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ある日の夢の話をしよう。

作者: ひまはむ

ある日、僕が見た夢の話をしよう。

それはとても長い夢。

深い深い眠りの中でかすかに誰かが僕を呼んでいる。


「会うのは初めてだね。今日はよろしく。」


「うん。まさかお母さんが承諾してくれるとは思ってなかったけどね。」


この日はネットで知り合った友人××が泊まりに来る日だった。普段僕の母は男の子を泊めることを承諾してはくれないのに、何故かこの日だけは承諾してくれたのだ。


「狭いけど、どうぞ。ゆっくりくつろいで」


「ありがとう。あ、そうだ今日花火大会あるのしってる?」


どうして県が違うのに知ってるのだろうと疑問を抱きつつも僕は答える


「そうなの?じゃあ見に行こ!」


お互いに花火が好きで見に行くことにした。

丁度花火が綺麗に見えそうな港がある。

僕達はそこに行くことに決めた


磯の香りが漂う港で僕達はボートに乗ることにした。


「ねぇ!こっち!早く行こう!」


「待ってよ!危ないよ!」


「大丈夫だって!わあ?!」


僕は段差につまずき転んでしまった


「痛たた。」


「大丈夫?!だから言ったのに!ほら、血が出てるじゃん!」


「ほんとだ。でも大丈夫!僕は強いから!」


「そういう問題じゃないでしょ?凪々(ナナカ)だって女の子なんだから」


そう言って××は優しく暖かい手で手当してくれた。


夕方になって僕達はボートに乗った。


「もうすぐだね。花火」


「ああ、そうだね」


「ねえ、××。やっぱりさ。」


僕はそういうとボートから飛び降りた


「凪々香?!」


「ほぉら!やっぱりこっちの方が楽しい!」


そういうと××も飛び降りた。


「××?!」


「ほんとだ。楽しい。でもだめだよ?危ない。」


そう言って××は僕を優しく抱きしめた。


その瞬間、バン!と色鮮やかな花火が打ち上がった。 まるで空に花が咲いたみたいに、とても綺麗で、鮮やかだった。


××はもう一度ボートに乗り、僕に手を差し伸べた。


「ほら、のって?」


そうして差し伸べられた手はまるで女の子のように綺麗な手で、でもどこかしっかりと男の子の手でもあった。


花火が打ち上がってからしばらくして××はポケットの中をあさりだした。

そして可愛いチャームがでてきた。


「これ、凪々香にあげるよ。おそろい。」


そういった××は照れくさそうに優しく笑った。


「ありがとう。大事にするね」


そして花火も終わり僕達は家に帰った。


お互いに疲れきっていて、もうすぐに寝てしまった。


僕は毎晩のように同じ悪夢をみる。

まるで呪いかのように僕を襲う悪夢。


でもその時優しい声が聞こえた気がした。


大丈夫。僕がずっとそばにいる。


その瞬間僕を襲っていた悪夢が暖かい光とともに消えた。


朝目が覚めると、隣には××の顔があった。

その顔を見ると何故か安心して僕はもう一度寝てしまった。


後に僕は後悔する。あの時寝なければと。





2度目に目が覚めるとそこに××の姿はなかった。


「××……?」


僕は叫んだ。叫んで叫んで××を探した。


「ねえ!どこ?!どこにいるの!××!」


靴を履くのも忘れて僕は家を飛び出していた。


「どこ!××!」


いない。どこにも。いない。


気づけばもう夜だった。

そして僕は昨日××と一緒に来た港にいた。


「ねえ。××。どこにいるの?僕を。ひとりにしないで。」




それから僕は毎日港に通った。

すると一週間後××が帰ってきた。


「おまたせ。凪々香。」


「……××?!なんで。どうして。どこに行ってたの!ずっと。ずっと。探してたんだから。」


「ごめん。君と暮らすために親を説得してた。

そしたら1週間もかかっちゃった。」


「え……?」


「約束したでしょ?ずっと君のそばに居るって。」


僕は泣き崩れた。

それを見た××は僕を強く強く抱きしめた。


「ごめんね。やっと迎えにこれた。」



そこで記憶は途絶えていた。

あの人の名前が。どうしても思い出せない。


あの人は一体誰なのか。僕にはしるよしもなかった。


きっと僕は恋に落ちてしまっていたんだ


だからこんなにも悲しい


「もう一度。もう一度だけ。君に会いたいよ。」


涙が溢れてくる。ずっと君を想っている。


愛している。








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