表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
心緒  作者: 宮田カヨ
31/62

その31

ニュイ編は一旦終わりです。次の主人公が誰なのかは、次回の更新お楽しみに。

 硝煙の匂いがこびりついて離れない気がした。銃を下ろし、荒く呼吸をする。砂埃も一緒に口の中に入って、ニュイは思わず咳き込んだ。血反吐とともに砂を吐き出し、地面に散ったそれを靴で擦る。

 戦っても無駄なことなのに、なぜ彼らは抗おうとするのだろう。他者を傷つけたいわけではないのに、なぜ自分はこの場に立っているのだろうか。

 アーデルが何かを言っている。治っていない傷が開き、新たにできた傷から血が流れる。目の前が暗く、足元がおぼつかない。立っていられなくなり、その場に座り込む。痛みには耐えられても、さすがに血液を失うことには耐えられないようだ。

 アールツトが近づき、何も言わずに傷の手当てをする。資源を無駄に消費するだけだと言っても聞かなかった。

「聞いてたか? ウィンチェスターの話」

「……いいや」

 息絶え絶えに答えれば、アールツトは処置を進めながら口を開いた。

「お前を含む数人は一回帝国に戻るんだとよ」

「……なんで?」

「……ここの連中は、もうお前がいなくても大丈夫って判断でもしたんだろうよ」

 ああ、そうか。俺が逃げないか心配なのか。ニュイはため息をつく。

 傷を治して欲しくない。このままでいい。そうすれば、きっと死ねるから。

「それに、お前の様子がおかしいことは多分上に伝わってる」

「……そうか」

「……あまり自暴自棄になるな。お前が死んだら、ヴォルカニックの苦労だって、あいつらだって……」

「……ああ、わかってる」

 少し眠い。できることなら、今ここで眠ってしまいたい。

 アールツトに支えられ、立ち上がる。

 ふと、隣に目を向ける。視界の端に、長い銀髪が目に入った。

 なんでお前がそんな悲しそうな顔をするんだ。お前には関係のないないだろう。もうこれ以上、俺のことを見ないでくれ。お前に見られると、縋りたくなるから。助けてくれないのなら、どうか突き放してくれ。

 そう言いたかったが、眠気には抗えず、ニュイは目を閉じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