その45
明けましておめでとうございます
私事ですがpixiv初めてみました。心緒関連のイラストまとめてますよかったら見てください。リンクはユーザーページにあります(2021/01/07)
大泣きして、泣き疲れて眠ったイノセンスの背を撫でながら、シュティレは大きくため息をついた。
ベレッタの家につき、フリューリングにイノセンスがいる部屋まで案内してもらった。
「イノセンス、不安がって、ずっと泣いてました。もう……ヴォルカニックさんが帰ってこないんじゃないかって」
「……何? あいつ、しゃべったの?」
フリューリングは首を横に振った。
「その……わかるんです。なんとなく」
なぜわかるの、そう聞けなかった。
フリューリングは自分が捨て子であることを理解している。兄から聞いたのか、母から聞いたのか、それとも父親から聞かされたのか。捨て子だからわかることもあるのだろう。
「……イノセンス。毎日ずっと窓の外見てて……ヴォルカニックさんが帰ってこないか」
「……そう」
出会い頭に泣かれたりするだろうか。泣かれること、それが一番困る。子供が泣くとどうあやせばいいかわからなくなる。
案内された部屋に入る。フリューリングはシュティレが部屋に入るのを見届けると、兄の元へと向かっていった。
「……イノセンス、イノセンス」
床に横たわるイノセンスの体を揺する。なぜ床で寝るのだろう。家にいた時はベッドで眠っていた。ベッド眠ることを教えた。それに、少し痩せている。ろくに食べていなかったのか。
イノセンスが目を覚ました。そして、こちらを見るなり泣きながらこちらに抱きついてきた。
「ちょ、イノセンス?」
イノセンスは子供のように泣きじゃくり、必死になってシュティレに縋り付いている。
こういう時、どうしてやればいいのだろうか。あの男は、夢見が悪くて泣いていた自分の背中を撫でてくれた。あの男が撫でてくれたように、イノセンスを初めて寝かしつけた時のように、手を動かしてみる。
腹の傷が痛む。早く横になりたい。イノセンスのことを放り出して、楽な体制を取りたい。けれど、泣いているイノセンスを放っては置けなかった。頭を撫でてやって、名前を呼び続けた。
そうすれば、段々とイノセンスは落ち着きを取り戻し始め、声をあげて泣くことはしなくなった。けれど、静かに泣きながありったけの力を出しながらシュティレに縋り付いている。
「イノセンス、ちょっとこっち行こう?」
いつまでも床に倒れていたくない。痛みを少しでも緩和するために、息を深く擦って吐き出す。イノセンスの体を抱き上げて、二人してベッドに倒れ込む。
「……いい加減泣き止んでよ、ね?」
イノセンスは聞かない。必死にシュティレにしがみついて、離すまいとありったけの力を出している。
あの男が家を開けた時、寂しかった記憶がある。今思えば、あれは別の女のところに行っていたのだ。仕事と偽って。そんなことを知らなかったばかな自分は、帰ってきたあの男に抱きついて、男に甘えていた。
「……子供って、ほんと面倒」
イノセンスの背中を撫でながら、シュティレは目を閉じる。




