うどんを食べると元気になるぞッ!
私を案内してくれた少女の名前はドット。
彼女が住んでいる村は名前がないものの静かな空間。
この世界の名前はドン・ウドゥン。
いま、うどんの名を持つ『七味』が世界を陥れようとしている。
そして、私が倒した一味きゅうりうどんは、どうやら『七味』の内の1人だったらしい。
随分と単純な話だ。
「私が倒したのは一味。つまり七つ倒せば平和になるということだろう?」
「はい、後は魔王がいるだけです。有象無象は怖くないのですが七人の存在は強敵です……」
「『七味』が強いと」
「はい、真っ当に戦うとなると辛い相手です」
「なるほどな」
からいではなく、つらいだ。間違ってはいけない。私自身、間違えそうになるけれど、つらいのは間違いなさそうだ。
「勇者として倒さないといけない敵、といったところか」
「はいっ。ただ、あっちも状況を把握していると思うので、すぐに襲ってきそうですけれど……」
「……はっ?」
ゲームとかならこういうのは自分から赴いて戦うのが基本だろうと思っていたので、その判断はとても驚く。
「水晶で村の周辺は感知できるのですが、一日くらいしたら多分やってきますよ?」
「どうすればいいと」
「英気を養って戦ってもらうしかないですねっ!」
なんていうか強引さを感じる。
あの女神が関与している世界だからかは知らないけれど、なんか恐ろしくいい加減なノリを感じずにはいられない。
「ほら、さっきの食材で料理も作りましたので!」
「仕事が早いなっ」
とんと置かれたそれは冷たいきゅうりうどん。
魔物ではなく、本物のきゅうりうどん。
「食べても?」
「いいですよ! その分、戦ってくれれば」
敬語で静かな様子かと思ったけれども、そうではなかったみたいだ。
だが、仕方がない。
きゅうりと共にうどんを口にしてみる。
「こ、これはッ!」
独特な美味しさを出すきゅうりに、うどん、そして汁。シンプルな味だからこそ美味しいという素晴らしいコラボレーション。
もちもち、シャキシャキ、こってりの三連打。そう、バランスだ。
これはいい。美味しい。
「やる気が俄然沸いてきた」
「多分、他の『七味』のやつも同じようにうどんを落としてくれると思うから、素材をくれたら作ってみるね」
「よし、やろう」
この味が堪能できるのなら幾分かの労働は耐えられる。
負けられない闘いがそこにあるのだ。
椅子から立ち上がろうとした瞬間だった。
「……今ならみじん切りもできそうだなッ!」
私の中から湧き上がる力を感じた。
「おぉ、噂に聞いた通り。うどんでこんなにやる気になる存在を見たの、なかなかに久しぶりかも……」
「うどんが食べれるならより気合を入れなければなっ」
テンションも上がってきた。
うどんの名を冠した存在を倒す。
それを行ったのちに、うどんを食す。
その二つを意識すればいいだけだから。
「あっ、明日に襲撃は来るだろうから今日は休みなよね」
「わかった」
だが、素直に異世界の生活を知ることも大切だ。
少女ドットの言葉を素直に受け止めた。




