Ep.94 ORIGINS WAR /* Obsession Chronicle */
今回で終わりにしよう、そう考えながら5話くらい伸びています
「【願いも嘆きも記憶の中に】【記せ】【縛れ】【顕現せよ】——————【Obsession Chronicle】」
私たちの目の前に、大層な柄の魔導書が創造され、それはひとりでにページをめくっていく。
「閉店の時間だよ、アルテルト。」
『【神蘇神権】』
グレイの力によって、次に発動するスキルが強化される。
さぁ、全員バフしてリンチしようぜ!
「〔超過・超暴走・グローリー・シンフォニー〕」
赤い旋律のエフェクトが私たちを覆い、全員の能力が強化される。
オマケ効果のBGMも、いつもより壮大な雰囲気になっている……いいね、こういう演出。私は好きだよ。
「さぁ、行こう!」
私の掛け声と共に、地上のモンスターたちも含めた全員がアルテルトに向けて動き出した。
モンスターたちは足にしがみつき、登り、噛みつき、ひっかき、殴り……
空を飛んでいる私たちは、それぞれが得意な攻撃を繰り出していく。
「【サイス・オブ・ファイナルカオス】」
極限魔導の力を【Obsession Chronicle】で再現し、破滅の血を纏った鎌による攻撃がアルテルトを襲う。
私が鎌を振るうたび、空間ごと削り取られたアルテルトの黄金の装甲が剥がれ落ちる。
再生しようとする端から、ドミノ率いる機械軍団の砲撃がその傷口を焼き尽くし……
狂夜が重力を無視した機動で懐に入り込み、関節部を単純な殴りによって粉砕。
グレイが召喚した死霊たちが、奴の動きを物理的・精神的に拘束、自爆で動きを止める者たちも存在した。
アウロンは……まぁ、ヤバそうな奴らの盾として頑張っている。
「ユキくぅーん! 死んでる間に試作したの試していいかなーっ!?」
「いいよーっ!」
「おっけー、じゃあ……」
そうしてヒバナはインベントリから何か怪しげなアイテムを取り出し……おいちょっと待てなんだその放射能マークは。
「【Arcallom】の現象には覚えがあってね……基盤はできてたんだけど、あとひと押しが足りなかったんだ。でも、アレを見て色々と辻褄が合ってね……ついに完成したんだよ」
「それ私たちに被害ないよね?」
「ん? あぁ、これサンプルだから問題ないよ」
そう言ってブツをインベントリに再び仕舞うヒバナ。紛らわしいよ……
「本当はこっちで操作するんだ!」
彼女はスマホをポチポチした。それだけで空に裂け目が現れ、そこから飛行船が飛び出す。
そして、その飛行船の下部が開き……嫌な予感しかしないんだけど。
「投下ーっ!」
「これ大丈夫なんだよね!?!?」
「え? 今なんか言った?」
おいテメーっ! 安全確認ぐらいしとけやーっ!
「【ゴールデン・シールド】!」
アウロンの能力を参考に再現したバリアスキルを発動……あ、やべこれ消費Blood高すぎ……
カッ!!!と光が爆ぜる。鼓膜が破けるかと思えるほどの轟音と熱風と共に、全方位に向けて圧倒的な“破壊”が放たれた。
$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$
『ダメージ 【So Big……】』
『痛ぇな 《死ぬ》可能性1%.,』
『《《資産》》タンマリ』
$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$
しかし、その爆発はアルテルトの表面を薄く焦がすだけで終わった。
幸いにも私たち側に負傷者は出ていないが、神蘇国が……神蘇国の損傷がヤバ……ん? なんかよく見たら元々デザインがちょっと違うなここ。
レプリカ的なやつか?
「はぁぁぁぁっ!」
煙の中から流星の如き速度で飛び出す人影……狂夜がその拳に黒いエネルギーを収束させる。
「【受け継がれし罪業の一撃】ッ!!!」
拳と金が激突し、黒雷が迸った。
ビキビキと嫌な音を立てて、アルテルトの皮膚が破けていく。これでもちょっとしか削れないのね。
$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$
『《《参考》》??アステリア??』
『ヌルヌル 学習,,,….。』
$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$
気持ち悪い音を立てながら、アルテルトの背中から無数の触手が生えてくる。
そして、それらは私たちをそれぞれ狙って———
『〔超過・イレイズ・キャノン〕!』
「【ノックスパーク・ブレイカー】」
『王魂たちよ、弾けなさい』
「【アルティメット・ブレイヴ】」
「あ、私防御スキル持ってな———あぎゃぁ!」
『ちょ、ちょ待ってよアタシの身体これしか……ぎゃぁっ!』
ヒバナの機体が消滅し、アウロンがいつも通り吹き飛ぶ。
私に対しては3本もの触手が向けられているが……
「獲物を持ってる相手に触手は……ね? 【桜吹雪・惨劇】」
装備中の武器の種別を【剣】にするというスキルが存在する。
まぁ私には合うだろうからとりま取っとこう、そんな考えで獲得したこのスキルはやがて進化し……
『装備』せずとも『所持』しているだけですべて【剣】判定にしてくれるようになった。
その結果がこれだ。
剣前提のスキルを大鎌で発動する……さらには大量に生成された背後の武器たちも参戦。
これによって、想定されたスキルの威力からは著しくかけ離れた攻撃を放つことができる。
黄金の触手に無数の切り傷がつき、やがて切断される。アルテルトの顔が(‘ᾥ’)←こんな感じになっていた。
$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$
『(‘ᾥ’)』
『ゆるさ ナイン -9-』
$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$
ムキッ!という擬音が鳴り……アルテルトの腕が増える。急にコメディみたいな音出すなや!
