エレイル・ラーテス⑥
10年経つ。
ルルは大人になって私の身長を超えた。
私の見た目は全然変わらない。
住んでる場所も私は鍛冶屋で働いたお金をためて質素だが立派な家になっていた。
ルルは本屋で働き始めた。
自分で稼いだお金でいろいろ物を買って冒険に旅立ちたいらしい。
初任給は私に、服を買ってくれた。
普通に私は泣いてしまった。
フォルさんは、ルルが本屋で働き始めて、仕事で鍛冶屋にいつもは来れなくなり
「あの嬢ちゃん、来ねえのか」
「ルル、働き始めたんです。本屋で」
「そうか」
と少し寂しそうだった。
私は冒険をしたいというルルのために休日は剣術をルルに教えていた。
フォルさんが冒険に出るなら剣術覚えていたほうがいい。
お前教えてやれ。
とフォルさんから剣を貸してくれて教えていた。
でもルルの仕事の休みの日とかは鍛冶屋に顔を出していた。
「おじさん、来たよ」
「ああ」
と少しそっけない感じだが、私にはうれしそうなのがわかった。
そしてとうとうその日が来た。
「お姉ちゃん、私、旅に出る」
「……そうか。寂しくなるな」
「ごめん」
「謝るな。お前のやりたいようにやっていいんだ」
「ありがとう。お姉ちゃん」
とルルは微笑む。
「明日おじさんにも報告する」
とルルが言ったので私は
「そうか。私も一緒に行くよ」
と言って眠りについた。
翌日、休日だったが鍛冶屋に二人で来ていた。
「なんか用か?」
とフォルさんに言われて、ルルが
「旅に出る」
と言った。
フォルさんはそれを聞くと少し空を見上げた。
そして、いつも借りてる剣をルルに渡した。
「え?これ」
ルルが動揺していると
「持ってけ。餞別だ」
とだけ言った。
「ありがとう。おじさん」
とルルは微笑んで言った。
「ああ」
そうして鍛冶屋を後にしようとしたときに一言、
「いつでも帰ってこい」
そうフォルさんが背中を向けて言った。
ルルは、少し黙った後
「うん」
と微笑んで言った。
家で荷物をまとめて、
「じゃあ、行く」
とルルが行こうとする。
「ルル。フォルさんも言ってたけどいつでも帰ってきていいんだぞ」
「うん」
「後手紙たまには送ってくれ」
「わかった」
荷物を背負い、立つ。
「じゃあ、行ってくるね。お姉ちゃん」
「ああ、行ってこい」
そうしてルルと別れた。
――……
ルルが旅立って、数日が経った。
やっぱり寂しく感じる。
鍛冶屋で二人で話す。
「嬢ちゃん旅に行っちまったな」
「……そうですね」
「大丈夫か?」
「……寂しいですけど、大丈夫ですよ。ルルは夢だった冒険者になったんです。嬉しいことですよ」
「まあ、そうだな」
しばらく沈黙が流れる。
「……そうだな」
とフォルさんも寂しそうだった。
「今頃どこにいるんでしょうね」
「ああ」
そんな風な会話をしながら仕事をしていた。
仕事が終わり、家に帰ると、やっぱり家が広く感じた。
ああ。
本当にルル、いないんだな。
そう再認識する。
寂しいな。
騎士の頃、旅をしてた頃はこんなこと感じなかったんだけどな。
ああ、本当に。
魔物になって絶望したこともあったけど。
この10年本当に楽しかった。
幸せだったな。
ルル。
ありがとうな。
おまえのおかげだ。
そう考えながら眠りについた。




