その20
とても難しい
タイトルがその21になっていました。正しくはその20です。申し訳ありませんでした(2020/05/15)
雨が降っている。それはニュイ達から体力を奪い、視界を奪っていった。泥が足を掴み、身動きを制限する中、ニュイは必死になって前に進んでいた。立ち止まってしまおうか、そう考えた。そうすれば、もうここにいないで済むのではないか。けれど、頭の片隅で声が響き、ニュイは立ち止まることを諦めた。
立ち止まってしまえばあの人たちはどうなる。俺のせいで、あの人たちを。
銃弾を避ける。その代わりに、相手に銃弾を打ち込んだ。撃ち抜いても正しい処置さえ施せば命に関わらないような部位を狙った。そうすれば、大概の者は戦意を喪失するからだ。いくら体が頑丈でも、痛みには耐えられる人間はいない。ニュイに撃ち抜かれた敵国の軍人は、銃を落として痛みに悶えた。悲鳴を上げているのは明らかだったが、爆撃や銃声、その他の人間の声に紛れてニュイの耳には届かなかった。
早く投降してくれ、もう傷つけたくない。ニュイの願いは叶わなかった。相手側は銃を捨てなかった。相手が戦意をなくさない限り、ニュイは銃を向けてなければならない。こんなこと、誰もやりたくないはずなのに。
気がつくと、かつて帝国がベースとしていた、同盟国の村まで来ていた。無残に壊された民家が目に入る。突っ走っていたようで、ニュイの後ろにはフィデーリタースしかいなかった。
銃を向けてくる敵国の兵に向かって、引き金を引いた。そうすれば、相手は警戒して身を隠す。あるものはニュイの顔を見て、苦虫を潰したような顔をした。
少し遅れてアーデルやシュティレ達がやってきた。遅れて悪かった、とアーデルは言った。瓦礫の山に身を隠し、アーデルの指示を仰ぐ。どんな指示でもいい、この惨劇が終わるのなら、どんな指示だってしたがってやる。
「ジェニングス、フィデーリタース、お前たちは右に回れ。奥に敵のベースがある。ヴォルカニック、お前はイノセンスとともに左から回れ。それ以外の者は私と共に注意を引け」
今回の進軍はベースとしていたこの村を取り返すことだった。
「私が合図をしたら突っ込め。それまで弾は温存しろ」
アーデルや他の者達が、相手に向かって弾丸を撃ち込む。向こうも弾丸を撃ち込むが、押し負けてしまっているようだ。
銃撃が収まった瞬間、アーデルが手をあげた。合図だ。ニュイとフィデーリタースは脇目も脇目も振らずに突き進む。瓦礫の山を目指し、必死に走った。
瓦礫の山を登り、上から銃弾をばらまく。こちらに気づいた敵兵たちはすぐに銃を向けるが、既に遅い。




