喫茶店の1日section2
先程の出来事はなかったこと様子で初瀬は開店の準備をする。
時間になったので、入り口の扉の看板をオープンに変える。
しばらくして、客がちらほらと入ってくる。
流石に客が入っているときに考えごとをする余裕はないのか、何か特筆して語ることはない。
そのはずだった。
それは、正午を過ぎて客足が落ち着き始めたときのことだった。
喫茶店に入ってくる様には見えない格好をした男性が店に訪れる。
初瀬は珍しい客がきたことで疑問に思った様子だが、注文をとりにいく。
だが注文をとるときに話さなかったのがいけないのか、男性は気を悪くした様子で初瀬を睨み付ける。
この喫茶店は口コミで有名になっているため、店員が喋ることができないというのは客のほとんどが知っていることだ。
前もって調べていなかった男性を悪く言うか、喋ろうとしない初瀬を悪く言うか。
それについては双方共に悪いとしか言い様がないだろう。
閑話休題。
初瀬が男性の注文をとり終えると、客は立ち入り禁止の扉の奥に入る。
そこは普通のキッチンだった。扉を閉めると初瀬は溜息をつく。
「はあ。面倒ね、よくこの町にいて事前に行く場所を調べないで生きていけるわね」
そのとき、誰もいなかったはずのキッチンに初瀬以外の声が響く。いつからいたのか、その場には桜色の髪をした少女がいた。
「あの人物はこの町ではないですからね、当然じゃないですか」
その少女がいたことに対して初瀬は驚いた様子はない。いつものことなのだろう、馴れた手付きで紅茶を入れる。そして、少女に渡す。
「有難う御座います。一応、事件になれば『公共機関』である私とかは動けますが、どうしますか」
紅茶を飲みながら世間話の様に少女は話す。
「いらないわ。私は面倒なことはごめんなのよ。『公共機関』が下手に関わるとろくなことにならないとわかりきっているじゃない」
少女のセリフをばっさりと断り、注文の物を持って店内に戻る。
「初瀬も『公共機関』関係者ですがね」
封禍と呼ばれている少女は苦笑しながら、初瀬の様子を見ていた。
少し短いです。
ここの描写詳しくというような物があったら教えてください。