戦いの魔女
自分は戦うことが大好き魔女だ。
あらゆる魔法を学べばどんどん強くなり、人間なんて虫けらほどの存在となっていき、もはや並の人間では、いくら攻撃されようが死なない体になった。
そんな虫けらとは、戦う気にもなれなかった。なんせ、勝ちは目に見えている。そんな戦いは面白くもない。
自分を倒せるような人間は、いないだろうかと思い悩む。しかし、いくら人間の住むとこに出向いてもいなかった。人間はどれだけちっぽけなのだろう。
貧相な街へ行けば、よく道に倒れている子どもだらけ。子供は美味しいとよく聞くが、こんな痩せた子供全く美味しくもない。あぁ、あの少年は才能があるのに可哀想に。才能があるのに捨てられた命はもう育たないだろう。
育たない……?
ならば育てればいいのではないか。自分と同じぐらい強い人間を。
「お前、強くならないか?まぁ、拒否権はないがな。」
少年は静かに、視線をこちらに向けた。
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少年はどんどん教えたことを吸収していった。やはり、才能があったのだろう。
1教えたら10覚えるような少年は、あと数年で自分と同じぐらい強くなるだろう。それよりも私は、料理を先に覚えなければならない。
戦いだけの私は料理なんて一切覚えていなかった。少年が大きくなるまでに、料理も覚えておくか。
と、言っている間に、料理はブラックマターになっていた。火加減間違えたか?
そういえば、こっそり少年は魔法を勉強していた。これもう、私を超えそうだ。楽しみだ。
−−−−−−−
少年はすっかり、私の身長を超え、自分よりも強くなっていった。そうして、人間の街へと戻っていったのだ。人間は、人間の街で暮らすほうがいいのだろう。
「って、何回想してるんだ、師匠。」
「あぁ、すまないすまない。面白くてね」
きっと少年は、意思でも読んだのだろう。高度な魔法だが、少年は軽々と使うのだからなかなかだろう?
「だから、少年少年って…ちゃんとルイって名前があるからな?ただ、買い物に行っただけなんだけどな…」
「とか言って、街で人間に襲われてたくせに〜。魔女の手下だとか言われて人間にさ。強い相手もわからない人間って本当に面白いよね。」
街が賑やかだと思えば、少年はまた襲われたのだ。2度3度ではない。数えられないぐらいよく襲われる。ま、普通の人間なんて少年の敵ではないから放置してるが。
「そんな楽しそうに語るなよ…なら師匠が買い出しに行ってくれ……」
「だって、買い出し面倒だし、人間弱いじゃない。あんなに脆いと手加減も何もない。こう、見てるほうが楽しいぞ?少年。」
やれやれと、少年は奥の部屋に行こうとして足を止める。何事かと思えば楽しそうに
「そういえば、今日の夜、この家に人間たちが魔女狩りで来るらしい。買い出しの時に聞いたが」
「なら今日は、花火だな。せっかくだ、一回の魔法でどれだけ人間を殺せるか勝負と行こうじゃないか。」
きっと自分も楽しそうにしているだろう。武器を持ってるし、夜で視界が悪いこともある。もはや、実力より人数で今回は比べてみよう。どうせ人間は弱い。さて、どんな範囲魔法でやってやろう。少年にまけないぐらいのどでかい魔法を打ってやろう。
「そうだな、師匠の家に乗り込むぐらいだ、きっと何人殺そうがなにも言われないだろうな。夜にきっと花火は映えるだろうな。」
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そういえば、料理についてだが、私は進歩した。ブラックマターにせず、食べれる状態に持っていけるようになった。
だが、少年の方が進歩が早かった。どちらも食べさせたいといつも、取っ組み合い(魔法で先に相手を倒れさせればその日の料理権がもらえる)が起こるのだが、それはまた別の話。