Ep.64 Noxes Intrusion I:身体が“く”どころか“<”くらい凹む一撃
◇Noxes Area———アステリア/Auron/Mauve
私たちがだだっ広く、何もない石の島に降り立ったその時……その島全体に強力なバリアが展開され、私たちは閉じ込められた。
『———ようこそ、エル・レイヴィアの君主たちよ。私はノクセス、高貴なる戦闘機構……』
その声と共に、島の中心……その地面の下から、誰かがエレベーターのような機構で上へと上がってきた。
その見た目は単純明快、灰色のマネキン(女性型)であり……白いフード付きのローブだけを身に纏っている。
「ノクセス……聞いたことある名前だね」
『それはそうだろう、なにせ私たちは“共鳴”している。お前のようなクズが私と共鳴したのは些か不満ではあるが……避けられないことでもある』
「おいおい、私がクズだって?」
「いや否定できる要素ないだろ」
「それはそう」
私は自分からそれを認めた。いや、うん……これでも自分を客観的に見てはいるんだよ。見てるだけね。
「それにしても変なモンスターだな。どうしてそんな見た目なんだ?」
アウロンがド直球にそう質問する。人によってはキレられてもおかしくない感じの聞き方だ。
『なぜこの見た目なのか……申し訳ないが質問は受け付けていない。聞きたいのなら———戦いの中で教えてやろう』
「へぇ……」
静かに、しかし確実にアウロンがノクセスの煽りに乗せられた。
冷静ぶってるけど簡単に乗せられるのが彼女の悪いところであり、いいところでもある。
「それならお望み通り……私が相手だ!」
アウロンがかませみたいな雰囲気でノクセスへと肉薄する。が———
「ぺぎょっ!?」
一瞬のうちに殴打、殴打、蹴り、殴打、蹴り、蹴り、蹴り、蹴り、殴打、殴打、殴打、蹴り、殴打、殴打、蹴り、殴打、殴打、殴打、顔面パンチをくらった彼女が、こちらへと吹き飛んでくる。うーん、強い!
「い、一瞬で20回くらい死んだ……アステリア、ちょっとアレ私には無理だ」
「情けな〜〜〜い」
「そ、そんなに言うならお前がやってみろ! あいつレベル9999とか表示されたんだぞ!?」
なにその頭悪い数値。本当か?
『本当かどうか知りたいなら試してみるがいい。私は“戦闘”そのものだ、戦いならいくらでも受けてやろう』
「じゃ、お言葉通り……私と戦ってもらおうか?」
『かかってこい、エル・レイヴィアの君主……アステリア。そして疾風迅雷の剣士、モーヴ』
「ぐ……ここでも私のこと無視されるなんて……!」
『……黄金の主、アウロン』
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『アノマリー・エンカウント!!!』
『オリジンモンスター【高貴なる戦闘機構、あるいは⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎】Lv.9999』
『私たちを裏切ったのか?』
『私は本当の自由を手に入れたのだ。』
『それは“戦闘”のオリジン。あるいは未だ自由になれぬ者。』
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おうおう、本当にレベル9999じゃないですかぁ……でも推奨レベル200ってことはまぁ、見掛け倒しなんだろうな。
シャマザリエもそうだったし。
『———⬛︎⬛︎プロトコル開始、これより戦闘を開始する。』
「かかってきな、マネキン女」
「もしかしてモーヴちゃんって結構調子乗るタイプ……?」
「あぁ……」
やっぱドミノとかと同じタイプとして考えた方がいいか……とか考えていたその時、ノクセスを見失ったことに気づいた。
は、早すぎる……どう防ぐのが正解だろうか。そう考えてすぐさま私は答えに辿り着く。
とりあえずファーストアタックは正面からだろう。となれば……
「おらっ! アウロンシールド!」
「は、ちょ何を……ぐぴぃっ!?」
ノクセスの単なるパンチによって、アウロンのお腹がくの字……いや、<の記号くらい凹む。
『ふむ、ふざけたやり方だが……反応速度は悪くない。続けよう』
