エレイル・ラーテス⑤
翌日、私は、朝ご飯を食べた後、鍛冶屋に来ていた。
ルルも鍛冶屋についてきていた。
一緒に鍛冶屋に入ると
「なんでお前もいるんだ?」
とフォルさんに言われた。
「駄目なの?」
「別に駄目じゃねえが、見てても面白いもんじゃねえぞ」
と言っただけでルルが来るのは許可してくれた。
そしてルルを椅子に座らせて、仕事が始まる。
「おい、水持ってこい」
「はい」
「これそっちに持って行っとけ」
「はい」
「この剣を試しに振って感想を教えろ」
「はい」
そんな風に仕事をこなしていった。
フォルさんはぶっきらぼうだがいい人だった。
ルルは椅子に座りぼんやりと私たちの仕事を眺めていた。
そして昼になると、フォルさんが、
「昼いくぞ」
と言って、私たちをご飯に連れて行ってくれた。
私を見て、飯屋でじろじろと見られざわざわされるが
「うちの従業員になんか用か?」
とフォルさんが言って、静かになった。
食べ終わった後、自分の分を出そうとすると
「いい」
それだけ言って、ルルと私の分を出してくれた。
「すみません、ありがとうございます」
「ありがとう」
とルルと私が言うと
「別に」
と言って、
「仕事に戻るぞ」
と背を向けて鍛冶屋に向かってフォルさんが歩いていく。
「はい!」
と言って私達も付いていき、鍛冶屋に戻った。
そして仕事をして、夕方になると、
「エレイル、仕事は終わりだ。帰っていいぞ」
そう声をかけられる。
「お先に失礼します」
「ああ」
「またね」
そう言ってルルは手を振っていた。
フォルさんはそれを見て、手を振り返そうとして、照れたのか振り返さずただ
「ああ」
とだけ返した。
歩きながらルルが
「お姉ちゃん」
と話しかけられ
「なんだ?」
と返すと、
「おじさんいい人だね」
と静かに言った。
「ああ、そうだな」
と私は微笑んで答えた。
そんな風に、日々過ごしていたある日、ある冒険者の女性が、剣の依頼に来る。
私を見て少し驚くが、フォルさんが
「うちの従業員だ。気にするな」
と言ってくれた。
はあ、と言って納得する。
その女性は、レイアというらしい。
「ここに来る前に折れてしまい、新しい剣の依頼をしたいのですが」
と言って、フォルさんとどんな剣がいいか相談をしていく。
そうして、どんな剣にしたいかということが決まり、作り始める。
私達が、作業をしている間、レイアはルルと話していた。
「君は、鍛冶屋さんの娘さんなのかな?」
「違う」
「そっか」
レイアとルルの最初の会話はそんな感じだった。
剣はその日には出来上がらず、何日もかかった。
泊っている宿を教えてくれればできたらいいに行くといったがレイアは毎日来た。
そしてルルと毎日会話をしていた。
レイアの今までの冒険をルルに話してくれていた。
ルルは楽しそうだった。
ルルは感情が乏しい方なので、楽しそうに話していて嬉しかった。
私もルルが楽しそうにしていてレイアに感謝していた。
明日完成しそうというときに、ルルが
「行っちゃうの?」
寂しそうにレイアに聞いた。
「うん」
「……そっか」
「でもね、また会えるよ。きっと。人生は長いんだから」
「……うん」
「ねえ、レイアさん」
「何?」
「冒険って、楽しい?」
「冒険に興味あるの?」
「……うん。レイアさんの話を聞いてるうち、私も……いつか……」
「そっか。楽しいよ」
そう言ってルルの頭を撫でた。
冒険、か。
そうか。
私は大人になったルルを想像する。
そうだな。
ルルもいつかは大人になり、なりたいものになる。
それを見守るのが私の役目だ。
その夢を作ってくれたレイアに私は
「ありがとう。ルルに夢を与えてくれて」
そう言うと
「私もルルちゃんと話すの楽しかったからいいのよ」
と言ってくれた。
翌日、剣が完成して、
「ありがとう。二人とも」
と私たちに感謝して、ルルに
「冒険者になったらまた会おうね」
と声をかけ
「! うん!」
そう言って別れた。




