その61
アルセウスをクリアしたり卒制が忙しかったりウマとポケマスにハマったり二次創作を楽しんだり色々してましたすいませんでした
グレーゼは顔を下に向けると息を吐き出し、自分を落ち着かせる。シュティレは警戒しながらも次の言葉を待った。
「この国は負ける、絶対に。ジェニングスはもう使い物にならない。上だって気づいている。だけど、国民は勝つって信じてて、引くに引けない状況で……」
グレーゼが顔を上げる。涙は奥へ引っ込み、仏頂面をシュティレに向け、袋を投げつける。袋の重さと感触から、中に入っているのは札と銭だ。それも相当な額。
「己が時間を稼ぐ。もしアーデルに何かあったら容赦しない」
「……あー、ちょっと聞いてもいい?」
シュティレは立ち上がり、グレーゼは首を傾げる。
「あのさ、どうしてウィンチェスターさんに思ってること伝えないの?」
「……住む世界が違う、それだけだ」
「……俺が言えたことじゃないけど、言えるうちに言うのも手だよ。俺はそれで後悔してるから」
グレーゼはドアノブに手を掛ける。
「己は……それをする勇気がない。お前と同じだ」
それだけ言って部屋を出ていく。シュティレはため息を吐いて頭を掻いた。
「さてと」
誰もいないことを確認して部屋を出ると、向かう先は隠れ蓑としていたレストラン。だがそこに人はいない。教えてくれればいいのに、でもこっちも必死か、と心の中で悪態をついてシュティレはウィンチェスターがいそうな場所を考える。妻子がいる自宅。そこが思いついた。迎えに行くべきだろうがあの三人が家に行ったかどうかが気になる。どちらを取るべきか、シュティレは悩む。
「ヴォルカニック、よかった……!」
後ろを振り向くと、そこにいたのはウィンチェスター。急いで来たのか、息が荒い。
「頼みがある。妻と子を、みんなの家族をどうか守ってくれ」
息を切らしながらウィンチェスターが言う。そして、手渡された金銭。あんたは一体どうするの、シュティレが聞けばウィンチェスターが答える。
「……私と数人が指導者ということでことを収める。裁判でなるべく時間を稼ぐ。だから、その間にみんなを逃してくれ。頼む」
シュティレは、ちょっと待って、と身振りを示す。
「あんたは? 逃げないの?」
「私は覚悟から逃げない。務めは最後まで果たす……だが、それと家族は別だ。甘いのはわかっているがな」
頼んだぞ、とウィンチェスターはレストランから出て行こうとする。待って、とシュティレは声を上げた。
「グレーゼ! あいつはあんたを逃がせって……こんな時なんだよ、聞いてあげなよ。少しでも、あんたがあいつのこと大切に……幼馴染として大切に思うなら」




