Ep.52 コリジョン —アセンション—
確かに吸血鬼モノだけど……だけどこれ吸血鬼モノの面白さかな?
ん……あれ……? これ吸血鬼モノなのか?
『オラァッ!』
『【コトゥーグ・ラッシュ】〔複写・デス・パレード〕!』
拳と触手が何度も衝突し、そして相殺される。その間に地面には雑魚アンデッドが大量に湧き、そしてそれを私が足元の触手で薙ぎ払う。
この化け物モードはクソ強いが、1秒毎に【自滅カウント】が1増え、それが10貯まると即座に死亡してしまう。蘇生も不可だ。
カウントを減らすにはキャラクターの殺害が必要で、1キル毎にカウントが1減る……つまり秒間1キルを要求しているわけだ。
あの時は大量にプレイヤーがいたからなんとかなったが、今回それは……やれないこともないが、少なくとも面倒だ。
そして今咄嗟に思いついてやってみたのがこれだ。雑魚を自分で召喚してぶち殺す。
闇魔法〔デス・パレード〕は雑魚アンデッドを大量湧きさせる魔法である。
オーヴァ陥落の時は無理やり強化して街を襲わせたが、今回は別に強化する必要もないので演算の負担も少ない。
あと私はダメージを与えたらBloodを回復できるので、Bloodの収支的にもプラスである。これバランスおかしくねー?
『まだ……ま⬛︎パワーが足りな⬛︎……! 【のぞむままに】』
『あ……?』
身体が⬛︎張し、さらな⬛︎力が身体にみな⬛︎る。
口を大きく開き、そして……
『【ホロビノホウコウ】』
『は?』
私は巨大⬛︎ビームを口か⬛︎放った。
ロボは遠くま⬛︎弾き飛ばされ、そ⬛︎装甲には焦げ目⬛︎見える。
『んだよ……また急に強くなりやがって……ッ!』
私⬛︎足元⬛︎、またさ⬛︎⬛︎大きく⬛︎⬛︎た触⬛︎を操っ⬛︎下にい⬛︎スケ⬛︎⬛︎ンを吹き飛⬛︎⬛︎、ゾン⬛︎を握り⬛︎ぶし、そ⬛︎他も⬛︎当⬛︎薙ぎ払⬛︎。
アセンシ⬛︎⬛︎で消費し⬛︎Blo⬛︎dは一瞬⬛︎回収⬛︎れ、そし⬛︎私のB⬛︎⬛︎odはア⬛︎ンショ⬛︎の効果に⬛︎⬛︎てさ⬛︎に増大⬛︎⬛︎いる。
まだ力⬛︎足⬛︎⬛︎い……も⬛︎⬛︎力を……!
『⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎! ⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎……【みたされぬまま】』
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『アノマリー・アセンション!!!』
『【“︎⬛︎⬛︎⬛︎、淵月魔獣、神蘇の吸血鬼、黙示録の大天使”アステリア】Lv.2730』
『“⬛︎⬛︎”⬛︎⬛︎⬛︎。』
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⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎……
︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎?
︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎、︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎。⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎。⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎。
『お、おいおい……まさかこっちよりデカくなるとか聞いてねぇぞ……!?』
『⬛︎⬛︎。【天終・触滅】』
『あ……? ぶべっ!?』
︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎。
︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎……⬛︎? ︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎……?
「うわーっ!? 〔独自・超過・超暴走・イレイズキャノン〕ッ!!! このボケご主人様ーっ!? なに当たり前のように意識失ってるんですか!?」
ドミノが私の顔、左半分に向けて全力でビーム……それも対象を消し飛ばすレベルのヤバいやつをお見舞いした。あ、あぶねぇ……なんか今一瞬ヤバい気分になってた気がする……!
『ありがとう、ドミノ。助かった』
「いや、顔半分消し飛んだ状態でそんなこと言われても……まぁ嬉しいですけどね! えへん!」
うーん、調子に乗ってるけどさっきのはファインプレーだったから減点はナシ!
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『混源解放:【クレアサイト・コンティニュアム】』
『オリジンスキル獲得:【オブジェニミスの魔眼】』
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さて、どうやら今獲得した2つ……その両方が精神系状態異常に抵抗する能力を持っているらしい。これ獲得したから抵抗できたのかな?
で、オリジンスキルの方はさらに効果が存在するらしい。“眼”の強化ができるんだと。
これもしかして、産廃だった吸血鬼の【魅了の魔眼】がやっと使えるようになるってこと?
『痛ってぇなぁおい……これぶっ壊れちまったら修理すんのにも時間かかるんだぞ、なぁ!? 弁償しろよオイ!!』
真っ白な、しかしいたるところに傷が見え始めた巨大ロボからそんな声が聞こえてくる。ムカついたので私はロボを三つの眼で睨み返した。
『……あ? なんだ、動かねぇ……は? まさか機械が【魅了】の状態異常に掛かってるってのか……?』
どうやら私の魅力は機械にも通じるらしい。急にぶっ壊れすぎだろ【魅了の魔眼】くん……
『クソが、だが兵器は動かせるはず……補助部隊、やれ!』
その声と共にロボットの両肩が変形し、そこから合計4つのミサイルが放たれた。
私はそれらをすべて触手でそっと掴み取り、そのまま握りつぶして爆散させる。かーっ! 脆いなぁーっ!?
