Ep.96 良いところと悪いところが無数にあるタイプの運営ってあるよね。何考えてるか分かんないけど
変なテンションで書いたので、全体的に文体が変な回
「嘘……だろ……!?」
中央国セントリア、その近くの平原にて……ノリで集まったプレイヤーたちによる“第二回オリジンズ・ウォー・ダイレクト”の同時視聴が行われていた。
先程の声はそのうちの1人、ガーリアというプレイヤーのものである。
「いや、これは……」
「いいの……?」
「頭おかしいんじゃ……」
『今回のアップデートでは、先日のメインイベントにおけるプレイヤー間の格差を考慮し、全プレイヤーに向けて【英雄補正】を獲得することのできるスキルを配布することを考えております』
【英雄補正】はその名の通り、付与されたプレイヤーを英雄のような強さに押し上げるバフである。
融資の検証によって、その効果量は既におおよそ判明しており……
【英雄補正】1層だけで“全ステータス200%上昇”クラスのバフであることが分かっていた。
これは単に数値だけで考えたものであるので、実際にはこれに追加して『物事が都合よく進む』という強すぎる付加効果もある。
それを全プレイヤーに配布するとはかなり思い切った試みだ、どう転ぶかは分からないが……少なくとも、このゲームの環境は一段階上に進むだろう。
「なるほど、いいねそれ。私もちょっと格差酷いと思ってたし……」
「「「「「お前が言うな」」」」」
そんな言葉を呟いたのは、白髪青目で白いコートを身に纏うプレイヤー……アステリア。そう、私である。
なんか集まってたからPKするつもりで近づいたんだけどね、変な催ししてたからちょっと参加して見ようかなぁ……って。
「そもそもなんでこんなとこいんの?」
「穏便な形で街に侵入できないか試してたからだね」
「アレやってくれよ、あの化け物になるやつ」
「えー? しょうがないにゃあ……」
私は心の奥底に真っ黒な火を灯し、自らの姿を変形させた。霊的な存在になっても触手は生やせるし実体もあるぜー!
……まぁあんなに巨大化するのはできないと思うけどね。
「それどうやってんの?」
「自分の中の悪い部分を全部表に出す感じ……かな?」
「じゃああんたの心の奥底はそんなかんじぃーーーっ!?」
ぺちん!と触手で1人のプレイヤーを吹き飛ばす。まぁかなり手加減したしこれぐらいで死ぬなんてことは……あ、死んだ。
「クソッ! 酷い目にあった……」
「すぐリスポンできるんだしいいじゃんね」
「まぁそれもそうか」
荒くれ者っぽいアバターの奴は、すぐ近くのモノリスでリスポーンしてその場に座った。やっぱね、ゲームだと殺し合いなんてコミュニケーションのひとつだよね。
『さらに続けて新機能……というより、既に存在していた機能の解放条件を緩和することをお伝えします』
「おー、なになに?」
「《自主規制》?」
「殺すぞテメー」
「そういえばアステリアさんって性別どっちなんすか?なんか変な噂ありますけど」
「実は男なんだよね、私」
あえて茶化した感じで認め、しかし挙動の些細な部分は少し可愛らしく……
こっちの方が逆に釣れるんだよね。
『そのシステムの名は【根源解放】です! 現状、この機能を解放したプレイヤーはメインイベントでも活躍していたプレイヤー1人だったため……初回解放までの条件を解放いたします』
え、じゃああの触手形態他の奴らも使えるようになるの?
