その44
クマサンフェス記念(昨日投稿するとか言っときながら忘れてました、すいません)
ベレッタとともにろくに整備されていない道を歩く。一応人が歩けるようにはなっているのだが、砂利や小石は辺りに散らばり、怪我をおった体では歩きにくい。
「……ナハトもあんたも妹も、よくこんな場所住めるね」
シュティレがそうぼやけば、ベレッタも疲れたように息を吐き出しながら言った。
「まあ、しゃあねえよ。お偉いさんたちは田舎なんざに金かけたくねえんだろ」
ベレッタの生家は、首都からは離れた北の村にあった。列車で以降にも途中の町までしかいかず、そこからは歩いて行くしかない。歩くと言っても二時間以上はかかる。
車、買っとくべきだったな。シュティレはそう思った。行きはそう感じなかったが、帰りはイノセンスを背負って帰るのが億劫だ。傷が治るまで滞在するわけにもいかないし、無理に動けば傷が開きそうだ。
「……しんど」
「……まあ、家着いたら休めや。ベッド貸してやるからよ」
「……そうする」
いくら傷の治りが早いとはいえ、長時間歩くのは傷に触る。ベレッタにもらった痛み止めを飲み込み、時間をかけて道を歩く。
ふと、人の声が聞こえた。我に帰り、数回瞬きをする。
首都と違い、荒い石畳に、溢れる木々。家が並び、近くには鶏が歩いている。
「……相変わらず寂れた場所だね」
「……お前、ここの出身の人間が隣にいてよくそれが言えるな」
ベレッタは、この村で一番大きな家の息子だった。この村唯一の医者の家系で、この村で権力者のような役割を担っているらしい。
「てか、あんたのところの親がよくイノセンス預かってくれたね」
「ん? なんでだ?」
「あんたの親父、うるさいんでしょ?」
こんな辺鄙でコミュニティーが狭く、何もないような場所で、イノセンスのような男がきたら噂になりそうなものだ。特に、ベレッタの父親は偏屈な男で有名だ。
肌の色が違えば間違いなく露骨なまでに見下し、人として扱わないような男。ベレッタからそう教えてもらった。
「ああ、お袋のおかげだな。お袋が言ったんだよ、人参は客人だから下手なこと言うなって」
「……尻に敷かれてるの?」
「まあな、うちはお袋に逆らったら家での発言権なくなるからな」
フリューリングは捨て子だった。ベレッタがナハトと二人で遊んでいた時、川で流れていたところを拾ったそうだ。
捨て子でどこの国の血を引いているかわからない少女を、あの父親は受け入れるのを嫌がったらしい。それが母親の一言で、父親は受け入れざるを得なくなったらしい。
「まあ、親父も下手はできてねえはずだ。安心しろよ」
「……何に?」
「心配なんだろ? 人参のこと」
「は? してないんだけど」
「嘘つけ、お前すぐ否定する時図星だろ?」
「してないって言ってんでしょ!」
大声を出すと傷が痛む。患部を押さえながら、じろりとベレッタを睨みつければ、笑って返された。




