Ep.88 ORIGINS WAR /* 金が剣を創り、剣は百で束ねられた */
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『アノマリー・アセンション!!!』
『オリジンモンスター【灼金魂!!のアルケリア=オルテルト】Lv.66666』
『くぅ〜っ! コレぞ 【我が】神のチカラ,,,…!!』
『“⬛︎臨”サマに捧げる《《戦闘》》』
『【タイタン】最高!{タイタン}最高!』
『しんでねー(^_-)』
『死ね( ◠‿◠ )』
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空から降り注ぐ黄金の泥が、少しづつその形を変えていく。
泥が固まり、大きくなり、そしてやがて人型のように。
しかし……そんなものをしっかりと眺めている暇など私にはない。絶賛大量のプレイヤーに襲われ中だからね!よじ登ってんじゃねぇよカス共がッ!!!
『助けてくださ〜い!! 渡り人たちに襲われてま〜す!!』
そんなことを言いながら触手を振り回し、よじ登り中のプレイヤーを落としていく。
同時並行で魔法を演算、そして発動。
しかし魔法が発動する寸前、どこかからの干渉によって不発する。これがさっきから何度も何度も起きていてね……自分対象なら発動しないんだけど、ねっ!
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『《《余所見》》!!??? 酷い,,,….。』
『死ね』
『(´༎ຶོρ༎ຶོ`)』
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左手側から黄金の巨人が迫り、その拳が纏わりついていたプレイヤーごと私を吹き飛ばす。300mくらい吹き飛んだ……この巨体が?
放置してたけど、そろそろアルテルトの脅威が無視できないね……さすがに本気で行かないとダメなんだろうな、この展開。
システムが『本気出せよ、あぁん!?』って言ってるような気がする……
というかなんか地面の方がうるさい……
「どっちやればいいんだ、これ……」
「気持ち悪い方に1票」
「倒したら金貰えそうだし金ピカ行こうぜ」
「アルテルト陣営所属してたのに、なんかいつの間にかノクセス陣営にされてる……なぜ……?」
「まぁ多分善悪関係なくヤバいのを倒せ、みたいなノリなんじゃない?」
「ちーっす、混沌陣営でーす……特に陣営変更起きてないからてめーらぶっ殺してやるぜーっ!!!」
「【瞬転】っ! 死ねっ!」
「お前らが死ねやっ!!」
「〔ファイアー・ボール〕」
「お、化け物さんがお眠りから復帰したぞ」
身体を起こし、視線を下の方のプレイヤーたちに向ける。とりあえず……
『邪魔!』
「「「「「ぐえーっ!?」」」」」
触手を振って全員吹き飛ばす。私のクランメンバーが何人か混じっていたような気がするが、まぁ些細なことだ。
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『再び《《余所見》》!!??? お前《《最低》》』
『死ね!!!!!!』
『(༎ρ༎)』
『【アルティメット・ブレイヴ】を《《大量に》》お届け!!』
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金の巨人の身体から、小さな黄金がいくつも生み出される。おそらく百を超えるであろうそれらは形を変え、やがて剣のような形に変化。そして———そのすべてがこちらに射出された。
『【ワープゲート】』
しかし、そのすべては次元の門に吸い込まれ———
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『ン?』
『ぐぎげぇ!!??』
『死ぬ!!!!!!』
『(ρ)』
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アルテルトの全身にお返しされた。いや、今の名前はオルテルトだったっけ? まぁどっちでもいい。
『バカは単純で助かるよ、アルテルト』
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『( )』
『顔ない』
『《《殺害対象に【アステリア】を指定》》』
『カウントプログラム起動不可……』
『コロス』
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やれるもんならやってみな^^
◇地上———ノクセス
『ぐ……かはっ……!』
ノクセスがその場に崩れ落ちる。
力を使いすぎたことによる影響だった。
ノクセスの分身たちも消えていく。創造した武器も。
しかし……背後に存在するゲートだけは維持していた。
そして、またもうひとつ……
『【リアリティ・リラ———『おっと、そこまでだ。あとは私に任せてくれ、ノクセス』
ぽん、とノクセスの肩に手を置く人物。
機械の装甲で身を固めたその姿は“オリジナルズ”の一員ということを示している。
『リサーチャーか……そこの金髪は?』
「なんで私がこんなところに……なんで私がこんなところに……」
『紹介しよう、リアリティ・カオス一般職員のジョーネスだ。こんなんだが意外とやる時はやる』
「なんで私がこんなところに……なんで私がこんなところに……」
本当に大丈夫なのか? ノクセスは訝しんだ。
『大丈夫だ、ちょっと最近死にすぎてトラウマになっているだけだぞ』
『……まぁいい、お前が来たということは……奴らのどちらかを倒せる手がある、ということだな?』
『いや? そんなものはない。普通に潰し合わせればいいんじゃないか?』
『それもそうだが……アルテルトの様子もおかしくなっている。余計な情報がアステリアに知られてしまうかもしれん』
リサーチャーは『うーん……』と呟くが、その表情はヘルメットで隠れてよく分からない。
『それ、お前が死ぬ可能性があることより大事なのか? 結局大事なのはお前が死にすぎないことだろう。それさえ守れば問題ない』
『それは……』
『“戦闘”が疼いた言い訳だろう? 後付けの理由とかいうやつだ。よーく知ってるぞ、いつもは私がやってるからな』
『……まぁ、そうだな』
『というワケだ。お前を避難させ……あっ』
リサーチャーが小さく呟いたその声を、ノクセスは聞き逃さなかった。コイツがこういうことを言うのは決まって大きなミスをした時だ。
『ウーム……アルテルトの奴が強固な結界を張っているな。入るのは自由だが、出るのはほぼ不可能だ』
『破壊は?』
『誰がやったか感知できる。お前が逃げようとしたらすぐに気づくだろう、それに……“裁定変更”の影響もある。逃げればお前に何かしらのペナルティが下される可能性が高い』
『なら……』
『戦うのはダメだ。姿を消しているのがベターだろう……まぁ渡り人を激励するくらいならいいが』
なら、彼らを強化して少しでも早く決着をつけさせよう。そう考えて、ノクセスは【リアリティ・リライト】を発動。
生き残り確率上昇、そして瀕死で強化される能力を渡り人たちに付与した。
「ぜぇ、はぁ……ぜぇ、はぁ……なぜ私がこんなところに……」
『……どれだけ急いできたんだ?』
『かなり。水分補給の休憩をやろう……【ウォーターポーション】だぞ、ジョーネス』
「ひゅっ……ごくごくごくごく。おい、これHPが回復しないぞ……本当にポーションなのか?」
『“ウォーター”ポーションと言っただろう?』
「あぁ、もういいぞリサーチャー。一旦黙っててくれ」
分かりやすく雑にあしらうジョーネス。その言葉が心に突き刺さったリサーチャーはその場で土をいじり始めた。
【戦力調整】
オリジンモンスター【灼金魂!!のアルケリア=オルテルト】のスペックが当初の予定のおよそ10倍に強化、サイズが10m→100mに。ノクセスが一時的に弱体化。渡り人の生き残り確率が上昇。混沌陣営でない渡り人は瀕死時、英雄補正が3増加。特殊な行動をしたプレイヤーは英雄補正が5増加。アステリアに対する与ダメージが上昇。アステリアからの【行動阻害】の90%を無効化。アステリアからの持続ダメージを1/sに弱体化。リサーチャーとジョーネスも参戦予定だったが変更された。
【ノクセス】
オリジンモンスター。しかし世界の守護者でもある。
彼女がこの世界の命運を握っている。文字通り。
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