謎のおじさんとマスターシリンダー
さてと、午後の作業をサクッと開始しようかぁ……なんて思ってたら、お昼から帰るなり、おじさんがやって来て
「足回りの、オーバーホールと仕様変更、終わったから、置いておくね~」
と言うと、レッカー車に乗って出かけていっちゃったよ。
今日、凄く思った事だけど、このおじさんのスペックは、謎だよね?
じゃぁ、最初に、この車高調を組み込んじゃおうよ。
スカイラインのショックアブソーバーは、基本上2ヶ所のナットと、下1ヶ所の大きめのナットで留まってるんだよね。
R32のは基本的に楽なんだ。R33になると、リアのスピーカーボードを外して、室内と外の行き来が必要になっちゃうから、1人だと結構辛いんだけど、R32は、アッパーがトランクに行くようになってるから、1人でも余裕で取付できちゃうし、減衰力調整も、楽々なんだよ。
なんか、よく見てみると、ショックがない方が、午前の作業って、捗ったんじゃね?
だって、アッパーリンクのボルト抜く時とか、リアのアッパーアーム交換する時とかって、明らかにショック外した方が良い作業だよね。
もしかして、おじさん、分かってて、わざと遅らせて持ってきたんじゃね?
さてと、足回りの作業が、完全に終わったところで、今度はブレーキに取り掛かろう。
ブレーキのキャリパーと、マスターシリンダーのオーバーホールをやって、燃料ポンプを交換して、各油脂類を交換すれば、走るようになるから、後は車検を受けるだけって寸法だね。
早ければ、明日には完成しそうだね。
この、外してあるマスターシリンダーの中をバラして、各ゴムのパッキンなんかを新しくしていけばいいんでしょ。
じゃぁ、早速分解して……と、まずは、中にあるピストンを抜いて……って、言っても、ピストンが抜けてこないよ。
え? ピストンは、抜け出てくるようになってないから、手前にあるストッパーみたいなのを、こじって外すんだって? そんなの、事前に言ってくれなきゃ、分かる訳ないじゃん。
なに? バイクでやらなかったのかって? 私の原付は普通に乗ってただけで、オイルの補充しか、やってこなかったよ。
よし、ストッパーが外れて、トントンと叩くと、中からバネみたいなものが、びよよーんって、出てきたよ。
これを抜き出してから、そのバネが入ってたところを綺麗に洗浄して……って、優子、何そのモクモクしてるやつ、ちょっとマスターを渡してくれって、ハイ。
シュオオオオーって、いいながら、なんか凄いんだけど、なんなの? スチーム洗浄だって?
しばらく乾かしてる間に、あちこち見て回ってるんだけど、柚月さ、前からちょっと不思議に思ってるんだけど、このR32って、ブレーキが違うよね。
やっぱりこれ、タイプMキャリパーかぁ……だってさ、結衣のGTS25が片押しなのに、GTSが対向な訳ないもんなぁ……って思ってたからさ。
え? 兄貴のLINEに書いてあったって? マジ? ……何処によ、これって『ブレーキはHCR32用対向、マスターより交換』え? これってタイプM用って意味なの?
あ、乾いたって、じゃぁ、グリスを塗って、新しいピストンを入れて……と、これで、元に戻せば完了だって。
ここがマスターシリンダーだね。この裏が、ブレーキペダルに繋がってるんだね。そう考えると、位置的にここだってのも、納得いくね。
このパイプを繋いでいく時に使うスパナみたいなのって、普通のスパナと違うよね。なんか、スパナよりも、もっと回り込んでいて、メガネレンチの一部が欠けてるみたいな形だよね。
え? これは、フレアナットレンチと言って、ブレーキ系のパイプを作業する時の必須の工具なんだって? なんで持ってるの? おじさんに貸してもらってるんだって?