「【Cross Edge】」
『不意打ちなら効くとでも?』
モーヴちゃんによる十字斬りが片手で防がれ、そしてダメージが入った様子はまったく見られない。
『お返しだ』
ノクセスによる神速の打撃がモーヴに迫り———
「【Perfect Reversal】」
『むぅっ……!?』
「それぐらいなら全然余裕だね。もっと本気出しなよ、マネキン女」
拳に剣をすべらせ、異様な威力のカウンターをノクセスに叩き込むモーヴ。
そして、私もひっそりと大量生成していた剣を並べて———
「【天終】」
『そんなもの効かな———』
「本命はこっち、【インパクト】」
分身が放った【天終】に向き合っているノクセス。その背中に私は手のひらをぴったりとくっつけて【Obsession Chronicle】の魔術を発動する。
名前の通りの強力な、そして防御を無視する衝撃がノクセスに伝わり、マネキンの身体は戦闘エリアの外側まで吹き飛ばされる。
「ふむ、やはり火力不足……」
「これは化け物化もやむなしかな……?」
一瞬で復帰したノクセスを眺めながら、私たち2人でそう呟く。
「私もたたか「「いらない」」そうか……」
いや、マジで適当に近くにいてくれたらいいから。それなら私たちも盾扱いしやすいし。
『これで終わりか?』
「いいや? まだ色々あるよ」
「リーダーじゃないんですから……私を舐めてもらっちゃあ困りますね」
『そうか、では第二ラウンドだ』
「【コトゥーグ・ラッシュ】」
十数本の触手が私の背中から伸びる。
うねる軌道が一斉にノクセスを包囲し、叩き込もうとするが———
『遅い、脆い、弱い』
その全てが受け止められる。ノクセスは身体をひねり、肘と膝だけで触手を弾き返した。
“防御”というより、“処理”に近い。合理的、淡々とした迎撃。
『ランダムではあるが、遅すぎて見えてしまう』
「でも後ろは見えない———」
『無駄なセリフで場所をバラすのは本末転倒だろう』
スキルを発動しようとしていたモーヴが、ノクセスの右肘によって弾き飛ばされる。
「っと……アステリアさん、盾くれてありがとうございますね。これのおかげでダメージはほとんど無かったようです」
彼女が左手に構えるのは灰色の盾。【変化球】の【バウンドシールド】モードだ。
「いやしかし、なかなか本当に強いね、キミ。ダメージが全然入ってる気しないよ」
モーヴに合図をしながら、私はそう口を開く。
『それなら私と共鳴しているオリジンスキルでも使ったらどうだ?』
「【光貴ナル暴虐ノ盟約】はデメリット多すぎて無理に決まってるでしょ。あれは絶対に勝たなきゃいけない戦いで使うもの……分かってて言ってるよね?」
『いや? 内容までは分からないのでな。使えば有利になるだろうことぐらいしか知らんな』
「【Ultimate Brave】」
前の機械戦争イベントでモーヴちゃんが私に放った、剣士の極限スキル。
一撃で渓谷を生み出すほどの威力が、背後から不意打ちでノクセスに向けられた。
『がっ……!?』
「えぇ……これでもまだ焦げついたぐらいですか?」
「本格的に火力足りなそうだね、モーヴちゃん」
再びノクセスが即座に復帰。ダウン時間短すぎだろ……0.2秒くらい?
『今のはよかったぞ。しかし、それは1日に1度までしか使えないものだろう?』
「……アステリアさん、悪いんですけど……ちょっと化け物になってもらわないと話にならないですね、これ」
『そうはさせん』
ノクセスがそう言葉を発すると同時、猛烈に嫌な予感。私とモーヴは即座に浮かび上がる。
その瞬間、ノクセスは足踏みした。ただの足踏みだったが、その影響は凄まじく———
バゴォン!!!と、大地が割れたかのような音が響く。石の地面がバキバキに破壊され、残されたアウロンが宙に吹き飛ぶ。
私たちに避けられたのが悔しかったのかは知らないが、ノクセスは浮かび上がったアウロンに対して追撃のサマーソルトキックを放った。
「ぐぺえっ!?」
おおアウロン、死んでしまうとは情けない……まぁ何度でも生き返るから問題ナシ!
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