003
食堂の指定された席に座ると改めて目の前にいる人物に目を向ける。
恐らく、自分と同じく座ってることから、この人達も護廷八剣士なのだろう。
だが、正直言うと圧力というものが感じられない為に疑ってしまう。
「よく来たな」
その言葉と同時にガバッと立ち上がり、胸の前に手を当てて忠誠を見せる。 その声の主は王族。
現国王、リオン=グランバードルである。
「席に座るといい、さて気づいているとは思うがパーティーなどは名目だ」
やはりかという気持ちが芽生える。
そして同時に全員が意図に気付いているのかと驚かされてしまう。
「今から言うことに異論を挟むことは許さない。 私の言ったことは絶対である」
その言葉にこの場に居た誰もがゴクリと唾を飲み込んだ。 だが、異論を認めないとは余程大事なことなのだろうか。
「つい先日、王国の首都内に賊と思われる者が不正入国をした。 勿論警備兵が仕事を放棄していたのではなく、あの高い城壁を登り侵入したと言われている」
もしそれが事実なら身体能力だけは護廷八剣士に並ぶと言っても過言ではないのかもしれない。
しかし、いくら城壁を飛び越えたからといって、それだけで八剣士を呼び出す理由になるのだろうか。
「考えてる事はわかる。 その者は王国騎士団を尽く返り討ちにしてるいるのだ。 さすがにこれ以上無意味に人を減らすわけにはいかないからな。 八剣士にこの仕事を言い渡す」
勿論異論など唱える場違いな者は居ない。 全員が頷き、再度胸に手を当てて忠誠を示すとその場はお開きとなった。
「ミツネ様どうしますか?」
「シノヅキは嘗てのゴロツキ仲間に接触してそれと無く情報を掴んできてくれ。 こっちは暫く掛かりそうだ」
シノヅキに指令を言い渡してから、周囲に目を向けた。 明らかに自分の力を信じて疑わなそうな者がいる。
いや、八剣士に選ばれる時点でそこらの騎士では太刀打ち出来ないのだろうが、八剣士目の前にしてあの態度は自殺行為では無かろうか。
「承知しました。 ミツネ様もお気をつけください」
「あぁ、行ってこーい」
ふざけた口調の後にシノヅキは窓に手を掛けて走り去ってしまった。
そしてミツネは再度周りを見ると1人が声を出した。
「私の名はイツキだ。 第1席に席を置く者だ。 以後お見知り置きを」
声を上げたのは、まだ若そうな男性だ。 それでもミツネよりは年上で恐らく20歳あたりであろう。 髪は長く後ろに一本で纏めている。
腰には日本の刀を帯刀してる事から二刀流なのだろう。
「自己紹介か……。 俺の名前はニコラス。 最強だ」
先程言った自意識過剰そうな男がそう告げると全員が胡散臭そうにニコラスを見つめた。
その視線さえも自分の為に在るのだと言わんばかりに胸を張って威張り倒しているが。
「俺はミツネ。 まぁ、よろしく」
無難にそう言うとニコラスは俺のナヨナヨした容姿からか雑魚だと判断したのだろう。 目が完全に舐めている目に変わった。
だが、俺だって自意識過剰並みに言えばこの誰よりも強い自信はある。
「私の名前はヨイチ。 回復に関しては他の追随を許さないわ」
回復職。 人によって見方は変わるが、ミツネはとても重要な人物だと思っている。 だが、ニコラス辺りは自分には関係ないと思っていると思いきや、以外にも舐めた目では見ていないようだ。
「俺はゴルドフ。 以上だ」
ゴルドフはきっと口下手なのだろう。 目を開ける事無くクールに自己紹介を終えると腕組みをして先を促している。
だが、見ただけでゴルドフは強いとわかる威圧を放っている。
「はいはーい! 私はローズね! よろしくー」
こちらはゴルドフと逆でコミュニケーション能力が高そうだ。 しかし女性だからか身体は殴ればすぐに折れてしまいそうなど細い。
「僕はナナフサ。 薬学の専門家だよ」
薬剤師。 一見回復職がいるのにと思いがちだが、回復職は万能では無い。 傷の応急手当は回復職が勝るが、大傷の手当は薬剤師がやった方が後々に残る傷跡は少ない。
しかし、薬剤師はなる者の殆どが戦闘経験皆無だ。
つまり、後衛となるだろう。
「俺はバロン。 よろしく頼む」
彼の背中にはあり得ないほど大きい大剣を背負ってるいるのを見ると大剣使いなのだろう。
凄く迫力がある。
「自己紹介も終わったし、これからは仲間同士だ。 自分の戦闘スタイルを言い合っていこうか」
イツキの提案により、全員が戦闘スタイルを公開していく。 勿論裏の手は明かさない辺り、全員が完璧に信用できているわけでは無いのだろう。
ちなみにミツネは空間を支配する剣士だ。
裏の手は言ってはいないが、俺の空間指定内では人は殺せない。 理由は後々話すとするが、その分ミツネは自由に条件を足す事ができる。
例えば空間内の自分以外の重力を2倍など数値は何でもいいが、この様に基本何でもアリだ。
だが、欠けている所は範囲の狭さだろう。 これは生まれ持った魔力によるものなので仕方無いと諦めるしか無い。
そんなこんなでミツネ達、八剣士は仕事に向けて食堂を後にしたのだった。