まぁでもアレか、他の人たちはもっと違う感じの見た目になるのかな……
『これらの改善は既に実装済みですので、渡り人の皆様方は今すぐお試しいただけます!』
「マジで!?」
「アステリアさん!どうやるか教えて!」
「さっき教えたよね??」
「もっと詳しく!!」
「うお、メールで英雄補正スキル届いてる……」
うーん……多分、このシステムは自分の本質とか、そういうのを認識して受け入れる……とかがトリガーだと思うんだよね、多分。
「瞑想すればいいんじゃない? それか400タイプ性格診断でもやるとか。それで診断された自分の性格を受け入れて深掘りするとか……」
「今って400タイプなんだ……」
多分400あっても人間の性格とか分類できないとは思うけど、ある程度の指標にはなるでしょ。
『次の情報としては、アウトロー・パスについてです』
「流れ変わったな」
「えぇ……私が言うのもなんだけど、アレ終わってる施策じゃない?」
「免罪符事件懐いな、まだ2ヶ月経ってないけど」
アレは嫌な事件だったね……
『昨今のプレイヤーキルをメインとする渡り人の減少を受け、私たちはアウトロー・パスの復活を決定いたしました。もちろん、前回批判された箇所については廃止しております』
「私たちじゃなくて“私”だろこれ」
「このゲーム夢島アカリが関わってる部分だけバランスおかしいんだよな……それ以外はめちゃくちゃまともなのに」
「いや、それは違うよ」
「アステリアさん、流石にアレ援護は無理がありますよ……」
いや、これは本当に違うんだよ。元々ドリメカは夢島アカリがほぼ単独で運用していた会社で……
「ドリメカ一作目の『=Nospire』と二作目の『星斬りの物語』はほぼアカリが1人で作ったんだよ。で、それらのゲームバランスは結構よかったんだ」
「マジで?」
「これはマジだぞ、俺もやったことあるから分かる。まぁゲームバランスってより演出が光るゲームだったけど……」
「斬星のラストシーンいいよね」
「お、アステリアさんも分かる人じゃん……PKerなのに人の心はあるんすね」
そりゃまぁ、私は自分が思う一番人間らしい振る舞いを心がけてるからね。
『……アウトロー・パス加入者は他の渡り人に対するダメージが上昇します、そして他にも……』
……!?!?
「オリウォ終わったな」
「むしろこれが始まりだろ」
「これが始まりなら第一回ダイレクトの時点で始まってるだろ」
『アウトロー・パス加入者限定スキルによる攻撃で渡り人をキルした場合、その渡り人からのアイテムドロップを倍化させることも可能です!』
私は即座にメニューを開き、『パス』のタブを開いた。
……ちっ!まだ販売始まってないか……
「どうせ販売停止するから先に買っとこうと思ったのに……」
「奇遇だなぁ」
「お、キミも私のクラン入る? 私のクランには三下悪役っぽい発言しかしないプレイヤーがいっぱいいるよ?」
「嫌だなぁ……」
勧誘失敗。さて、ダイレクトの続きを聞こ……
『ウオオオオオオオオオオオッ!!!』
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『アノマリー・アセンション!』
『【“悪鬼、竜人”白切丸】Lv.910』
『“⬛︎⬛︎”⬛︎⬛︎⬛︎。』
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うるさい声を出しながら、1人のプレイヤーが巨大化した。
見た目はログに表示された通りの“鬼”という他ない。
「おー、おめ」
『ぐははははぁ! これならお前もぶち殺せるぜぇ!』
突如、悪鬼が私に向けて拳を振り下ろす。急すぎない?
「ナメられちゃ困るなぁ」
アストライアを装備し、拳を回避して両断する。そのまま触手を高速で生やし、鬼の眼球と心臓を貫通させた。
『オ、ォォォォ……』
鬼さんはポリゴンと化し、そのままモノリスで即座に蘇った。あ、もちろん元の姿に戻ってるよ?
「どうだった?」
「勝てる気しねぇや。なんで……?」
「プレイ時間の差だね」
「そういえばいつログアウトしてるんですか? なんかニート疑惑出てますけど……」
「働かなくても金が入ってくる層というのは存在するんだよねぇ……!」
「最悪すぎる」
『アウトロー・パス:デラックスエディションではさらに【通行許可証】で街への出入りが可能となり……え?カメラ止めろって、ちょっ、待っ……』
そして、夢島アカリが後ろに退場して第二回オリジンズ・ウォー・ダイレクトの『夢島アカリ代表コメント』コーナーは終了した。
これどう見ても仕込みアリの演出なんだけど、もしそうじゃなかったらと考えると……やめよう、そういう詮索まで行くと陰謀論じみてくる。
なお、この後に発表された『ちびモン工場』とかいう新コンテンツはめちゃくちゃ面白そうだった。可愛いモンスターがいっぱいだぁ……
【ちびモン工場】
モンスターを買って、働かせて、金稼いで、モンスター売って、もっと強いモンスター買って、さらに稼ぐ……といった感じのゲーム。本編のスキルは引き継がないが、【ちびモンマスター】の職業が本編に同時に追加され、【ちびモン工場】で所持しているモンスターを繰り出して戦うことができる。
この後アステリアはこれにどハマりして1週間ずーーーーっとこのモードに閉じこもった。




