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心緒  作者: 宮田カヨ
25/62

その25

誤字報告ありがとうございます、修正しました。いやどうやったらあんな間違いするんだろう…(自問自答)(2020/10/15)

「ナハトの心配、する意味ねえと思うぜ」

 駐屯場に戻る途中、アールツトの声が聞こえた。声のした方へ向かうと、アールツトとフィデーリタースが何か話し込んでいるようだった。別に隠れなくてもいいのに、ニュイは瓦礫の山が作り出した陰に身を潜めた。シュティレは途中で眠ってしまったイノセンスを背負いながら、身を隠す。

 瓦礫の影から、二人の様子を見る。フィデーリタースの長い銀髪は、暗闇の中でもよく目立った。

「……俺には、その資格はないと?」

 フィデーリタースの問いに、アールツトは少しだけ笑っていた。

「そう言っちゃいねえよ」

 頭が冷えたのか、声は落ち着いている。自分のことについて話しているようだが、一体何を話しているのだろう、とニュイは聞き耳を立てる。

「ヴォルカニックが見に行ったんだ。下手なことはされねえよ」

 下手なことはなかったが、変な奴には会ったけどな。言えばきっと面倒なことになるので、黙っているつもりだが。

「……そうかも、しれませんが」

「……そろそろ戻ろうぜ、もしかしたらもう戻ってるかもしれねえ」

 アールツトの声は眠気を帯びている。早く寝たくて仕方がないようだ。

「……ベレッタ一等軍医生」

 フィデーリタースが呼び止めた。

「あなたは、俺がナハトの痛みを理解していないとおっしゃいましたが……あれはどういう意味なのですか?」

「……あいつが、お前のことなんであの時助けたと思う?」

 陰から出ようとすれば、シュティレが止めた。

「お前は、学もなけりゃ礼儀作法も知らねえ奴だった。あいつが今まで拾ってきた奴には学もありゃ礼儀を知ってる奴がいた。側近なんて、そん中から選べばよかった。けど、あいつはしなかった。お前を選んだ。なんでだと思う?」

「……ナハトが、優しいから」

「それもあると思うぜ、あいつはお人好しだからな。けど、それだけじゃないと思うぜ」

「……と、いうと?」

 アールツトは言葉を濁した。言うべきか否か、悩んでいるようだ。

「……もう戻ろうぜ、眠くて敵わねえ」

 結局、アールツトは言わないことを選択したようだ。駐屯場へと戻っていく足音が聞こえた。それに遅れを取りながら、もう一つ足音が聞こえた。その音と気配が消えてから、ニュイたちは陰から出た。

「……何というか、面倒だよね。お前達」

 面白いものを見れなくて残念、シュティレの顔にはそう書いてある。いいやつなのか、嫌なやつなのか、時々シュティレがわからなくなってしまう。

「……うるさい」

 そんなこと、自分が一番よくわかってる。

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