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Ep.63 マサイの戦士だまされない 邪悪なネカマはニオイでわかる

本当に邪悪なネカマは逆に少し男っぽさを残す……それがコツだよ。軽く“あれ? もしかしてこの人本当に女性なのかな……?”と思わせる、そして相手を軽めに特別扱いする……これによって奴隷を量産するってわけね。あと、男だとバレても態度は変えずそのまま接するのも大事なんだ。案外ね、それでも普通に受け入れてくれるんだよ(この発言はすべてアステリアのものです、確実に)

「そういえばアステリアさんって男ですよね?」

「いや、女だよ」

「リーダーが私にだけバラしてるので……言い訳しないでもいいですよ」


 まだブラフの可能性がある。ここは一旦……



「いや、だから女だって。アウロンはそんなこと言ってたの?」

「あぁ、別にブラフとかじゃないですし……特に言いふらす気もないので。自然体で話したいだけです」


 あぁ、そういうこと……



「まぁそれならいいや。私は男だよ、実はね」

「リーダーはずっとあなたの愚痴を言っていましたからね……ところで話し方は変えないんですか?」

「あ、話し方はこれが素だよ。現実でもこんな感じの喋り方で生活してるね」

「そうなんですね」


 まぁなんというか、うん……小さい頃から結構ぬいぐるみとか好きでさ……それで話し方を女の子っぽくしてたんだよね。

 まぁ色々と便利なので結果オーライ、そういうことにしよう。



「この話はやめましょうか」

「そだね」

「しかしリーダーが遅いですね……何分待たせるんでしょうか、あの人は」


 アウロンがNPCを呼びに行ってからおよそ10分。そこまで街から離れているわけでもないことを考えると確かに長い……かも?

 そう思ってると、遠くに黄色の影が見えた。これは帰ってきたかな……?


 後ろには天使らしき人物の姿も見える。しかもなんだか位が高そう……だからちょっと時間かかったのかな。



「ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ……モ、モーヴ、連れてきたよ……」

「冒険貴族のサリオシエです、今回はこれの解説をして欲しいとのことですが、私でよろしいでしょうか?」

「よろしいですことよ」

「……これは翻訳の都合なのかな、まぁどっちでもいいや。私も問題ないよ」

「では、私が解説いたしましょう」





◇伝承


 ———天は裂け、光は堕ちた。


 雲を裂き、風を焦がし。

 静寂の中に降り立った“無貌の来訪者”


 彼女は人のかたちをしていたが、血を流さず、息をしなかったという。

 何によって動き、何を想っていたのか———誰も、それを知らない。


 ただ、彼女が現れたその日から、空島を覆っていた黒き獣たちは姿を消していった。

 彼女は“戦闘”の旗を掲げ、崩れゆく島々をひとつに繋げ“石の空島”を築いた。


 そしてその中心に立ち、静かに、天と地の狭間を見上げながら言葉を失った。

 それ以来、彼女は動かない。

 石の中に溶け、島の心臓となった。


 時が流れ、国が滅び、空の名が変わっても———島は沈まず、光は消えない。

 人々は今も囁く。


 「無貌の彼女はいまも眠りながら、自らを超える訪れを待っている」と。


 かつて彼女を動かした“降臨”を越える者を。

 彼女を越え、解き放つ“渡り人”を。


 沈黙の守人は今も———石の夢の底で、いつか訪れるその“手”を待ち続けている。







◇壁画前



 ドリメカのフルダイブゲーあるある、突然挟まれるムービーパート。このゲームではやめたのかと思っていたけど……どうやら続投らしい。

 まぁムービー中断して動けそうな感覚はあったし、問題はないんだけどね。



「そして、その石の島———【Noxes(ノクセス) Area(エリア)】がアレです」


 そして天使が指差した方には、灰色の大きな空島が見える。これまでの空島の中でも最大クラスの大きさであり、明らかにボスエリアであった。



「そこに最後の壁画も現存しているはずです。しかし……それを見るのならば“無貌の英雄”に認められる必要があります」

「認められるには?」

「かの者は“戦闘”ですべてを見極めると言われております。私たちは戦うことすら許されませんが、渡り人の方々なら……」

「なるほど」


 そこで英雄と戦って、壁画見て……それでクエストクリアってわけね。



「このクエストの詳細を確認したところ、推奨レベルは200と記されていましたので……おそらくかなりの強敵でしょうね」

「このゲームって【限界突破】使わないと基本的に100が上限のはずなんだけどねぇ……」

「わ、私は盾としてなら役立つぞ!」


 アウロンはちょっと無視するとして……ちゃんと準備してから行った方がいいかな。



「とはいえ、このゲームにおいて特に準備することなんてありますか? 強いていうならバフ効果を持つ食べ物を食べるくらいでしょうか……」

「私は色々持ってるぞ! クリティカルダメージ増加するのとか、あと速度を上げるのとか……不要かもしれないが、HPを上げるやつとか……」

「HPはどのくらい上がるの?」

「……HPバフが欲しいのか? 確か……あぁ、50%ぐらい上がるぞ」

「いいね、それ用意してよ」

「わ、分かった」



 私の場合、HPバフはそのままBloodのバフとしても扱われる。それも50%ともなればかなりの数値だ。



「では、私は速度を貰いましょう。どうせ一撃当たれば死にます、それなら動きやすい方がいいです」

「えーっと、これだ。サンドイッチが速度のバフで、この玉みたいなやつがHPバフだ」


 私に渡されたのは黒い……何これ? 泥団子?



「その玉は……味はちょっと保証できないが、持続時間は長いぞ」

「これだからガチ勢は……んむ、まぁ思ったより不味くはないね」


 食感は砂利だけど、味はちょっと甘い。これぐらいなら許容範囲である。



 あ、でもこれ今食べるよりはもっと近づいてから食べた方が良かったかな。ちょい失敗したか……まぁ持続は1時間あるしいいか。



「さて、じゃあ行こう。えーっと、解説してくれた人……」

「サリオシエと申します」

「そうそう、サリオシエさん。ありがとう」

「えぇ、渡り人の方々もお気をつけて」


 そして、私たち3人は全員羽を広げて———空へと飛び出した。

 さっきは雲を乗り継ぐのが空島同士の移動方法とか言ったが、それは空中移動ができない人たちの話で……


 私たちは吸血鬼、竜人、竜人の種族なので……全員普通に空を飛べるんだな、これが。








◇Noxes Area直前の小さな浮島———アステリア/Auron/Mauve




「っと、一旦全員ここ降りようか」

「そうですね」

「あぁ、それは賛成だな」


 石の島の直前、少し離れたその場所には小さな浮島があった。


 半径10mほどの小さな島で、その中心にモノリスが突き刺さっているのみ。おそらくここでリスポン地点を更新しとけ、ということなんだろう……なんか空島はやたらとゲームっぽい感じが強いね。



「え? 別に他もこんな感じじゃありませんか?」

「うーん……ここまでに辿った道筋が本来のやつからかけ離れてたからなのかな。普通に進んでたらもっとこういう感じなのか……?」

「まぁその話は置いておけ。で? 作戦は?」

「まぁ……自由に動く感じで。アウロンは私たちが死にそうになったら自分から飛び込んで盾になってくれると嬉しいかな」

「……………………分かった、そうしよう」

「私もそれぐらいですね。自由に動きましょうか」


 はい、作戦会議終わり!

 てな訳でいざボス戦へ……

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