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心緒  作者: 宮田カヨ
44/62

その44

クマサンフェス記念(昨日投稿するとか言っときながら忘れてました、すいません)

 ベレッタとともにろくに整備されていない道を歩く。一応人が歩けるようにはなっているのだが、砂利や小石は辺りに散らばり、怪我をおった体では歩きにくい。

「……ナハトもあんたも妹も、よくこんな場所住めるね」

 シュティレがそうぼやけば、ベレッタも疲れたように息を吐き出しながら言った。

「まあ、しゃあねえよ。お偉いさんたちは田舎なんざに金かけたくねえんだろ」

 ベレッタの生家は、首都からは離れた北の村にあった。列車で以降にも途中の町までしかいかず、そこからは歩いて行くしかない。歩くと言っても二時間以上はかかる。

 車、買っとくべきだったな。シュティレはそう思った。行きはそう感じなかったが、帰りはイノセンスを背負って帰るのが億劫だ。傷が治るまで滞在するわけにもいかないし、無理に動けば傷が開きそうだ。

「……しんど」

「……まあ、家着いたら休めや。ベッド貸してやるからよ」

「……そうする」

 いくら傷の治りが早いとはいえ、長時間歩くのは傷に触る。ベレッタにもらった痛み止めを飲み込み、時間をかけて道を歩く。

 ふと、人の声が聞こえた。我に帰り、数回瞬きをする。

 首都と違い、荒い石畳に、溢れる木々。家が並び、近くには鶏が歩いている。

「……相変わらず寂れた場所だね」

「……お前、ここの出身の人間が隣にいてよくそれが言えるな」

 ベレッタは、この村で一番大きな家の息子だった。この村唯一の医者の家系で、この村で権力者のような役割を担っているらしい。

「てか、あんたのところの親がよくイノセンス預かってくれたね」

「ん? なんでだ?」

「あんたの親父、うるさいんでしょ?」

 こんな辺鄙でコミュニティーが狭く、何もないような場所で、イノセンスのような男がきたら噂になりそうなものだ。特に、ベレッタの父親は偏屈な男で有名だ。

肌の色が違えば間違いなく露骨なまでに見下し、人として扱わないような男。ベレッタからそう教えてもらった。

「ああ、お袋のおかげだな。お袋が言ったんだよ、人参は客人だから下手なこと言うなって」

「……尻に敷かれてるの?」

「まあな、うちはお袋に逆らったら家での発言権なくなるからな」

 フリューリングは捨て子だった。ベレッタがナハトと二人で遊んでいた時、川で流れていたところを拾ったそうだ。

捨て子でどこの国の血を引いているかわからない少女を、あの父親は受け入れるのを嫌がったらしい。それが母親の一言で、父親は受け入れざるを得なくなったらしい。

「まあ、親父も下手はできてねえはずだ。安心しろよ」

「……何に?」

「心配なんだろ? 人参のこと」

「は? してないんだけど」

「嘘つけ、お前すぐ否定する時図星だろ?」

「してないって言ってんでしょ!」

 大声を出すと傷が痛む。患部を押さえながら、じろりとベレッタを睨みつければ、笑って返された。


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