『ドミノ』
「分かってますよご主人様ぁ……ワタシとアナタは一心同体ですからねぇ……! うわ近くで見ると顔ヤバいことになってる……」
私の肩に乗ったドミノがそう小さく呟く。生憎だが私は自分の悪口を聞き逃すことはない……というか、一応もう修復されてるはずなのにそれでも顔ヤバいってそれ……もしかしてもう人の顔じゃない?
「いや、なんというか……眼がいっぱいあって……」
『深くは聞かないようにしよう。それより、やるよ』
「はぁいっ!」
私は右手の神聖剣を宙に投げ、そして左手のハンマーてそれをしっかりと狙い……
ドミノは右手の構造を、先ほどの魔法を使った時のようなものに変形させ……
「〔独自・超過・超暴走・イレイズキャノン〕」
『【孤剣】』
脳内に水色髪の機械メイドと白髪の美……美女とは言えないかもしれない顔がカットインする。思ったより闇落ちした化け物だねぇ!?
彼女の右手から放たれた灰色の光、そして私の放った“一本の剣を射出する百剣天帝のスキル”が一直線に連携攻撃を放つ。
あまり知られていない……というか連携攻撃自体の知名度が低いのだが、実は魔法とスキルでも連携攻撃は発動できる。そうラピスが教えてくれた。
私とドミノの連携攻撃は、前ほどの威力は無かったが……しっかりとロボットに直撃し、その胸部を真っ黒に焦げさせる。
「しゃあっ! ご主人様、アレクッソ無様ですね! ギャハハ!」
『……誰なんだ、ドミノをこんな性格にしたのは……!?』
絶対に私ではない。なぜなら私はここまでの煽りカスではないからである。なぜこんなことに……?
『いってぇ……なんだこの痛みは……!?』
それはアストライアの能力、NPCに対しては追加で魂への“痛み”を与える【魂痛】の効果だ! どうやらちゃんと発動しているようで何より! ラピスも横でニコニコダブルピースをしています。
『しかし、ちょっと思ったよりしぶといから……今のうちに追撃させてもらおうか?』
『な……!? おい、やめろ! 掴むんじゃねぇ……!』
私は上がりまくった速度を活かしてロボットの付近に潜り込み、そして肥大化した触手でその身体を巻き上げる。
ここで一応補足しておくが、今の私が大体全長100mで敵のロボットが20mくらいである。サイズまでインフレ早いとかこのゲームどうなってんだよ。
『サイズ差で逆転されるのはどんな気分だい?』
『ビーム出すのはお前の専売特許じゃねぇぞ! 補助部隊、チャージ開始……行くぞ、【ヒート・ブレイカー】!』
『あ……?』
「やばっ……逃げますね!」
おい待てドミノ、お前だけジェットパックなんて使って逃げるんじゃない……とか言う暇もなく、ロボットの胸部分が開いた。
そしてそこから、赤い雷を帯びた巨大ビームが発射される。
触手が焼き切られ、奴は拘束からすぐに抜け出してしまう。図体デカいくせに素早い動きしやがってよ……これは私が言えた義理でもないか?
『逃げれば無駄に痛みが長引くだけだぞ……【戻れ、アストライア】』
手元についさっき投げ飛ばした黒い剣が戻ってくる。私はそれをしっかりと握り、再び奴に向けて構えた。
『上等じゃねぇか、痛みなんて日常茶飯事だぜ』
そう言って徐々に焦げた部分が修復されつつあるロボットがファイティングポーズをとる。自己回復持ちめんどいよー!
【現在のアステリア】
・全長100m、てっぺんにちょこんと本体が生えてる。髪の毛が伸びまくって下まで届いてるし先端は触手みたいになってる、なんなら本体も元の3倍くらいデカくなってる
・半径5mくらいの触手が20本くらい生えてる
・ちょっと小さめな触手がめっちゃ生えてる
・身体の中心になんか蠢いてるドス黒い心臓がある。なお弱点ではない
・全身のいたるところにガンギマリな眼が生えてる
・触手から小さい手が無数に生えてるし、血管みたいなのが触手から浮き出てる
・背中に6対の白い羽、2対のデカくて黒い羽
混源【クレアサイト・コンティニュアム】
理性を保つ。
オリジンスキル【オブジェニミスの魔眼】
眼がめっちゃ強くなる。精神系状態異常にかかった後、即座に抵抗する。
【オリジンスキルの獲得条件】
性格が吹っ切れているタイプが獲得しやすいように見えるが、実際は自分について悩んでいるタイプの方が獲得しやすい。アステリアは悩んでいるタイプで、ラピスは吹っ切れているタイプ……というか迷ってないタイプ。
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