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異世界勇者の娘で幼女で冒険者やってます  作者: 蒼翼
プロローグ
3/130

娘の能力

 イセリアの丸三日の治療の成果もあって、

 娘の一命はとりとめた。

 娘の治療が終わって安心したイセリアは

 その隣でぐっすりと丸一日眠ってしまった。

 起きたイセリアとブラス、

 そして一緒に旅をしたラルフは

 カナタの身に何が起こったのかを話し始めた。

「率直に言うとあのクレーターは禁術に指定された

 儀式魔法の一つ、カラミティフレアだ。」

「カラミティフレア?」

「ああ、全術者の持てるすべての魔力を爆発させる魔法だ。」

「そんなの教えた覚えはないわよ?」

「それならどこかで偶然見かけたか?」

「あるとしたら大図書館だと思う。

 だが、子供の手に届くところにはそういう系の本は置かないものだ。」

「じゃぁ、どうやって?」

「可能性があるとしたら、

 誰かが口に出して読んでいるのを聞いたくらいだな。」

「大図書館なら視察に一緒にいったりもしたが、

 そう何回も行ってはないぞ?」

「おそらくカナタちゃんは一度聞いた

 呪文を覚えることができるんじゃなかろうか?」

「まさか……」

「ありえない話ではない。だがしかし、問題はそこではない。」

「というと?」

「カラミティフレアはおいそれと誰もが使える魔法じゃないんだ。

 術者の魔力を根こそぎ使う魔法だが、

 あれは魔力許容量がそれなりに高くなければだめだ。

 儀式魔法だからもちろん、俺にはあれは使えん。」

「そんなまさか……」

「そしてもう一つわかったことがある。

 あの爆発、どうやらフルパワーではないらしい……

 あの規模でおよそ1割くらいだ。」

「どうやったらそんなことわかるのよ。」

「あそこに残っている魔力からマジックレコードを取り出して解析した。

 一か所では欠損部分が多いから、

 ニ十か所くらいからサンプリングして、

 データー解析した。」

「あの規模で1割か…… 全力だとどうなる事やら……」

「大陸半分は消し飛ぶだろうな。

 想像したくはないが……」

「なんであの子が? 

 ただ普通に育って、普通に暮らしていければいいのに……」

「お前達二人は確か召喚者だったな。

 召喚された者は能力が極めて高い……

 その二人の子だからっていうのもあるだろうが、

 おそらくそれだけではないだろう……」

「何があるっていうの?」

「何かしらの要因が重なったとは思うのだが、

 正直検討もつかない…… すまん……」

「そうか、わからないものはしょうがない。

 それはそうと、この幼い体でそんな膨大な魔力、

 大丈夫なのか?」

「正確な量は調べてみないとわからないが、

 常人を凌ぐ途方もない量なのは間違いないだろうな。

 カナタちゃんの魔力操作は抜きん出ている。

 が、圧倒的な魔力量に押し出され、

 暴発する可能性が極めて高い。」

「膨らませた風船口を開けると一気に空気が出るようなもんか……」

「風船? よくわからんが、

 たぶん、それで解釈は間違いないだろう。」

「それじゃぁ、使わなければ何も起きないのよね?」

「いや、我々魔導士が魔力を使い切っても

 数日たてば回復をするのは知っているな?」

「ああ、ラルフは特に早いから一晩で回復してたな。」

「魔導士は大気中から魔力を取り込んで体内に蓄積するんだ。

 これは体質によるものだから無自覚だ。

 そして質が悪い事に、体の許容量を超えても取り込み続ける。

 体の許容量を超えて魔力を取り込むと、

 人は次第に精神が壊れていき、体が衰弱して死に至る。」

「じゃぁ、死体がある周りが異常な濃度の魔力があるのは。」

「ああ、魔力を取り込みすぎて死んでしまった人だろう。

 まだ幸せな方だよ。

 魔力に蝕まれて魔族に堕ちるものも少なくはない。

 我々が倒してきたレッサーデーモンなんかがそれさ。」

「あれ、もともと人だったの?」

「正確には大罪を犯した魔導士の末路だ。」

「防ぐ方法ないの?」

「杖を持つことだ。取り込みすぎた魔力を外に排出すると同時に、

 魔法を使用する際に魔力が暴発しないようにするリミッター的役割を果たす。」

「杖か…… 普通の杖じゃだめだよな?」

「おそらく杖が持たないだろう……」

「それならこれを持たせるわ。」

「お前、それ本気か? 神宝杖・アトランティスを?

 お前の方はどうするんだ?」

「それは貴方が探してくれるんでしょ?

 期待してるわよ。」

「わかった。」

 娘の事で話し合いはしばらく続いた。

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