表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

タイムマシン

作者: やぎこ

僕らは生まれたときから一緒だった

アルバムをひとつめくれば、そこには無邪気な二人の笑顔

泣いて、笑って、笑って、また泣いて


あぁ、もしもタイムマシンがあったなら

こんな頃に戻って、また二人で積み木崩しに夢中になれるのに





僕らは一緒に小学生になった

クラスは同じ、でもだんだんと疎遠になっていって

たまに顔を合わせれば、どちらともなくケンカになって


あぁ、もしもタイムマシンがあったなら

こんな頃に戻って、一言「ごめん」が言えるのに





僕らは一緒に中学生になった

クラスは違ったけど、偶然同じ部活に入って

僕は選手、キミはマネージャーで、でもまだプライドが勝てなくて


あぁ、もしもタイムマシンがあったなら

こんな頃に戻って、一緒に帰ろうと手を取れるのに





僕らは一緒に高校生になった

キミは文化祭委員になって、僕も文化祭委員になった

キミが手を挙げたのを見て、僕も慌てて挙げたのは内緒だよ


あぁ、もしもタイムマシンがあったなら

こんな頃に戻って、悩みをいっぱい聞いてあげるのに





僕らは一緒に大学生に……はなれなかった

一緒の志望校だったのに、僕は落ちてキミは受かって

でも、一年間キミは待っててくれたね


あぁ、もしもタイムマシンがあったなら

こんな頃に戻って、「ありがとう」と照れずに言えるのに





僕らは一緒に社会人になった

正確に言うと、僕は一年目ただのインターンだったけど

たまに遠くで見るキミが、嫌に綺麗に見えたよ


あぁ、もしもタイムマシンがあったなら

こんな頃に戻って、ちゃんと正直に想いを伝えられたのに





そして僕らは一緒になった

やっぱりケンカしてばっかだったし、泣かせたこともあった

でも、君のことは世界で一番大好きだったよ


あぁ、もしもタイムマシンがあったなら

こんな頃に戻って、笑顔でキミを抱きしめられたのに





時は流れて、うつろいで

今、僕はベッドの上

モルヒネの冷たさと、目に見える天井だけが僕の世界だ


あぁ、タイムマシンなんて無くとも

「こんな頃」が僕の幸せだったんだ

また、キミに会えるかな


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