表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
心緒  作者: 宮田カヨ
29/62

その29

三角様のお尻ナーフ反対!

「……なにを、血迷っているんだ?」

 やっとの思いで開いた口から出てきたのは、震えた声だった。

「……血迷ってなんかない、本心だ」

「自ら死を望むなんて、血迷っている奴以外しない行動だ!」

 敵に情なんて向けない方がいいのに。命取りになる行為だ、もしこの涙が嘘だったらどうするつもりなのだろう。正味優しい男なのだろう。

 プラヴァスは声を振り絞る。

「自ら死にたいなんて、思う奴はいない! 思い直せ!」

 敵の、しかも戦いにおいて重宝されている男が死を願っているのに、それを好機となぜ思わないのだろう。普通ならこの場で息の根を止めるだろうに。

「ともかく、それ以外なら」

 プラヴァスが急に押し黙った。視線の先を見ると、シュティレが手を上げていた。口元に人差し指を当て、闇を見つめている。

 プラヴァスを指差すと、指を闇の方へ向けた。姿を消せ、そう示している。誰かが来たということだ。プラヴァスは、また来る、と小さく告げるとその場を後にした。

 誰に話を聞かれたのだろうか。もしグレーゼあたりに聞かれでもしたら、弱みを握ったと嬉々としてニュイを痛めつけるだろう。告げ口だってするに違いない、しかも湾曲した最悪の形で。

「……二人とも、なにをしている」

 建物の影から出てきたのはアーデルだった。ブロンドの髪は、暗くてもよく目立った。

「……ジェニングス、ヴォルガニック。早く戻れ、身を休めろ」

 上官としての態度を崩さないアーデル。話を聞いたのではないのか、ニュイの顔にはそう書いてある。

「……言っておくが、私はお前たちがなにを話していたかは聞いていない」

 アーデルは踵を返すと、闇の中へ消えていった。

「……絶対聞いただろうね、あの人」

 完全に気配が消えてから、シュティレが口を開く。ニュイは腹を抑えながら、荒く息を吐いた。

「……聞いただろうな。間違いなく」

「どこから聞いたかはわかんないけど……あのレミルトンとかいう男、声大きいから全部聞かれてたりして」

「……それ、やばくないか?」

 他の者にも聞かれたら都合が悪いことだ。けれど、シュティレは笑みを浮かべている。

「やばくなったら逃げる、詐欺師の鉄則だよ」

「……自分で自分のこと詐欺師っていうか?」

「いいでしょ、実際そうだし。まあ、『元』だけど」

 腹を抑えたニュイに、シュティレは手を差し出した。

「痛いでしょ? 支えてあげるよ」

「……別途料金かかるけど、だろ?」

「よくわかってんじゃん」

 涙を拭いて、手を取る。止めようと意識すればするほど涙は溢れたが、シュティレは気にしていないようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