ゲレスデンの竜の爪痕
それから数日が過ぎ、マッドク王国は、セケメント地域からの撤退を表明した。
マッドク王国は、余力を残していたんじゃなかったのか。
その余力は、ドメイル教の邪教国の聖戦に付き合わされる事になるのだという。
意外な形で、一旦、この戦いを終える事になった。
その聖戦に、僕らも今後、巻き込まれてしまうのではないだろうか。
心配は尽きない。
ねぇ、ウイプル。
ジスエルの5日
自分の部屋にて
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ザンギント山の竜の祭壇。
国王マイクリーハは、祈りを捧げている。
僕は、付き添いだ。
このウイプルは、小さな国だけど、険しい山に囲まれ、そして竜の脅威のおかげで、今日まで存在している。
僕がここにいる意味を、教えてくれ。
国王。
僕は、貴方にはどう映っているんだ。
本当は。
ジスエルの6日
自分の部屋にて
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ゲレスデンの街の外れに、地面を#穿__うが__#った跡が、至る所に見えた。
雨が降り。
風が吹き。
そして、晴れて。
また、雨が降る。
跡が消えていかないのは、硬い鉱石で作られた場所だから?
これは、怒り狂い、暴れた竜の爪跡。
ウイプル人の記憶に焼きついた、偽りの事実。
本当は、苦しくて、もがいた竜の爪跡。
何に苦しんでいたの?
ジスエルの7日
ゲレスデンの宿屋にて
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シーカルという穀物が育たなくなったという。
よく食べるものだけど、それに変わる食べ物は、何かな。
幼馴染みのミスルタに、聞いてみようか。
都合がいいものだな。
僕は。
何でもいいじゃないか。
食べられれば。
ジスエルの8日
ゲレスデンの宿屋にて
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ゲレスデンの街の外れ、本当は。
外れに位置しなかった。
竜のもがいたこの場所に、家々が立ち並んでいた。
しかし、破壊されて。
ウイプルの人達を巻き込んだ。
だから、ウイプル人の心に、焼きついた記憶。
白い髭を伸ばした老人が、僕に声をかけた。
久しいな、と。
竜使い、と。
そう呼ばれた時もあったけど。
今は、
そう呼ばれていない事を。
知っているでしょう。
ドラゴンバスター。
貴方には、僕はどう映っている。
ジスエルの9日
自分の部屋にて
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