『全弾発射ーっ! 【フルバースト】!』
『『『『『【フルバースト】』』』』』
ドミノ軍団の機体、そのいたるところから銃口が現れ、そこから無数の弾丸がアルテルトに放たれていく。
$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$
『《《絶ぼう》》 プレゼント.ふぉー・YOU』
『シール てんか イ』
$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$
アルテルトの正面が透明なバリアで覆われ、彼女らが撃った弾丸が次々と弾かれていく。
『撃ち方やめーーーぇぁあーっ!?!?』
バリアに弾かれた弾丸がドミノの脳天部分に直撃、そのまま彼女が落下した。
量産型ドミノはそれをじっと見つめている。
『機体が壊れたのでご主人様のとこに戻ってきました! ここからはこっちでサポートしますね……あ、あの子たちの指揮はご主人様がお願いします』
しょうがないにゃあ……
「【ミュータリウム・クロセウム】」
量産型ドミノたちが全員、その身を溶かしていき……やがて、ひとつの溶けた金属の球として再構成される。
『あーーーっ!?!? なんてことしてくれるんですかご主人様ぁ!』
「【火華散ル激灼ノ星炉】……え? なんか言った?」
銀色の球がさらにその姿を変え、私の右手を覆うガントレットと化す。心なしかドミノを感じるぜ……!
$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$
『《《手甲??>> HAHAHA ソレ ワレ“ぺろぺろ舐める、アイスキャンディーのように”???』
$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$
「ナメてなんかないよ、アルテルト。【傀儡奉仕ノ自律神核】」
指輪から光が溢れ、再びドミノ軍団が生成される。
『ワタシたち、復活ッ』
『『『『『……』』』』』
続けて、さらにスキル発動。
「【哀艶ノ夜囁ト瑠璃ノ神域】」
視界が一瞬で切り替わり、アルテルトが再び拘束される。
「誓いの言葉ぁっ! 私はアルテルトくんを一刀両断することをここに誓いまぁす!!」
鉄の拳で神聖剣を握りしめ、上に掲げ———
「ケーキ入刀2回目ーっ!!」
式場の結界ごと、アルテルトの黄金の巨体が切り裂かれる。周囲でご列席の皆様も見守っているぞ!
$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$
『砂糖 《《甘すぎ》》』
『!ゲロマズ!で ござます』
$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$
「【灰塵ト残冠ノ神蘇黎明譚】」
神蘇国とグレイのHPが全回復し、さらに私が次に発動するスキルが強化される。
『あら、ケーキが気に入らないのなら……泥水でお口直しはいかが?』
グレイがぱちん、と指を鳴らす。
神蘇国のゾンビたちが泥の塊へと変貌し、それらすべてがアルテルトへと飛び出した……それも、主に目に向けて。口はどうした、口は。
$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$
『MEGA メガ 目がぁ,,,….!?!?』
$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$
意外とこういう小手先の嫌がらせが効くんだね……まぁ、私はそれに乗じて大きなダメージを与えるだけだ。そこは変わらない。
「目が見えないなら尚更避けられないでしょ? 【幽月ノ夜狂恋牢】」
空から、灰色の光が一点に向けて注がれ続ける。
それはアルテルトの頭頂部を焦がし、焼き、やがてそこはすぐに黒ずんだ。
「一応最後に追加、【支配下ノ王ト終律ノ黄金冠】……」
再びアウロンモチーフのオリジンスキルを発動、指輪から金色の光が溢れ出して私を包む……あれ? なんかやたら強化されたような……
「……え、これバグ?」
【永誓の隷環と星光の淵月】によって獲得したオリジンスキルは、そのすべてが【誓約・〇〇】というのを私に付与する効果を持っている。
【支配下ノ王ト終律ノ黄金冠】はその【誓約】の数に応じたバフを私に与えるスキルなのだが……
「なんか【誓約】もバフ効果も二重で付与されてる……?」
なんなら【火華散ル激灼ノ星炉】の『戦闘終了まで、武器によるダメージに【英雄補正】を1追加する。』って効果も二重で付与されてるね、これ。
え、これバグだよね……?
……まぁいいや、こういうのは不可避の事象の場合特に問題ない。避けられない事故というやつだ。
「ユキくん!これ!」
ひょい、と近くを飛んでいる狂夜から鎌が渡される。これは私の生成したものとは違う……なんだこれ、ヒバナ製みたいだけど。
「キミがヒバナちゃんにお願いして作ってもらった鎌だよね!?」
え? 覚えてな……(鎌を使ったカッコいいスキルを獲得したので、ウッキウキでヒバナにそれを話す自分の構図が鮮明に浮かび上がる)……あぁ、これね。確かに言ったわ。
「キミの触手が素材だよ、だからアストライアと近い性質のはずさ」
「いいね」
触手製の武器はなんだか手に馴染む……気持ち悪いけど。
右手には血の鎌を。
左手には今貰った『神聖って書いてるのにどう見ても悪役っぽいアレPart2』こと【神聖鎌ルミナシス】を。
「さて、じゃあこれで行こう」
私は両手に鎌を持ち、飛び上がって———




