エレイル・ラーテス➀
「や、やった!やった!」
そう言いながら目の前の騎士の姿の女の子が自分の姿を見て喜ぶ。
私はその姿を信じられないものを見るように見る。
「な、なんで、どういう、だ、だって……」
「ふ、ふふ、あははは!」
目の前の騎士は笑う。
腹の底から。
私は動揺して横の湖を覗き込む。
そこには、
頭の横に小さな角
蝙蝠のような羽
悪魔のような尻尾
を持つ少女が、目を見開き、恐怖が顔に出ているそんな少女が映っていた。
そこに移っていた私は低級魔族の女の子だった。
――……
数時間前
私、エレイルは、最近、魔物が出るということで
ある森の調査に来ていた。
その森は小さく、出現されるといわれていた魔物も低級の魔物。
だから騎士団の仲間を連れてこず、私一人で来ていた。
そこで見つける。
魔族の少女。
魔力をほとんど感じない。
腕には金の腕輪をつけている。
目に恐怖が映っている。
震えながら少女は私に聞く。
「わ、たしを、殺すの……?」
「…………」
私はその少女を見つめ観察する。
角は欠けて
羽はボロボロ
尻尾も少し欠けている
この少女は……
「人間にやられたのか?」
「……そうだ。私は何もしてないのに、人間は、人間たちは、魔族というだけで」
「……そうか」
私はそれを聞き、悲しくなる。
そして、
「もう大丈夫だ」
そう言って、私は手を差し伸べた。
少女は、呼吸を荒くして、目を見開いて、手をつかむか悩む。
私の目を少女は信じられないものを見るように見つめる。
少女は私の手の方に、手を近づけようと少しずつ、少しずつ、近づき、触れた。
私と手が触れた瞬間、少女が腕につけていた、金の腕輪が光る。
その光に目がくらみ、しばらく時間が経ち、目を開けると、目の前には
騎士がいた。
金髪の
鎧を着た
毎朝鏡で見慣れた顔
私がいた。
そして今に至る。
「あ、ああ、なんで、私……?」
私は目の前の騎士に、手を伸ばす。
縋るように。
助けを乞うように。
その姿を騎士は、冷たい目で見る。
「私は、もう、そっち側には戻らない。」
そう言って騎士は腕輪を剣で叩き壊す。
「え?あ、ど、どうして……」
「お前らが、人間が、私をこうしたんだ。何でこうなったかは分からない。腕輪も最近拾ったものだ。だけど、これは神がくれたチャンスなんだ。たった唯一。私が生まれてから初めての。チャンス。私は、間違えない」
「あ、あ、あああ……」
そう言って私は、砕けた腕輪のかけらを集める。
そして、壊れた腕輪を直そうと、くっつけようとする。
壊れた腕輪は直るわけないのに。
その姿を見て、目の前の騎士は、冷めた目で見て、
「さようなら。人間」
私を殺さず、森から去ろうとする。
「ま、待って。返して、返して!」
私は縋る。
しかし、手で振り払われる。
「私は苦しめた人間、今ここでお前に寄り添い助けたって、お前は、お前たちは、また私を苦しめるにきまってる。
そうだ。
さっき、手を差し伸べたのだって、裏があったに決まってる。
もう、もう、私は、苦しまない!
そっち側には、地獄には、行かない!」
「そ、そんなこと、ただ、ただ!私は!」
「黙れ」
そう言って私の首筋に剣を突き付ける。
「この体はもらっていく」
そう冷たい目で言って騎士は森を去った。




