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異世界勇者の娘で幼女で冒険者やってます  作者: 蒼翼
冒険者になります!
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魔神・ユリウス

『おつかれさまー アルス、ありがとう。』

「いや、いいって。それよりどうするよこれ?」

 アルスが持ってきたのは禍々しいオーラを放つ壺だった。

 コルクで栓をしたので魔物を召喚することはない。

『う~ん…… うちで預かって封印かなぁ?』

 私はアルスから壺を受け取ろうと手をのばした。

「いやはや参りましたね…… このお嬢ちゃんがここまでとは……」

 壺がアルスの手から離れ空中に浮いている

 礼服に身を包んだ大人の男の人の手に収まった。

「これは私の物ですから、返していただきますよ。」

 その男の人はゆっくりと地面に着地すると。

「私はユリウスと申します。以後お見知りおきを。」

 ユリウスと名乗った男の人は礼儀正しく紳士的なお辞儀をする。

 私の体は強張った……

 威圧されて全く身動きができない。

「おいお前! カナタに何をした!」

 まったく動けないでいる私の異変を感じたアルスが声をだす。

『や…… やめて! アルス! 私達が敵う相手じゃない!』

 鎌で身構えようとしても全く動けない……

「ほう…… 一目で実力差を見抜くとは……

 さすがは勇者王の娘ということですか。」

 ユリウスはだんだん近づいてくる。

 後ずさることができない……

「お前! カナタに指一本触れるな!」

『アルス、下手に動かないで……』

 ユリウスはアルスの言葉を無視してどんどん近づいてくる。

 全く動けない、動いたら殺されそうな殺意……

 この場面をどう切り抜ける?

 などと考えていると、とうとう私の目の前にユリウスが来た。

 そして顎クイされ、ユリウスと目が合う……

「さすがと言うべきでしょうか?

 この状況下においても目は光を失ってはいない……」

「その手を放せ!」

 ついにアルスが動き出してしまった。

「五月蠅いですね…… 少々静かにしてもらえませんか?」

 ユリウスは私から視線を外さず、

 手をアルスに向けると指を弾いた。

 すると、アルスは後ろに吹っ飛び露店に突っ込み、

 露店が崩れて埋まってしまう。

『私に用事があるんでしょ? 他の二人には手を出さないで!』

「はい、確かに私は貴女に用事があります。

 ある男に貴女を殺せと言われているんですよ。」

『だったらなぜこんなことを…… 貴方なら造作もないはずでしょ?』

「ええ、ここで貴女を殺るのは簡単です。

 しかし、この感覚は……」

 顎クイしたまま考え込む。

「貴女、おいくつですか?」

『5歳……』

「5歳…… しかし、この懐かしい感じは……

 あのお方が討たれたのは5年と半年……

 なるほど…… そういうことでしたか……」

 私の顔を見ながら何か頭をよぎったらしい。

 一体私に何を見たというの?

「その手を放せ!」

 瓦礫を退かしてアルスが突っ込んでくる。

 ユリウスはやれやれというように首を振る。

「フィールド・オブ・マジックサークル“麻痺”」

 ユリウスの足元に魔法陣が現れたかと思うと、

 急に体全体が痺れて動けなくなった。

 アルスも魔法陣に入った瞬間に動けなくなり

 その場に倒れこんだ。

「やれやれ、興がそがれましたね……」

『ぐは!』

 顎の放した次の瞬間、お腹に蹴りを喰らった。

 体格差に合わせて同年代に比べて体がひときわ小さくて軽い私は

 いとも簡単に吹き飛ばされ壁に激突、

 そのまま地面に倒れる。

 持っていた鎌が前の地面にサクっと刺さる音が聞こえた。

「もう少し成長したらまた会いましょう!」

 それだけ言い残すと、ユリウスは消え去ってしまった。

 メアリおばさんとラルフおじさんが、

 市場で倒れている私とアルス、

 何もできなくて泣きじゃくっているシナモンを発見するのは、

 それから少したっての事だった。

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