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心緒  作者: 宮田カヨ
36/62

その36

スプラフェスお疲れ様でした! ちなみにニワトリチームで参加しました。

グレーゼの名前をアーモン・グレーゼからシュメル・グレーゼに変えました。よろしくお願いします(2020/08/31)


 一通り話終えてから、そういえば、とシュティレが口を開いた。

「なんだ?」

「レミルトンって男知ってる?」

 あの男はうまく利用できそうだ。うまく使えば、きっと全員を助けることができる。

「レミルトン……ああ、あいつか」

 合点がいたようだ。

「この顔では会ったことはないが、何度かあったことがある。有名な男だ。情深い性格は軍人に向いていない」

「やっぱり」

「……あいつは『懐刀』の奪取に失敗したと聞いた。お前もそれに関与していたようだな」

 シュティレはため息を吐く。

「……コルトさん、前から思ってたんだけどナハトのこと物扱いするのだけはやめてくれない?」

「なぜだ? 帝国にとって、あれはいい道具なのだろう?」

「確かに、『帝国』にとってはね。けど俺含む数人はそんなふうに思ってない」

 あいつのこと友達だと思ってるから、その言葉は飲み込んだ。自分はそんなことを言うような柄ではない。

 ストリクトは面倒臭そうな顔をする。自分以外のことは物としか思っていない目だ。一昔前の俺だな、とシュティレは嘲笑した。だが、自国に忠誠心を持っている点と情を向けることのできる相手がいるかでは全く違うが。

「……特定の個人への情は邪魔となる。今のうちに捨てておけ」

「俺のこと心配してくれてるの? それは情に入るんじゃない?」

 なんだ、珍しい。少しからからってやろうと、わざと神経を魚でするようなことを言えば、ストリクトはシュティレを睨むと路地の奥に姿を消す。

 シュティレは懐に手を伸ばす。取り出したのは煙草だ。イノセンスを側近として迎えてから、ろくに吸えていなかったものだ。匂いがつくからあまり吸えないが、一度吸うだけでだいぶ違う。

「妹。さっきから何してるの?」

 話術でストリクトの気を逸らすのは骨が折れそうだった。もし見つかっていたら、きっと殺されていただろう。ストリクトは慈悲のない男だ。

「怒らないから、出ておいで。もうあの人はいないから」

 影から出てきたのはフリューリングだった。白い猫を腕の中で抱え込むように持ち、壁に身を隠していた。

「あ、あのヴォルカニックさん」

「聞いてたんでしょ?」

 困ったように目を伏せるフリューリングに、シュティレの中で悪戯心が顔を出す。

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