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『二味』との激突

 生活様式は概ね現代と同じだった。

 強いて言うなら携帯電話のようなものがないくらいだが、なくても問題ない。

 私はうどんが食べれたらいい。

 ドットが用意してくれた朝のうどんを食べ、英気を養う。

 その後、昨日の街道で待ち伏せをした。

 今日の敵はいったい何者か。


「『二味』のかき揚げうどん。ふっ、一味のやつとは違うということを教えて揚げましょう」


 今度の敵はやたらキザな奴だった。

 見た目はかき揚げうどんかき揚げが柄になっているTシャツと、麺っぽい、けれども麺ではないマントを付けた存在。

 正直、普通の人間っぽい。


「お前はうどんモンスターなのか?」


 だから聞いてみた。


「ふっ、うどんの技術を技に転用している私が怪物だっていうならば、その答えは当てはまるでしょう」

「なるほど、怪物じみた力と言いたいのか」

「よろしければ、教えて揚げましょうか?」

「問題ない、その時に教えてもらうからな」


 嘘の情報に惑わされてもよくない。

 だから断った。


「ふふっ、嫌いではないですよ、その余裕ぶった態度は」

「待ち伏せされたところで動じないところも、強敵そうだな、かき揚げうどん」

「えぇ。では始めましょうか」

「そうするか」


 お互いに構える。

 そして、攻撃を待つ。


「『一味』は物理的な攻撃で撃墜されたという情報は確保済み。ならば、こういった攻撃はどうでしょうかねぇ!」


 仕掛けてきたのは当然のようにかき揚げうどんが先だった。

 襲い掛かってきた攻撃は……


「かき揚げッ!?」


 そう、巨大なかき揚げだった。

 身体全体を押しつぶせそうなくらい大きい。


「そうです、さぁ、どう対処するんですかねぇ!」

「この程度はッ……!」


 思いっきり、正拳突きで突き返そうと行動を起こした。

 しかし……


「熱ッ」


「ふっ、かき揚げがまさか揚げたてでないと思っていましたか? 甘いですねぇ」


 そう、このかき揚げは熱々だったのだ。

 それこそ、油鍋から今ちょうど出したといった温度で。

 キッチンペーパーみたいなものがあれば火傷は未然に防げるものではあるのだけれども、今、私は、素手で触ってしまった。相当な熱さが伝わってくる。よい子の皆は、くれぐれも真似してはいけない。

 軌道をずらして、直撃を回避できたのはいいがダメージを受けたのは私だけ。つまり、私の方が不利だ。


「油断したッ」


 村で貰っておいた傷薬を使って火傷を抑える。

 問題ない、まだ戦える。

 だが、状況は不利だろう。


「君がこの世界の人間ではないことも知ってますよぉ?」


 隙が出来たと判断してきたのか、本人が襲い掛かってきた。


「何故知っているっ」


 弾き返そうとしても、なかなかに協力で、むしろ押されそうになる。


「情報ソースというものがありましてねぇ。気軽に情報が手に入るんですよ」


「かき揚げにソースは似合わないだろ……!」


「好きな人は好きといいますけどねぇ」


「ぐっ」


 拳での応戦はかき揚げうどんが勝利。

 私ははじかれて、体勢を崩してしまう。


「おやおや興覚めですねぇ、この程度で終わりですか」


「まだだ」


 立ち上がろうとする。が、少しよろけて動けない。


「では、抵抗も無駄ということを教えてさし揚げましょう!」


 再びかき揚げうどんの技が来る。

 巨大なかき揚げ攻撃。

 今の姿勢では打ち返すのも困難。

 傷薬で治しているとはいえ、再び火傷を負うとそれこそ危険だ。

 なら、どうする?

 手段はあるのか。

 手段。

 ……きゅうりうどん。

 あった、きゅうりうどんの力だ。


「私は揚げ物になるつもりはないッ!」


 奮起して右腕を真正面に伸ばす。


「素手で、何をするつもりですかねぇ!」

「揚げたものを乗せたうどんは確かに美味しいが! ちょいと量が多すぎるとバランスが崩れる、だからッ!」


 成功することを祈って、縦に、横に右腕を動かす。

 刻むように、切り刻むように。


「な、なんだと!?」


 包丁で切り込むように、鋭い風の刀を作ってしまえばいい。

 なんでも斬れる、美味しく分配できるように。


「かき揚げは、うどんを目立たせるべきだ」


 地面に四等分された巨大なかき揚げが落ちていく。

 じゅうじゅうと、音を立てながら。

 ……成功した。

 きゅうりうどんから学んだ、切る技術が。


「あ、ありえない。私のかき揚げが負けるなんて」


 敗北を考えていなかったかき揚げうどんが困惑する。

 そう、かき揚げは人気だ。

 だからこそ、怠慢は許されないのだ。


「お前の敗因ははっきりしている」

「な、なんだ」

「料理の研究は日々、進歩を続けているのに、お前は過去のデータに囚われすぎた。……美味しいの追求に、終わりはないというのになッ!」


 トドメの一撃を何回も加えていく。

 うどんモンスター、かき揚げうどん。彼は強敵だった。


「じ、じゅわァ!」


 まるで花火のように打ちあがると、彼も再び食材を落とした。

 かき揚げと、うどん。その二つだ。


「配分には気を付けないとな」


 油ものはどうにもお腹に貯まりやすい。

 いい油で揚げて、しっかりお腹に余裕を持たせて食べるのが大切なのだ。

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