第2回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞 への投稿作品
聖剣エクスカリバーの偽物
勇者一行は、艱難辛苦乗り越えて、ようやく辿り着いた魔王の間。
意気揚々と聖剣エクスカリバーを抜き放ち魔王に対峙した勇者。
徐に魔王が呟いた。
魔王『勇者ょ。よくぞココまで辿り着いた。』
魔王『そのことダケは、褒めてやろうではないか。』
必死に笑いを堪えている魔王。
パチンと指を鳴らした魔王。
その瞬間、勇者は、『丁度よい長さの布団叩き棒』を握っていた。
聖剣エクスカリバーは、偽物だったァ〜
魔王『勇者ょ、魔法をかけたのではないぞ。魔法を解いたのだ』
魔王は、言い終わる前に笑い始めていた。
魔王『勇者ょ。せめて本物の聖剣を持って来てくださいネ(笑)』
笑い転げる魔王。気を取り直して、
魔王『勇者自身のポテンシャルの高さは、讃えようではないか(笑)』
魔王『その醜態に免じて生命は取らない。出直してくるがょぃ。(笑)』
魔王は 、勇者なんぞ訪れて来なかったかのように魔王の間から出て行った。
勇者一行は、微動だにできず、一言も発する事が出来なかった。
どのくら い時が流れたか? 気が付けば、日が暮れていた。
命懸けで入手した聖剣エクスカリバーが偽物だった現実が受け入れられない勇者は、最寄りの壁を力任せに『丁度よい長さの布団叩き棒』を打ち付けた。
もしも壁が布団であったなら、いい感じに叩けた感じがした。
一晩中、壁を叩く音が、魔王城中に鳴り響いた。