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剣士アスカ・グリーンディの日記  作者: sayure
第1章 ドラゴンバスター
1/14

竜の信仰

ウイプル王国軍の北の遠征。


帰ってきたよ。


僕はこの遠征で、多くの兵を斬り倒し、そして生き残った。


しかし、この国はまだまだ小さい。


もう少し、領土を広げ、国も民も、もっと豊かにする必要がある。


でも。


それは、どうでもいいか。


15歳になって、戦闘に遅れを取る事も少なくなった。


この日記を書く事も下らないけど、まあいい。


お母様のくれた命だ。


望む様に。



サビィエルの3日

サンマータ王城見張り台にて


___________________


国王マイクリーハが、王城の後ろにそびえるザンギント山の洞窟にある竜の祭壇にて、祈りを捧げている。


3年ほど前に、翼竜が死んだ場所だ。


その翼竜の魂がその身に宿り、戦で無敵の力を発揮する様にと訪れるという事だ。


都合の良い捉え方をしている。


ここに連れて来られると、耐え難い苛立ちと吐き気に見舞われる。


だけど、護衛の一人の僕が、この場を離れる事を許してはくれないだろうな。


それに、これは僕にとって、

罰なのだから。



サビィエルの4日

竜の祭壇近くの岩場にて


___________________


石造りの家々を抜けると、草原が広がる。


幼馴染のミスルタが、薬草を取りに行きたいという事だったから、一緒に来てはみたけど。


暇だ。


僕は、町の番兵ではないのに。


幼馴染とは、便利なものを見つけたな。


でも、安らぐ時もあるから。


悪くはないのか。


そう。


悪くはないのか。


サビィエルの5日

フィルン草原にて


___________________


僕の瞳の色は、緑だ。


皆と違う色と訊くと、何故僕が不機嫌になるのと訊かれるけど、不機嫌になるのが分かっているのなら、訊くなという事だ。


お前は、何故茶色の瞳をしているのか。


ウイプル人だから?


では、違う瞳の色をする者は、ウイプル人じゃないと言いたいのか。


だとしたら、何故僕は、ウイプルの騎士団として戦っている?


ウイプル人ではない、そう言いたいのならば。


それでもいい。


ウイプルなど、滅んでしまえばいい。


滅ぼしてしまおうか。



サビィエルの6日

バリエル岩場の家にて


___________________


この大陸には、多様な宗教が栄えているが、ドメイル教を崇拝する国々は、聖戦という名を盾に、無益な戦争を繰り返す。


邪教国さ。


火の粉が降り懸からぬ内に、先手を打つべきだと、国王は思っている様だけど。


この様な小国が、今どうこうできる訳がない。


滅ぼされるだけだ。


この国ウイプルが、信仰しているのは、竜神だ。


明確な名前など、知らないだろう。


竜を信じているのさ。


本当は。


信じていないのさ。


サビィエルの7日

バリエル岩場の家にて

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