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脅威のうどん連携ッ!

「おいおいおい! かき揚げにぃを倒したっていう勇者はお前かぁ?」


 次には元気が良さそうな子供がやってきた。

 黄色の短髪。どこかボーイッシュな女の子だ。


「す、すみません、ぶっかけうどんちゃんはちょっとオラオラしてしまって……」


 もう片方は暗めな黄色の髪をしている。

 こちらも女の子だ。


「あぁ? あいつは敵だぞ? 今、うどんモンスターとしてはかき揚げにぃは眠っているが、やられっぱなしじゃあメンツってのが立たないだろ? つけ汁うどんよぉ!」

「ひ、ひぃ……! すみません、すみませんっ」


 つまり二人はこういうことだろうか。

 オラオラ系はぶっかけうどん。

 気弱系がつけ汁うどん。

 二人合わせてコンビで、かき揚げうどんがその兄だったと。

 敵ながら様々な関係性があるものだ。


「間違いなく倒したのはこの勇者ユーで間違いはないが」


「はっ、そういうことだと思ってたよ。このうどん好きの食通がッ!」


「ぶっかけうどんちゃん、それ褒めてるかも……」


「あぁ? まぁ、それでもいい。俺ぁ強え奴が好きだからなッ!」


「正面からの殴り合いが好みと見た」


「その通りだ。ぶっ潰して勝つ! 勢いよく、勝利する! それだけが生き甲斐よ!」


「豪快な生き方は性に合うな。私もちょいと気合を入れてみるかっ!」


「二対一だが文句は言うんじゃねえぞ!」


「望むところッ!」


「ついてこい、つけ汁!」


「は、はいっ!」


 真正面からやってきたのはぶっかけうどん。

 勢いよく、派手に、大胆に距離を詰めてくる。


「はッ!」


 勢いよく飛んでくる拳を掌で捉える。

 凄まじい衝撃だ。

 掴んだ手がひりひりする。


「ならばッ」


 後手に回ったが、こちらも抑えていない左手で攻撃を仕掛ける。


「甘いな」


 私と同じ要領で手を掴まれた。

 この状況は、互角ではない。


「つけ汁ッ!」


「わかりました!」


 上から急降下して、つけ汁うどんがキックを仕掛けてくる。

 まるで、うどんを大胆につけ汁の中に入れ込むかのように。

 上から降ってくるうどんに侵食されて衝撃を喰らうのは私と言うところか。

 このままでは美味しくいただかれる。


「調理されるつもりは……ッ!」


 片方の手の動きを緩めて、わざと重心を逸らす。

 そして、急降下キックの間合いから身体を逃した。

 ……成功か?


「つけ汁の実力を侮りすぎたなッ!」


 どういうことだ?

 確かに逸れるのには成功したはず。

 そのままつけ汁うどんが降ってくる。

 私がいない場所に。問題ないはずだ。

 しかし。


「……ぐっ!?」


 地面に振ってきた瞬間。

 まるで爆弾が破裂したかのような衝撃が身体を襲った。

 なんだ、何が起きた?

 ぐらつく視線で確認する。

 つけ汁うどんが地面に落ちてきた、それだけだ。

 それだけだが、強烈な衝撃はがあった。

 その破壊力を事前に知っていたぶっかけうどんは回避を行っていた。しかし、私は予測できていなかったのもあり、衝撃をモロに受けることとなった。

 地面を転がり、どうにか受けた衝撃を逃がす。それでも、強烈な痛みが走る。


「ひとつひとつが、強い……!」


 受け流しは不利。

 分が悪い賭けをしているのと同じだ。

 形成を立て直す為にいったん距離を開ける。


「これが『三味』ぶっかけうどんと」


「『四味』つけ汁うどんの……」


「合わせ技ってワケよ!」


 自信満々に説明するのも頷ける強さだ。

 大胆にうどんにかけて、うどん全体を制圧するようなぶっかけうどんの大胆さ。そして、調理された汁に丁寧にうどんを入れて一緒に食べるつけ汁うどんの、その両方の合わせ技。

