逆転の兆しッ
走馬灯のように過った過去の風景。
守りたかった日常。
思い出して、意識を取り戻す。
……敵の奇有利混沌が怯んでいる?
「真の一味の力を侮ったな……ッ!」
背面から炎の刃が伸びていた。
真の一味……焼きうどんが援護しにきたのだ。
「調子に乗るな、小僧ッ!」
私を縛っていた手を一つ離して、焼きうどんに襲い掛かる。
焼きうどんは屈んでその一撃を回避。
……いまなら、逃れられる!
「はッ!」
手の衝撃波で奇有利混沌の手を攻撃し、足を使ってその胴体にも攻撃を加える。
「ぐ、うぅぅ!」
一瞬の力の緩みを逃さず、もう一度敵を踏み台にして、高く舞い上がる。
……危機的状況を脱することができたっ。
しかし、この後どうすればいい。
思考を加えているその時だった。
「助けに来ましたよっ!」
四味つけ汁うどんが私のことを掴んできた。
「どこに連れていくつもりだ?」
「ええと、酷い傷を受けてるので、とりあえずドットさんのところへ……」
「わかった」
「焼き兄さんは回復済みで、あとけんちん兄さんも頑張ってくれるようなので、詰めをお願いしたいのです」
「やれることがあるなら、手伝うっ」
即座に降り立ったのはドットの下。
戦場から少し離れているが戦線復帰もすぐに行えるような位置だ。
「ひでぇやられようだな!」
三味ぶっかけうどんが声をかけてくる。
「危うく、といったところだったですね」
二味も心配そうにそう呟いた。
「油断しすぎたかもしれない」
自力で立ち上がり、ドットの前まで行く。
「あえて言うけど、回復はもうこれっきり。七味みんな回復してたら魔力からっぽになっちゃって。……大丈夫だよね」
「問題ない。次で決める」
ドットの魔力を受けて、もう一度再起する。
腕の調子も良好。
足も正常に動く。
二味の力も解放可能。
戦える。
「そういえば、お前はけんちん兄ぃに勝ったってことはその技術を応用できるんだろ?」
「……身体ができるって感じにならなかったから、使えなかったんだ」
ただ一つの心残りはそれだった。
今までの技と違い、その技術だけは使いこなせていないかった。
「けんちん兄さんの技術……それは、心だと聞いたことがあります」
「心?」
いままでとは違う抽象的なものだった。
「一念一刀。迷いなき心が宿る極限の境地。そういったもの」
二味がそう呟いた。
「……私の技術を使いこなせているなら、きっともう問題ないですよ」
「あとは……うどんの力を信じればいい。それだけだから」
ドットから声援がくる。
うどんの力を信じる。
そして、自分の心に向き合う。
……大丈夫だ。
きっと、もう大丈夫。
「行こう。決着を付けに」
「おうよ!」
「出来る限り、頑張りますっ!」
「からっと仕上げちゃいましょうか!」
これが、正真正銘の最終決戦。
決着を付ける時だ。




