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異世界でもうどんは食べられますか?

「……ということで、貴女様はどかーんって吹き飛んじゃったのです。おけおけ? あっ、私は神様だけどまぁ適当にあしらっても構いませんよ」


 爽やかな笑顔で出迎えてきたのは黄色髪の女性だった。自分のことを神様と言っている。

 ……随分、いい加減な態度だ。

 空間としては、見知らぬ空のような空間。

 見えない足場の上に私と女性は立っていた。


「……知らんな。私はただうどんを食していただけだというのになぜ爆発に巻き込まれなければならないのだ?」


「まぁ、端的に言ってしまうと、ちょっと救ってほしい世界があるからですね」


「おい、質問に答えないのか?」


「質問に答えますと、世界を救ってほしいからちょっと都合のよさそうな存在をサルベージしたかったっていうのがあります」


「随分いい加減な理由だな」


「自覚はあります。でもまぁ、助けてほしかったので、強引に来てもらいました」


「うどんに罠を仕込んでか」


「厳密に言うと、丼の方でしたけど。光り輝くうどんは美味しかったですか?」


「悪くない味ではあった」


「それならよかったです。うどん好きの方の食事を妨害してしまう目論見はありませんでしたから」


 強引な理由でこの空間に連行されてしまったが、あの輝きは、うどんの食事を阻害するつもりではなかったらしい。

 それだけで、まだましなように感じた。

 光るうどんを食す手段などそうそうない。だから、いい経験になったのは間違いないはずだ。


「ところでこの空間はどこなのかを聞きたい」


「天界、みたいに言いたかったんですが、空間と空間の間みたいなところです。まぁ、異世界に転移するための手続き的空間と思っていただけたら」


「……わかった」


 深く聞く意味もないだろう。

 頷いておいた。


「念の為に聞くが、人違いということはないだろうな?」


「えぇもちろん。二十歳付近の女性、ちょっと変わった口調をしていて、うどんが好きで身体を動かすのが得意な方ですよね」


「間違ってはいない」


「では問題ありませんね」


「急な転移には少し文句をいいたいところはあるが」


「それは許してください、こっちの事情なので」


 口調については致し方がないかもしれない。

 転移のことについては、文句はあるが、まぁ諦めが付くからいいだろう。


「なにか質問はありますか?」


「移転先でうどんが食えるかどうかについて」


「んー、嫌と言うほどですかね? それでちょっと厄介ごとみたいなのがあったりして……」


「どういうことだ?」


「行けばわかりますゆえ、あ、貴女のうどんを食べるとパワーアップする性質は把握してますんで。結構凄いって聞いてますからね、それ。だからあとは適当に魔王みたいな……うん、諸悪の根源をぱぱって倒しちゃってくださいね。そしたら元の場所まで戻れるように検討します。あっ時間ですので、私は返りますね~」


 そう言って女神は離れていく。

 空へ、空へ。

 呼び出しといていくらなんでもそれは……


「なっ、無責任にもほどがあるぞ、おい!」

「まぁ、貴女ならきっとどうにかできますので。頑張ってくださいな勇者様っ」


 最後だけ猫なで声になって女神は消えていった。

 そして、私は取り残され、やがて体が消えていった。

 わけのわからない状態のまま、私は異世界に飛ばされたのだ。

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