないっすよ。マジっすマジっす」
ノ「逆に疑わしくなるからぁ。やめて」
ク「そんなことより、砕魔師の青春体感? 虫酸が走るんすけど」
ノ「(こじらせておる)ハハッ」
ク「なんすかその笑い」
ノ「でもさぁ、俺たちの青春って灰色だったじゃん?」
ク「決めつけやがりますね」
ノ「青春とか言われて全身がむず痒くなる気持ちもわかるよ。だって、世に溢れる青春って枕詞がつくものはたいてい甘酸っぱいじゃん。俺たちの青春はそうじゃなかったよね。だから、俺の中の高校生の俺が拒否反応を示すんだよね。でもさぁ、思うんだよね。そういうのを避けてていいのかなって? いいや。良くないね。俺たちは取り戻すべきなんだよ、青春を。いつ? いま。どうやって? サイガクをプレイして」
ク「めっちゃ早口で言ったっすね。しかも、別にゲームの魅力を語ってないっていう」
ノ「サイガクのすごいところは、プレイ次第では俺たちみたいな青春も送れるってことだよ」
ク「それってすごいところなんすかねぇ」
ノ「自分のプレイ次第で、主人公の三年間は大きく変わる! それって、めちゃくちゃワクワクしない?」
ク「うーん、まぁ少しは興味出たかもっす」
ノ「しかも、VRで! これはもうやるしかないっしょ〜」
ク「さっきから、具体的な説明があんまりないんっすが」
ノ「まぁさ、実際プレイしてみないとわからないワケよ。まるで俺みたいな存在だよね」
ク「? 意味がわからないっすけど」
ノ「ほら、俺って近寄り難い雰囲気だしてるじゃない。でも、話してみると気さくなナイスガイなわけでしょ」
ク「……」
ノ「そういうことよ」
ク「本当はプレイさせたくないんすか?」
ノ「どう言う意味だよ!」
ク「そのままの意味っすけど……まぁ、先輩しつこいし、ちょっとはやってみましょうかね」
ノ「おお! ついにその気になってくれたか!」
ク「2から」
ノ「おおーい!」
次ページからは、『砕魔学園にかける青春 2』の事前情報をまとめながら、その魅力に迫る!!
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