サレン・シュヴァリエ&リナ・カヴァリエ③
翌日、リナが起きて私に、
「昨日は情けないとこ見せてしまいすみません。それで今日は、市場の方に言って働かせてもらえる場所を探そうと思うんです」
そう言った。
リナは着替えて、出ていこうとする。
ドアを開けようとしながら不安そうな表情をしていた。
私は、リナに続いて外に出た。
「隊長?一緒に来てくれるんですか?」
私はうなずく。
リナは微笑み
「ありがとうございます」
と言った。
私達は、市場に来て手当たり次第に働けるように頼んでみるが、
「子供を雇うほど人手には困ってない」
「子供にうちの仕事はできないだろ」
そんな返答ばかりだった。
リナが呪いにかかっていることを言わないので不思議に思っていると
その視線に気づいたリナがこっそり、
「王は騎士団の無敵の名声を守るために、呪いにかかったことを公言することを禁じたんです。騎士団の騎士が猫や子供になったと知られたら信頼が崩れる恐れがあると」
そう言った。
それに逆らうようなことをすれば王に何をされるかわからない。
公言しないのが賢明だろう。
あの王は本当に氷のように冷たい男だ。
改めてそう思った。
リナと市場の店を働けるように頼んでいたが、とうとう最後の一つになった。
パン屋だ。
ドアを開ける。
「いらっしゃい」
レジの前の椅子に座る男が言う。
「あの、働く場所を探していて。ここで働かせてください!」
リナが頭を下げて頼む。
「…………」
沈黙が流れる。
「名前は?」
そう男に聞かれる。
「リナです」
頭を上げて答える。
男はリナを見つめて何かを考えていた。
「朝は早いけど大丈夫か?」
「それって……。」
「採用だ。明日から来い」
「ありがとうございます!」
リナは涙を目に浮かべて微笑んでいた。
リナはパン屋で働けることになった。
パン屋の店長は何も聞かずに採用してくれた。
「雇ってもらえましたね!隊長!」
家に帰り、リナは嬉しそうに言っていた。
私も嬉しかった。
その日は明日に備えて早く寝た。
翌日、朝早く家を出る。
私も付いていく。
店のドア開け
「おはようございます!」
そう言って頭を下げる。
「ああ、おはよう」
店長は笑顔で迎えてくれる。
「お前も来たのか」
そう笑いながら店長は私をなでる。
そうして、多少会話をした後、仕事を始める。
まず店長が焼いたパンを並べる作業だ。
リナはせっせとパンを並べていった。
「お前計算はできるのか?」
店長はパンを並べ終わった後聞いてくる。
「はい!大丈夫です!」
リナは笑顔でそう言った。
「そうか。じゃあ店番も頼んでいいか?」
「はい!任せてください!」
「俺はパンを作っていたり、なにか作業しているから何かあったら言ってくれ。」
店長はそう言って店の奥に行く。
私は店のカウンターに座る。
そんな風にしているとおばあさんが来る。
「いらっしゃいませ!」
リナが元気にそう言うと
「あら、可愛い店員さんがいるわね。猫ちゃんも」
「えへへ、ありがとうございます!」
頭をかいて照れながらリナはそう答えた。
「それじゃあ、このパンとこのパンをいただこうかしら。」
「はい!700ゴールドになります!」
「はい。これでおねがい」
おばあさんからお金を受け取り、確認する
「はい!700ゴールドちょうどお預かりします!」
リナはパンを紙袋に詰める。
「はい!どうぞ!またおこしくださいね!」
そう言ってリナは笑顔で袋を渡す。
「ありがとうね。またくるよ」
そう言っておばあさんは袋を受け取り帰っていった。
そんな感じでお客さんがそこそこ来たが、ちゃんとリナは対応できていて、おつりもちゃんと計算を間違えずに渡せていて、お客さんには満足してもらえていた。
お客さんに笑顔を私達に向けてもらえて私は温かい気分になっていた。
リナも、嬉しそうだった。
そして夕方になって店長が店の表に来て、
「そろそろ閉めるか」
そう言って、今日は閉店した。
店長が売り上げ金と残りのパンを確認して、
「よし、計算間違えはなさそうだな……」
そうつぶやいた。
「初日だったけどよくやったな!今日はお疲れさん!お前もな」
そう言って店長は笑顔でリナを撫でた後、私を撫でた。
私は、のどをゴロゴロ鳴らしながら
「にゃあ」
と鳴いた。
リナは微笑んで、
「えへへ」
そう喜んでいた。
リナが褒められて、私も自分の事のように嬉しかった。
「お疲れさまでした!」
「にゃあ」
「おう!お疲れさん。また明日な」
そう言って店長さんと別れて家に帰ってきた。
家に着くと
「ふー」
とリナは暖炉の前の椅子にもたれかかる。
「にゃ」
と言って、私はリナの膝の上に飛び乗り座る。
私を撫でながらリナは、
「褒められちゃいました。えへへ」
とニコニコしていた。
私はよくやったなという意味を込めて
「にゃあ」
そう言って頭をお腹に擦り付けた。




