第二話 初日終了と持ち物検証
「はぁ……」
能力が予想以上に使えない。これでは、アイテムボックスを頼る以外に方法はないと言っていいだろう。
『内容物』
・汎用防災セット
・大型食糧庫
・テント
・略帽2ヶ
・外套2着
・三八式軍服上下10着
・長靴3足
・防弾シールド
・アルミ製刺又
・突撃銃(30mm)
・軍刀(工廠)
正直、ほっとした。なんせ異世界に着の身着のままで放り出されたらと思うとぞっとする。大型食糧庫と言うのは2週間程度の食料が入っているものらしい。其れで大型と言うのは何かいろいろ言いたいことはあるが、もしかしたら食料の保存ができるのはこの大型食糧庫だけなのかもしれない。それならよいのだが。道具も防災セットをそのまま持ってきたようなものだ。
だが、正直『道具』ラスト7つがわけわからん。いや、軍服、略帽と外套はまだわかる。何故か今着ている服も軍服だ。略帽もかぶっている。制服を着ていたはずなのだが。だが、ジュラルミンの盾?アルミ製刺又?わけがわからない。軍刀は近接戦用か?だがアサルトライフルよ、貴様は機関銃じゃない。30mmありゃ立派な機関砲だ。……そういえば震電の武装は30mm機関銃だったな。まさか、そういえばあのセットに入っていたものが種族欄に入っていた気が……やめよう。嫌なことは考える必要はない。自分とあのプラモが同じ存在として認識されているはずがない。そうだ、今はどうやってこの森から脱出するか、それだけを考えようそうしよう。取り出した外套を羽織り、スマホ片手に考えを巡らせた。
予想以上に答えは簡単に出た。異世界のマップがあるのだ。スマホを中心に半径10kmを更新していく仕様のようだ。外套はこういう時に役に立つ。長靴も案外歩きやすい。
それにしても、案外近くに町はあった。この地域はアルファエリア共和国、ポルターガーデン地方と言うらしい。アルファエリアの最西端で、この先は海ーこの世界でも大西洋と言うーが広がっている。
ポルターガーデンにあるイツキ森林に私はいるらしい。しかし、
「暗くなってきたな……」
そろそろ野営の準備をしたほうがいいだろう、しかし私は野営なんてしたことはない。私は現代に生きる高校生なのだ。
意外に簡単にテントが建った。よく見たら最新技術で作られたとか言ってたテントだった。ワンタッチで設営できるとか、それでいいのか現代人。まあ、その恩恵に与っている私が言えたことではないが。
食糧庫から出した食料で夕食を済ませ、アイテムの詳しい確認をしてみる。服などは既に着ているこれなのだろうから確認はいらない。さて、いろいろ見ますか。
まずは、防弾シールド。金属の盾で、分厚い貼視孔がついている。中型の盾で表は国防色(帯青茶褐色)で塗られている。外套などと同じ色をしているうえ、簡単な迷彩になって呉れるだろう。
次に、アルミ製刺又。これ、本当にただの刺又なのだ。もはや、なんと言っていいのかわからないくらい刺又だ。
そして、軍刀。昭和一八年式のものだ。工廠と書いてあることから、国家予算を使って作られた工業刀だろう。
さて、最後にこれ、30mm機関銃。取り出してみたところ、四式自動小銃と見た目は何ら変わらない(銃剣とスコープはちゃっかりついちゃってる)。しかし、四式は7.7mm。どうやって撃つのだろうか。謎は深まるばかりである。