前から思ってたんだけど、ここって、解体するだけじゃなくて、修理や整備もしてるよね。こんなガレージもあるしさ、絶対、なんか凄い車とか作ってそうだよね。
さて、今度はキャリパーのオーバーホールだけど、これは前に部車でやったから、特に難しいところもなくできるよね。という事で、私は前回やっていないリアのキャリパーをやろうっと。
こっちは2ポッドで、ピストンの抜け具合に気を遣う事もないから、結構すんなりと終わっちゃたぞ。
パッドも、ローターも新品になって、キャリパーやマスターもオーバーホール済みなんてさ、まるで新車のブレーキだよね。
あれ? 悠梨は手こずってるな……って、そうか、部車のオーバーホールの時、コンプレッサー係やってたから、要領が分からなかったのね。
ピストンは、1回綺麗にしてから、傷や錆がないかを確認して、無かったら、傷をつけないように細心の注意で作業しながら、ピストンにブレーキフルードを、うすーく塗って入れていくんだよ。
これで、こっちは前後終了だね。柚月の方も終了した? じゃぁ、取り付けて、ブレーキフルード補充して、エア抜きが終わったら、足回りは、とりあえず終了だね。
よし、キャリパーを取り付けて、ブレーキパッドも一緒につけて、これで、ブレーキ系の取り付けは終了だ。
じゃぁ、ブレーキフルードを私が補充するから、柚月がポンピング係ね、それで、優子と悠梨は、エア抜き担当ね。それじゃ、開始~。
柚月、そろそろラインにフルード回ってきたから、始めるよ。いい、悠梨からいくからね~。それ、ポンピングいくよ、1、2、3、OK。もう1回、1、2、3……と。
◇◆◇◆◇
これでブレーキ系も終わって、足回りは完了だね。
アライメント取りはあるけど、それは、私らじゃできないから、ひとまず完成として、そうだ、タイヤだ。
優子、タイヤどうするの? ホイールは、あれ使うとしても、タイヤは、あんな蒲鉾みたいな形になったのを使うわけにいかないじゃん。
まだ考えてないんだったら、水野にでも頼んだ方が良くない? 嫌なの? でもって、もう足回り終わったんだから、今すぐにでも、タイヤはあった方が良いんだよね。
……恐らく明日にでも、エンジンの方も終わるしさ、そうなったら、いつまでも、ここに置いておくわけにいかないんだからね。
よし、もう少し時間あるから、燃料系の取り付けも、出来るところまで、やっちゃおうよ。フィルターまでは先週終わってるんだよね。
その時に、ホースも新品にしてあるって? よしよし、よくやったぞ柚月、さすが私の犬だ。頭を撫でてやろう。
「私は、マイの犬なんかじゃないやい~!」
うるさい、柚月のくせに、結局はこうなるんだから、反抗せずに大人しくしてればいいのに……このっ! このっ!
「ゴメンなさい~、参りました~」
まったく、いつもいつも同じ結末なんだから、無駄な抵抗はするなっての、え? なに、悠梨、柚月と私は、いつもいつも同じネタでじゃれ合ってて、楽しそうだって?
違うよ! コイツが、いつも立場もわきまえずに反抗してくるから、お仕置きしてるんだよ……え? それがじゃれ合ってるんだって? 意味分からないよ、生意気な柚月のせいで、誤解されてるじゃないか!
さて、気を取り直して作業に入ろうね。
これが燃料タンクだね。おじさんが、洗浄してくれてるお陰で綺麗だけど、本来は、埃や泥がこびりついてるものなんだって。
てっぺんについてる丸い蓋みたいなところが、燃料ポンプなんだって。優子のR32は距離的には大丈夫だろうけど、放置されていた事から考えて、交換が妥当だろうという事で交換だね。
まずは、てっぺんにあるネジ6本を外すと、蓋ごと古いユニットが出てくるから、それを抜き出して、そっくり新しいユニットと入れ替えるだけだって?
注意点は、古いユニットを取り出す時に、知恵の輪の要領で抜くことと、入れる時も同じ要領だってことくらいだって。
それと、燃料ポンプを交換する際は、てっぺんにあるゴムパッキンは、絶対に新品にする事は、マストなんだって。ガソリンって、ゴムを膨潤させちゃうから、1回でも使ったら交換くらいの勢いらしいよ。
よし、完了したよ。ちなみに、日産車の場合は、タンクが車載状態でも交換できるようになってるけど、ハチロクなんかの場合は、燃料ポンプ交換する場合には、タンクごと降ろさないとダメらしいよ。
あれ、もう気がついたらこんな時間か、じゃぁ、今日は終わりにして、明日で完成目指していこうよ。
お読み頂きありがとうございます。
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次回は
翌日の作業前、終盤を目の前に、ある人がある人を一喝します。
お楽しみに。




