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Ep.57 リアリティ・カオス一般職員のとある1日、そしてとある渡り人の新たなる発見

ストーリーパートってやつです。

何人か気づいている人がいるかもしれませんが、この小説はとある2つのゲームに大きな影響を受けています

◇起源円盤中心部———リアリティ・カオス本部:ジョーネスの部屋



「あぁもう、また渡り人共が面倒なことを……!」


 渡り人———プレイヤーたちが地上で好き放題モンスターを狩り、プレイヤー同士で戦い、たまにNPCや地形を破壊して遊んでいる時……その地下に存在するリアリティ・カオスの本部では、とある1人の女性が頭を抱えていた。



「なんだ、またあの白髪の渡り人が街を破壊したっていうのか!? 冗談じゃない! あんな力どうやって……いや、そもそもそれどころじゃ……あぁもう、なんでこんな時にまた電話が……!」


 ジリリリリ、と時代錯誤の黒電話から音が鳴る。彼女———ジョーネスは素早くそれを手に取り、耳元へと寄せた。



「もしもし!」

『ジョーネス、オイレリスが破壊されたのは聞いている?』

「はいはい、聞いてますよ! 今取りかかろうとしていたところですって…...」

『それなら話は早いわね、オイレリスはまだ復興可能よ。今回はマスターが死んでいない……デバイスは破壊されたけど、それは些細なこと。あなたにはあの場所に行って、復興を補助してもらうわ』


 ジョーネスはその言葉を聞いて訝しむ。本当に仕事はそれだけなのか、と。



『他にも任せたいことがあるわ。あの白髪の対処よ』

「はぁ!? そんなのあなたが行けばいいじゃないですか! 私には止められませんよ!? あぁもう、最悪だ……」

『いいえ、最悪なのは誰かがこの世界から抜け出すこと……そうなる前に修正するのよ。百剣天帝が死んだ今、外部に頼ることは不可能……あなたしか頼めないの』

「……分かりました、やりますよ。やればいいんでしょ?」


 怒りで体が熱くなってきた。彼女は黒いスーツを脱ぎ捨て、その辺に放り投げながらそう言い放つ。



『オリジンズ・インフィニティの胎動も早まっているわ……何かに共鳴しているんだろうけど、その原因は分からない。これの安定化もあなたの仕事よ』

「はぁ!?」

『分かったわね? それじゃ、あとはよろしく。それと……』

「クソ、やればいいんでしょやれば!!」

『そして絶対にオリジナルズの注意は惹かないで……ジョーネス? ねぇ?』


 彼女はついさっき脱ぎ捨てたばかりのスーツを再び拾って身に纏い、電話を放置してそのまま部屋の扉を飛び出した。

 電話の先からの忠告は耳に入っていない。



 部屋から出た彼女は騒がしい廊下を進み、『危険』のシールが貼られたドアを躊躇なく開く。






◇オリジンズ・インフィニティ制御室



「わお、こりゃまた派手に……胎動、しているな……」


  目の前には真っ白く光る球形の何かがあった。それはドクンドクンと胎動し、周囲にエネルギーを放出し続けている。



「保護バリアは……問題なし。波形から見るに人物……ん? いや、違うな。スキルと共鳴しているのか?」


 ジョーネスは装置をカタカタと操作し、さらなる情報を確認する。



「通信履歴……あった、これだ。オリジナルズ2名、“アストラ”と“リアリティ”……それと“アステリア”“LapiS.Lazuli”……ん? “The Noxes”と“商売魂!のアルテルト”……オリジンモンスターもいるのか?」


 無駄に対象が多くて面倒だが、それぞれの通信時間を考えると……アステリア。かの白髪の可能性が高いだろう。



「ひとまずブロックして……よし、これで安心だ。念の為、この渡り人とアルテルトもブロックしておこう……アルテルトならこれを解除することなんて出来ないはずだ」


 そう言って装置を動かし、指定した者達からの通信を完全にシャットアウトした。これで安定化は完了、胎動も収まっている。



「再度バリアを確認……よし、これが奪われたら何もかも終わりだからな……」


 それは比喩ではなく、実際に起こり得ること。オリジンズ・インフィニティがもし悪しき者に奪われでもすれば……最悪の場合“世界が滅ぶ”


 まぁ、滅んだとしてもなんとかはなるのだが……その場合“奴ら”による破滅も同時に近づく。避けるに越したことはない。



「次はオイレリスの復興だな。白髪の対処は後回しだ、私だって死にたくないからな……!」


 そして、彼女はエレベーターを用いて“表面”に移動した。










◇陽光の谷ソルヴァリア———とある渡り人



 陽光の谷ソルヴァリア。そこはアシュラディソ断絶山脈、フィネラの死滅大地とを分けるために作られた巨大渓谷。


 その谷底に———1人のプレイヤーが降り立っていた。


 彼は検証勢の1人である。元々この谷底には何か隠しエリアが存在するであろうと、彼らのグループでは考えられていたが……



「ん? なんだ、この……ボタン?」


 谷底に存在する隠しエリア、その果てにさらに隠されていた宝箱の存在する部屋……その宝箱の裏側にわざとらしくひっついていた黒いボタン。


 彼は好奇心のまま、そのボタンを押した。すると———



「あ、宝箱が移動するやつね……」


 やたら大きい宝箱が右にずれ、そこから階段が姿を現す。


 その後、長い長い……本当に長い(5分くらいかかった)階段を降り、彼は新たな部屋へと辿り着いた。



「この門は……見たことない材質だな? まぁ十中八九【不壊】は付与されてそうだけど……モノリスに近いかな、多分」


 そして、そのプレイヤーが門を色々と調べていると……突如として門が輝き出した。



「お?」



—————————————————————

『【陽光の谷ソルヴァリア】の大陸間転移門解放』

『大陸間転移門を使用すると、他の大陸の対応する転移門に転移することができます。』

『初回解放ボーナスとして3ヶ所の転移門が解放されます。』


《現在解放されている転移門》

・【Anode Canyon】(アメリカサーバー)

・【َادٍ تْرِيدُور】(中東サーバー)

・【星幻谷】(中国サーバー)

—————————————————————



「ほう……ほう!? なるほどね……拡散しちゃお^^」


 彼は素早く手でシャッターの構えをとり、その画面をスクショする。そしてそのままゲーム内SNS、掲示板、あとついでに検証班の仲間にも『サーバー間転移方法見つけたお^^』と送信した。



 その後、転移門周辺に人が溢れたのは言うまでもない話である。

次回よりSeason3後半開始!

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