 正直お腹いっぱいになるくらい強い。

 調理されている私はうどんであり、つけ汁でもある状態だ。

 料理人のまな板でただ横たわっている麺の生地の気分。

 そうした危うさを感じ取る。


「あの、降参するなら早めのほうがいいと思いますが……」


「気遣いは結構。敵同士、やるかやられるかの勝負だ。それにやられっぱなしっていうのも好きじゃないんでな」


「ですが……」


 好戦的ではないつけ汁うどんが諦めるように促す。

 しかし、ここで折れたらうどん好きの名が折れる。

 だから、反発の言葉を口にした。


「はっは、いい精神じゃねぇか! わかるぜその気持ち。まけっぱじゃいられねえよなぁ!」


 再度二人が走ってくる。

 ぶっかけうどんが先行、後ろにつけ汁うどん。


「だが、これで決着にしてやるよ!」


 ぶっかけうどんが、私を拘束してこようと全力で真っ向から襲いかかる。


「リベンジマッチで巻き返してやろうッ!」


 さっきの数段上の力を込めるべき。

 そう心に望み、力を引き出す。

 かき揚げうどんのような、うどん全体の力を引き上げるような、大胆で力強いパワーを。

 からっと揚がったサクッとした迷いない闘志を。


「おおおおおおおおッ!」


 拳と拳のぶつかり合い。

 純粋な力をぶっかけうどん相手にただただ、ぶつける。

 一手の攻撃で衝撃が走る。

 二手目にして、両腕が痺れる。

 だが、攻め手は緩めない。

 繰り返し打ち合いをする。

 少しずつ、じっくり揚げる揚げ物のように。

 まんべんなく焦がす油のように。


「な、なんだと……!? 俺が、押されている?」


 敵が怯んだ。

 打ち返す速度が私の方が素早くなっていく。

 動揺が焦りとなり、力に直接影響する。

 もしかしたら負けるのでは、と。

 そう、その焦りと同様を待っていた。


「……このタイミングでッ!」


 突き崩せる……!

 信念を持って正拳突きを繰り出す。

 打ち合いのペースを逸らして、一瞬のうちに二手殴りかかる。


「ぐはっ……!」


 一手先を行くことができた。

 打ち合いの果てに勝利したのは私だった。

 正拳突きの直撃によって、ぶっかけうどんをはじきとばす。

 全身を打ち飛ばして、今度は相手を地面に転がせられた。


「ぶっかけうどんちゃん!」


 そして次はつけ汁うどん。

 動揺している相手なら、こちらが優位を取りやすい。


「隙が出来た……ッ!」


 相方がやられたら同様するもの。

 その焦りを見逃すわけにはいかない。

 飛ぶ動作をするつけ汁うどん。

 だが、彼女の動揺で一瞬だけつけ入る余裕ができた。

 上昇の動作に動きを合わせる。

 そう、一緒に飛翔することによって。


「捕まえたッ!」


「ひゃあっ」


 ギリギリのタイミングで彼女を掴む。

 気が逸れていなかったらこのようなことはできなかっただろう。


「このまま二人仲良くぶつければッ!」


 軌道を修正。

 怯んでいるぶっかけうどんのところに確保したつけ汁うどんを誘導する。

 空中制御はきゅうりうどんの力で風を切ることによって、強引に。


「トドメ……!」


 つけ汁うどんをぶっかけうどんにぶつけるように空中制御し、私はその場で脱出。

 空から落ちてきたつけ汁うどんを逃れられず、ぶっかけうどんがダメージを受ける形になった。

 ……これで決着なはずだ。


「ま、まさか俺がかけられる側になるなんてな……」

「うきゅう……」


 くらくらした様子のつけ汁うどんと、ダウンしたぶっかけうどんが寄り添いあう。


「だが、いままで倒した連中は魔王城でくたばっているだけだから、回復したらリベンジはいつだってしてやるからな……」


 そういって両者とも光に包まれ、ぶっかけうどんの具材と、つけ汁うどんの具材が落ちていった。

 ……なんとか、勝った。

 正直次も勝てるかがわからない。

 まさかこんなに苦戦するなんて思っていなかった。

 ……今は、ただ身体を休めよう。

 帰路につきながら、そう思った。

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