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その56
お久しぶりです、10月からはちゃんと更新ペース戻します。
結局、ナハトの期待は実ることはなかった。そもそも、父親は死んでいるのだから期待も何もないが。シュティレが探していたのは言い訳だった。
ベレッタが軍医として入隊してフィデーリタースを拾って側近としたあたりに、ナハトのもとに父親が病が元で死んだことを知らせる手紙が届いた。
「……ごめん、何もできなくて」
ミナヅキ・ムラマサの最後を知ったのは随分前だ。病死なんて嘘だ。本当は、ナハトが軍に入隊させられそうになった時、抗議したことが原因で拷問されて、それが原因で死んで。それを知っているのは上の人間と、ムラマサ家の中でも限られた人間のみ。ムラマサ家の人間はミナヅキを、戦争を拒否した哀れな息子、として扱ったそうだ。
今までナハトに送られてきた手紙は全部他の人間が筆跡を真似て代筆したものだ。
ナハトは首を横に振る。
「ありがとう」
責められることを覚悟していた。それは受け入れなければならないと思っていた、なのに、ナハトが口にしたのは礼だ。
本当に馬鹿なやつ。シュティレは自責する。




