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ライド・シュナウダー②

髪の毛はぼさぼさ、鏡は割れまくり部屋は荒れ放題だった。


レイとロックがたまに来るが


「帰ってくれ」


と帰ってもらっていた。


そんな日々を過ごしていたある日、


「ギルドで君がここに住んでいると話を聞いてきた。私はエレナという者だ。話を聞かせてくれないか」


とエレナと名乗るものが来た。


「話すことなんかない。帰ってくれ」


俺は力なく言う。


「聞いてくれ。私も呪いの被害者なんだ。そしてそういう被害者のためのギルドを作ったんだ。来ないか? そこで慣れたら元のギルドに戻るのでもいい」


こいつも呪いの被害者?

でも


「俺は人の視線が怖い。外に出られねえよ……」


「だったら、とりあえず私と話すところから始めてみないか?こうやって扉越しでもいい。それで、私と会ってみてもいいと思えたら扉を開けてくれ。どうだ?」


…………。


「……それなら、やってみる」


「そうか。じゃあ、とりあえず今日はもう帰るよ。また明日来る。またな。」


そうして、エレナは帰っていった。


毎日、毎日、エレナは来た。


しかも、ギルドに入れとか外に出ろとか言わず、全く関係ない話ばかりしていた。


今日は、あったかくて昼寝したいとか、好きな食べ物の話とか、好きな歌とか。


そして、俺は、どんな奴なのか知りたくなった。


今日もエレナが来た。


「なあ、俺って誰だと思う? 本当にライドだと思うか?」


そう聞いてみた。

しばらく沈黙の時間が流れた。


「お前は、ライド。ライド・シュナウダーだ。それ以外の何者でもない。いろんなものを演じようとも今ここにいるお前がお前だ」


俺は、ドアを開けた。


「やっと開けてくれたな。ライド」


そいつは狐耳と尻尾のついた少女だった。


「驚いたろ。呪いでこうなってしまったんだ」


笑いながら言う。

俺にはそれがまぶしかった。


「なんで笑いながら言える?俺より好奇な目で見られ続けたろ」


「最初はたしかにきつかったさ。だけどね、旅を続けて人の優しさに触れていくうちにそんな視線どうでもよくなったんだ」


「優しさ?」


「ああ。優しささ」


…………。


そうか……。

優しさか……。


そんな温かい気持ち忘れてた。


俺もそんな気持ちからだった。


レイを守りたいというそんな温かい気持ちからだった。


「エレナ、ギルドに入る」


「大丈夫か?」


「ああ。大丈夫だ。わかったんだ。俺一人で苦しんで周りに打ち明けなかったからこうなっただけだって。だから、お前のギルドに入って、完全回復して元のギルドに戻る。まずは、俺の足でお前のところまでいく。そこから始める。だからギルドで待っていてくれ」


「わかった」


そうして、ギルドの場所を教えてエレナは帰っていった。


少し経ちいつも通り、ロックとレイが来る。

俺は、ギルドの人間とは顔を合わせないようにしていた。


少しでも苦しみを忘れたくて。


だけど。

俺を真に苦しませていたのは俺自身だった。

ギルドの奴らじゃない。


俺は扉を開けた。


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